JR田浦駅は、海上自衛隊横須賀基地・田浦地区などがある長浦港に面する、JR横須賀線の駅です。狭い谷戸の入口に位置する田浦駅は、トンネルとトンネルに挟まれています。11両編成の電車ではホームの有効長が足りず、すべてのドアを開くことができないため、首都圏ではめずらしいトンネル内でドアカットする駅(先頭車両すべてのドアと2両目の先頭寄りのドアが対象。上の写真で見えているのは先頭から2両目)として知られています。
田浦駅の周辺には、第二次世界大戦まで旧日本海軍の施設が多くあり、お隣りの横須賀駅と同様、横須賀線の中でもとくに軍事色の強い駅の一つでした。
幕末に建設がはじまった横須賀製鉄所(後の横須賀造船所、横須賀海軍工廠)が置かれて以来、横須賀港(横須賀本港)は軍港として発展していきました。横須賀港が手狭になると、その北側に位置する長浦港にも軍の施設が置かれるようになっていきました。
田浦駅が開業したのはそうしたさなかのことで、1904年(明治37年)5月1日に、逗子駅と横須賀駅の中間駅として新設されました。
後にドアカットする必要が出てくるほど狭い土地であっても、どうしても軍港に面したこの場所に設置しなければならなかったという背景を考えると、ドアカットも軍事色が強い駅としての名残りだと言えます。
戦後、長浦港にあった旧日本海軍の施設の多くは、海上自衛隊や在日米海軍、民間企業などに転用されました。そのため、長浦港に面した田浦駅北口周辺は繁華街や住宅地などの一般的なまちとして開発されることはなく、かつての軍港最寄り駅として、横須賀駅以上に独特な雰囲気が漂っています。
長浦港には貨物用の線路が張りめぐらされていて、平成前期までは田浦駅周辺で横須賀線の線路に合流する貨物列車も見られました。現在これらの貨物路線は廃止されていますが、田浦駅の北口側の道路周辺では、今もそれらの廃線跡を見ることができます。

田浦駅は、横須賀市内の横須賀線の駅では唯一、出口が2ヵ所(北口・南口)設けられています(改札口は1ヵ所)。長浦港に面しているのは北口で、南口はすぐ近くに国道16号が走っています。

田浦駅南口は、横須賀市内はもとより、三浦半島でも一、二を争うほどひなびた駅前で、国道16号を越えて南側に続く谷戸を奥へと進んで行けば、のの字坂(のの字橋)や十三峠といった、観光地化されていない古き良き三浦半島の景色に出会うことができます。

