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武三島神社(三島神社)| 富士山遥拝所と緑豊かな社叢林が厳かな旧武村の鎮守

三島神社(武三島神社)・社殿と神奈川県指定天然記念物「三島社の社叢林」(撮影日:2025.02.20) 横須賀
三島神社(武三島神社)・社殿と神奈川県指定天然記念物「三島社の社叢林」(撮影日:2025.02.20)

横須賀・三島神社は、山をつかさどる神様・大山祇命を祀る、旧武村の鎮守です。地元では「武三島神社たけみしまじんじゃ」の愛称で親しまれています。
火災等により創建年や由緒等は不詳ながら、江戸時代後期に編さんされた「新編相模国風土記稿」にはすでに武村の鎮守として三島社の名前が見えることから、江戸後期以前の創建であることは確かです。

国は明治時代に神社合祀の政策(一村一社の令)をとりましたが、武村ではそれより遅れて、1933年(昭和8年)に神明社が、1943年(昭和18年)には走湯社吾妻社が、村社であった三島神社に合祀されました。
吾妻社には相殿として牛頭天王も祀られていて、三島神社の夏祭りはこの牛頭天王に由来する八坂神社祭礼として執り行われています。

三島神社の境内を囲むようにうっそうと茂る常緑広葉樹林は、「三島社の社叢林」として神奈川県天然記念物に指定されています。

主祭神大山祇命
旧社格等村社
創建天保年間(1830年代)ごろかそれ以前
祭礼等元旦祭 1月1日
夏祭(八坂神社祭礼) 7月15日前後の土・日曜日
秋祭(三島神社祭礼)・七五三 11月15日前後の日曜日

三島神社は、旧伊豆国の一宮/総社・三嶋大社(三嶋大明神)の分霊を祀ったとも言われています。三島神社に合祀されている走湯社(江戸時代までは走湯権現社)もまた、旧伊豆国伊豆山神社(走湯大権現)に由来すると考えられるため、伊豆地方との関わりや、富士山を望む地であることから富士山に近い神様富士山自体を崇めるようになったことなどが想像できます。
三島神社と旧伊豆国三嶋大社の両方の主祭神である大山祇命は、富士山を神体山とする富士山本宮浅間大社や全国の浅間神社に祀られている木花之佐久夜毘売命の父親とされていて、古くからこれらの火山とも密接な関係にあったと考えられています。

三島神社(武三島神社)・社殿前より富士山を拝む(撮影日:2025.02.20)
三島神社(武三島神社)・社殿前より富士山を拝む(撮影日:2025.02.20)
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武三島神社の富士山遥拝所

三島神社(武三島神社)・富士山遥拝所より富士山を拝む(撮影日:2025.02.20)
三島神社(武三島神社)・富士山遥拝所より富士山を拝む(撮影日:2025.02.20)

三島神社(武三島神社)は、三浦半島南部の代表的な山である武山の北麓に鎮座しています。境内からは、気象条件が良ければ、正面に富士山を望むことができます。
社殿の前には、富士山遥拝所が設けられています。遥拝所(ようはいじょ)とは、遠く離れた地から神仏を拝むために設けられた場所のことです。

三島神社富士山遥拝所をこのように呼ぶようになったのは、おそらく近現代のことでしょう。しかし、それより以前から三島神社を信仰する人々が富士山を意識していたのは、三島神社富士山と向かい合うようにして鎮座していることからも、間違いないと言えます。

富士山が見える場所だから伊豆国三嶋大社を勧請して祀ったのか、三島神社だから富士山が見える場所に祀ったのか、今となっては知るよしもありませんが、武村の人々にとって富士山が特別な存在であったことは確かなのでしょう。

三島神社(武三島神社)・富士山遥拝所より富士山を拝む(アップ)(撮影日:2025.02.20)
三島神社(武三島神社)・富士山遥拝所より富士山を拝む(アップ)(撮影日:2025.02.20)
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江戸後期の彫刻とともに再建された社殿

三島神社(武三島神社)・鳥居前より社殿を見上げる(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・鳥居前より社殿を見上げる(撮影日:2025.01.24)

