カスヤの森現代美術館は、横須賀・平作の、昔から残る植生を活かした緑豊かな森の中にある、私設の現代美術館です。
年間4~5回開催される企画展のほか、ドイツを代表する現代美術作家の一人・ヨーゼフ・ボイスのコレクションをはじめ、ナム・ジュン・パイク、李禹煥、宮脇愛子、松澤宥、そして、美術館の創設者である若江漢字さんなどのコレクションを常設展示しています。
5月30日(土)から8月16日(日)までは《2人展 会田誠・岡田裕子》を開催しています。
初夏のカスヤの森現代美術館ではあじさいもあわせて楽しめます。6月4日(木)現在の開花&色づき状況としては、裏庭で見られるあじさいの多くが見ごろを迎えています。
※開花状況や今後の見通しは、公式発表のものではありません。すべて、「三浦半島日和」調べです。

楽しみ方が自由でユニークな「2人展 会田誠・岡田裕子」
現在開催中の「2人展 会田誠・岡田裕子」は、私生活では夫婦でもある、会田誠さんと岡田裕子さんお二人の展覧会です。どちらの作品も表現手法はまったく異なるものですが、物理的な作品そのものを越えた、自由でユニークな体験を楽しめるものになっています。
カスヤの森現代美術館は若江漢字さん・栄戽さんがご夫婦で営む美術館です。ご夫婦が営む美術館ではじまった、ご夫婦アーティストによる展覧会というのも、とてもユニークな組み合わせです。
会田誠《混浴図》
会田誠さんは、今回の展覧会の会期中、開館時間のほぼすべてを使って、公開制作すると言います。《混浴図》と名付けられたその作品は、日本の規格では最大となる500号サイズのキャンバス(縦218×横333cm)を3枚使った、超大作です。
内容は、
“ちらちらと雪が降り湯煙が漂う、架空の超巨大な混浴露天温泉に、男女のみならず年齢、民族、時代、有名/無名、実在/非実在、善/悪‥‥等々、様々な属性の人間と、さらに「人間にあらざる者」までもが、いっしょに入浴している絵です。”
とのことです。
2年前には、今回の展覧会のプロローグとも言える「《混浴図》への道」が、麻布台ヒルズにあるGallery & Restaurant 舞台裏で開催されましたが、今回はいよいよその本番ということになります。とは言え、今回も、会期中に完成するわけではなく、完成はずっと後になると宣言されています。
このような変わったスタイルの展覧会ということもあり、「2人展 会田誠・岡田裕子」のオープニングから3営業日しかたっていないこの日は、キャンバスの大部分は下描きの状態で、まだ真っ白でした。傍らには、下絵と思われる絵も展示されていて、こちらも十分見ごたえがありますし、ここから想像を膨らませてみるのも楽しいものです。
そしてなにより、2ヶ月半にもおよぶ展覧会のすべての時間を使って、作家さん本人が公開制作するという試みはとてもめずらしく、作品の制作をリアルタイムで見届けることができるという貴重な体験を含めて会田誠のアートなのだと実感できます。
個人の感想ではありますが、会田誠さんご自身が制作中の展示室と、お昼休みなどの休憩中で不在の展示室では、空気感が違います。もちろん制作を見届けるという貴重な体験は唯一無二のものですが、細部までじっくりと観察したい場合は、不在の時間帯を見つけて鑑賞するのもおすすめです。
なお、《混浴図》の反対側には、《直角、手書き、黄色》という作品も展示されています。こちらはすでに完成した作品で、購入もできるとのことです。
※《混浴図》は撮影が許可されていませんが、《直角、手書き、黄色》は許可されています。撮影が許可されているものは、ネット掲載もOKとのことです。

岡田裕子《井戸端で、その女たちは》
《井戸端で、その女たちは》と名付けられた岡田裕子さんの作品は、室内と屋外の2ヵ所で展示されています。内容は以下のとおりで、女たちの声を岡田裕子さんご自身が一人で5役演じています。
“ともすれば時代にかき消されてしまったかもしれない物故女性アーティストをテーマにした作品です。会場には井戸があり、そのそばのテーブルで女性たちが人生を語り合っています。その声にシンクロナイズしたテーブルランプが瞬くというマルチメディアインスタレーションです。”
暗幕がかけられ、暗闇の部屋での室内展示は、姿が見えないことが逆に臨場感をかきたて、まるでその場で女性アーティストが語り合っているように感じられます。
裏庭の竹林の一角に設けられた屋外展示では、その場に掲示されているQRコードをスマートフォンで読み取って、会話を聴く仕組みです(イヤフォンの使用を推奨。あと、蚊除けスプレーも)。こちらは会話の主の不在が明確であり、シュールな印象です。
このように、テーマは同じでも、表現手法や会話の内容(ここでは詳細は控えます)が異なると、違った感性を要求されているようで、おもしろいです。屋外展示は本館から少し離れた場所にありますが、こちらもお見逃しなく。
※《井戸端で、その女たちは》は撮影が許可されています(ただし、フラッシュはNG、動画は30秒以内)。撮影が許可されているものは、ネット掲載もOKとのことです。
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雨の日でも楽しめる館長おすすめのあじさい鑑賞スポット

この上の写真は、カスヤの森現代美術館・館長の若江栄戽さんがおすすめくださった、本館ラウンジの窓ガラス越しに見たあじさいです。背景の竹林や手前におかれた石像もあいまって、こちらも一つのアート作品を鑑賞しているようです。
ラウンジ周辺のあじさいは室内からも鑑賞することができますので、雨の日でも楽しめます。

現代美術館で鑑賞する個性豊かなあじさい

カスヤの森現代美術館の裏庭には散策路が張りめぐらされています。アート作品の屋外展示とあわせて、ゆっくりあじさい散策を楽しむのもおすすめです。(蚊除けスプレー推奨)
カスヤの森現代美術館のあじさいは、その広い裏庭に対して、全体としてのボリュームがすごく多いというわけではありません。「現代美術館のあじさい」という偏見もあるかもしれませんが、個性豊かな品種を見られるのが特徴です。色合いも、同系色のものに偏るということもなく、色とりどりのあじさいが咲いていて、1株1株の見ごたえがあります。
見ごろのピークは、これから1週間~10日前後になりそうです。(カスヤの森現代美術館は、月曜日から水曜日までが休館日になっていますので、ご注意ください)

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初夏に見られるその他の花々
カスヤの森現代美術館では、あじさい以外にもさまざまな季節の花々が咲いています。こちらも偏見かもしれませんが、現代美術館らしく、個性的な植物が多い印象です。



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