台山緑地は、JR横須賀線「東逗子駅」近くの、沼間と桜山の境に広がる緑地です。子どもたちが自分の責任で自由に遊べる場所というコンセプトから、「みんなの山」とも名づけられています。
ハイキングロードも用意されていて、イトーピア団地、葉桜団地を経由して、長柄桜山古墳群方面へも行くことができます。
台山緑地の入口はいくつかありますが、メインは「東逗子駅」からも近い、県営桜山アパート前の階段からになります。入口には、台山緑地とみんなの山の案内板が立っています。すぐそばには、桜山中央公園のふもとの入口もあります(公園の中心までは、長い階段が続いています)。
その他、沼間小学校の裏側からも登ることがきます(後述する、小さな祠がある、赤い鳥居が目印です)。
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ライトアップもされる花咲計画による「台山桜」
県営桜山アパート前の入口から登って、すぐの広場には、桜の木が多数植えられています。これは、逗子市商工会青年部が中心となって活動する「花咲計画」によるもので、桜の植樹は1989年から少しずつ進められてきました。
河津桜など、近年植樹された若木もありますが、大きく育った木も見られます。
立派に育ったこの「台山桜」は、2019年から桜が満開になる時期にライトアップされて、夜桜をたのしめるイベントも開催されています。
自由な遊び方ができる「みんなの山」
桜の他にも、台山緑地には、地元の方たちによって整備されてきた自然の遊び場があります。アイディア次第でいろいろなたのしみ方ができそうなウッドデッキや、木製のテーブル、ベンチなどが、木立の合間に点在しています。
台山緑地には、安全に遊べる遊具はありませんが、まぁまぁ安全に駆けずりまわれる野山が用意されています。
綺麗に整備された都市公園や街区公園、基本的に細い山道を歩くことしかできないハイキングコースはよくあるものの、その中間にあたるような場所は意外と少ないものです。昭和期には、三浦半島でも、このようななにもない緑地公園が今よりも多く見られましたが、開発されて別物に生まれ変わるか、放置されて遊べないほど自然に還ってしまうような場所になってしまったかの二極化が進み、現在では台山緑地のような市街地に隣接した自由に遊べる野山は貴重な存在と言えます。
源義朝の館の裏鬼門に勧請された 台山の稲荷社
台山緑地の沼間小学校側の中腹には、稲荷社の小さな祠が鎮座しています。木立に囲まれているため少々分かりにくいですが、下の方から見上げると赤い鳥居が建っているのが目印で、台山緑地の入口の一つにもなっています。
昭和初期に編さんされた「逗子町誌」によりますと、平安時代に活躍した武将で、鎌倉幕府を開いた源頼朝の父・源義朝の館・沼浜城跡(沼浜亭跡)がこの辺りにあって、その裏鬼門にあたる台山(台藪、殿藪とも言う)に稲荷社を勧請したとあります。現在、台山緑地に残るこの稲荷社がそれと同一であるかは分かりませんが、源義朝の館跡とされている現在の桐ヶ谷歴史庭園(光照寺や法勝寺の近く)の方向に面して鎮座していることから、古くからこの辺りに稲荷社があった可能性が高いと考えられます。