現在の三島神社(武三島神社)社殿は、2007年に建立されたものです。1941年(昭和16年)に建立された旧社殿の老朽化にともない、建て替えられました。旧社殿は、それ以前の社殿が1938年(昭和13年)の火災によって焼失してしまったため再建されたものでした。
現在の社殿にかかる獅子頭などの彫刻は、江戸後期から歴代の社殿に代々受け継がれてきているものだと言います。

三島神社(武三島神社)・社殿(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・社殿(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・力石(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・社殿前に安置されている力石(撮影日:2025.01.24)
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武三島神社に合祀された武村の神様

三島神社(武三島神社)・合祀された境内社(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・合祀された境内社(撮影日:2025.01.24)

三島神社(武三島神社)社殿に向かって左手には、昭和初期に合祀された旧武村の神様たちが祀られた石祠が鎮座しています。
1879年(明治12年)から1920年(大正9年)にかけて神奈川県がまとめた「明治12年 神社明細帳(三浦郡)」によると、昭和初期に村社の三島神社に合祀されるまでは、武村には以下のような神社が鎮座していました。

神社名主祭神鎮座地
(1889年(明治22年)以前)
旧社格
三嶋神社大山祇命武村字谷武村社
走湯神社天忍穂耳命武村字北武
神明社大日霊貴尊武村字南武
吾妻神社橘姫命武村字下武
明治~昭和初期の武村の神社一覧

吾妻神社には、江戸時代後期以前に、牛頭天王が合祀されています。この牛頭天王は、さらに、明治維新後の神仏分離令を受けて、須佐之男命を祀る八坂神社へと変化しましたが、三島神社の夏祭りとして伝統が受け継がれています。

本来の三島神社としての祭礼は秋祭りで、湯立神楽の神事が執り行われています。

三島神社(武三島神社)・境内社-八坂神社(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・境内社-八坂神社(撮影日:2025.01.24)
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神奈川県指定天然記念物「三島社の社叢林」と樹齢500年の御神木

三島神社(武三島神社)・神奈川県指定天然記念物「三島社の社叢林」(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・神奈川県指定天然記念物「三島社の社叢林」(撮影日:2025.01.24)

武山の北麓に鎮座する三島神社(武三島神社)は、武山自体が鎮守の杜のようでもあります。なかでも三島神社周囲の森は、三浦半島では貴重なシダ植物の生育する多様性に富んだ常緑広葉樹林がみられるため、1992年に「三島社の社叢林」として神奈川県指定天然記念物になっています。

三島神社参道左側には、神奈川県では比較的めずらしいツクバネガシや、アカガシ、スダジイ、モチノキが混生した常緑広葉樹林が、神社北側にもスダジイやモチノキ、クロガネモチ、アカガシが混生した常緑広葉樹林が見られ、その下ではホソバカナワラビやコバノカナワラビなどのシダ植物が群生しているという自然環境があります。

三島神社社殿後方に立つ御神木は、このような常緑広葉樹林の中でもひときわ大きくそびえるスダジイの古木で、樹齢は推定500年ともされています。

三島神社(武三島神社)・御神木のスダジイ(撮影日:2025.01.24)
三島神社(武三島神社)・御神木のスダジイ(撮影日:2025.01.24)
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DATA

住所 横須賀市武1-33-13
アクセス
行き方

●衣笠駅・横須賀中央駅方面から
JR横須賀線「衣笠駅」から徒歩約6分の「衣笠十字路」バス停、または、京急線「横須賀中央駅」より
京急バス「長井」行き、「三崎口駅」行き、「横須賀市民病院」行き等の林方面行きにて『武山』下車、徒歩約12分

●YRP野比駅方面から
京急久里浜線「YRP野比駅」より「横須賀市民病院」行きで、『通信研究所入口』または『ひがし武』下車徒歩約5分

駐車場 なし
料金

無料(志納)

電話番号 046-856-3703 ※熊野社(佐島)(管理元神社)
ウェブサイト http://takeujiko.web.fc2.com/index.htm
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