横須賀・長沢の天照大神は、その社名のとおり天照大神(大日霊貴尊)を主祭神として祀る、長沢の総鎮守です。天照大神は、皇室の御祖神であり、「日本の総氏神」とされる伊勢神宮・内宮の御祭神です。天照大神を祀る神社は、神明神社や神明社という社名が多いですが、この神社は、御祭神をそのまま社名としています。
江戸時代後期に編さんされた「新編相模国風土記稿」には「神明社」とあり、1879年(明治12年)から1920年(大正9年)にかけて神奈川県がまとめた「明治12年 神社明細帳(三浦郡)」には「天照大神」とあることから、明治維新後に「天照大神」と名乗るようになったものとみられます。
| 主祭神 | 大日霊貴尊(天照大神) |
| 旧社格等 | 村社 |
| 創建 | 不詳 (江戸時代中期と推定) |
| 祭礼等 | 2月20日に近い日曜日 祈年祭 7月25日に近い日曜日 例大祭 11月23日に近い土曜日 新嘗祭 ※実際の日にちは異なる場合があります |
長沢天照大神は、境内の南側こそ長沢や野比の住宅地に隣接していますが、西に三浦富士がそびえているのをはじめ、周辺は里山の雰囲気をよく残しています。一の鳥居から境内に一歩足を踏み入れると、社殿の建つ山頂まで、しばらく鎮守の杜の中を登る石段が続いています。うっそうと茂る樹木のトンネルは、神域と呼ぶのにふさわしく、杜の中の参道を行くだけでも心が洗われるようです。
一方、境内背後の丘の上は昭和後期以降に開発が進み、NTTの研究施設「横須賀研究開発センタ(旧称:横須賀電気通信研究所、略称:通研)」や、「NTTドコモR&Dセンタ」を中心とした「横須賀リサーチパーク(YRP)」と言った研究開発拠点の集積地になっています。
この新しいまちは「光の丘(横須賀市光の丘)」と名付けられました。「太陽神」ともされる天照大神の背後に広がるまちの名前としては、絶妙過ぎるネーミングセンスです。実際は、長沢天照大神を意識したものではなく、「電波・情報通信技術を中心とするICT技術の研究開発拠点」をイメージする地名というのが由来です。いずれにしろ、光の丘という地名の命名にしても、ここにこのような研究開発拠点を集めることになったのも、神様の導きだったのかもしれません。

INDEX
江戸時代の伊勢信仰によって祀られたとされる長沢天照大神

長沢天照大神の正確な由緒は不詳とされていますが、お伊勢参りが盛んになった江戸時代に、伊勢神宮の分霊を勧請したのがはじまりと考えられています。
今も自然豊かな「お伊勢山」と名付けた小高い山の山頂に天照大神を祀り、およそ300年に渡って、長沢の人々によって大切に守られてきました。
海からは少し離れた長沢天照大神周辺では、現在でも畑が点在している地域です。長沢のなかでも、とくに内陸に暮らす人々が、農耕神として伊勢信仰をはじめたものと考えられます。

知名度やブランド力の高い神社が多かった長沢

明治後期まで、旧長沢村(長沢村は、1889年(明治22年)に野比村、津久井村と合併し、北下浦村となりました)には、長沢天照大神を含め、以下の5社が鎮座していました。伊勢信仰、熊野信仰、富士信仰などは江戸時代に関東で流行した信仰で、なおかつ、知名度やブランド力の高い神社が多いのが特徴と言えます。
| 神社名 | 主祭神 | 鎮座地 | 旧社格 |
|---|---|---|---|
| 天照大神 | 大日霊貴尊 | 長沢村字峯 | 村社 |
| 浅間神社 | 木花咲夜毘売命 | 長沢村字梅田 | |
| 若宮神社 | 大雀命 | 長沢村字梅田 | |
| 熊野神社 | 伊弉諾尊 伊弉冉尊 | 長沢村字宮ケ谷 | |
| 春日神社 | 天児屋命 | 長沢村字宮ケ谷 |
これらのうち、浅間神社、若宮神社、熊野神社、春日神社の4社は、1908年(明治41年)に村社・天照大神に合祀されました。
しかし、合祀後も、若宮神社と熊野神社は各地域でのお祀りが続いています。現在の北下浦小学校の校庭にあった春日神社は、本殿が野比・称名寺の観音堂として移築されました。
浅間神社は、津久井の浅間神社と同じように三浦富士山頂に奥宮があり、近年まで山頂祭が執り行われていました。


長沢天照大神の参拝ルート
長沢天照大神の鎮座するお伊勢山は、この地域の幹線道路となっている通研通り(横須賀市野比~武)のすぐ近くにありますが、参道は直接接続していないため、参拝ルートは少し分かりにくいです。しかし、通研通りに面した入口(長沢中学校の向かい)には、「天照大神」と大きく書かれた社号柱が建っていたり、路地に入った後も分岐地点には道標が置かれているため、注意深く進めば道に迷うこともありません。
社殿近くのお伊勢山山頂付近には駐車場も整備されているため、車での参拝も可能です。ただ、通研通りから路地に入った後は、すれ違いが困難な道が続き、一の鳥居の横を過ぎてお伊勢山に入った後は完全に一車線分の幅しかない道路となります。そのため、運転が得意ではない方や大型車での乗り入れは、避けたほうが良いでしょう。
通研通りを走る路線バスの「みのり橋」バス停からは、徒歩約10分ほどです。




長沢天照大神周辺の見どころ








