一般的には「海」のイメージが強い葉山ですが、東西に細長いその町域には、山間部の見どころもたくさんあります。とくに、内陸部に位置する上山口エリアは、南側に三浦半島最高峰の大楠山、北側に三浦アルプス(二子山山系)の南尾根に挟まれていて、山深い、のどかな、里山の景観がよく残っています。
その象徴とも言える場所が、「上山口の棚田」です。
上山口の棚田は、上山口の中央を東西に走る県道27号横須賀葉山線の南側の斜面に位置しています。現在の上山口の棚田は、棚田としては小規模なものです。このあたりは平地がほとんどないため、稲作には適していませんでしたが、湧水が豊富だったこともあり、昭和中期までは一帯に千枚田が広がっていたと言います。
葉山の里山の魅力を代表する場所
市街地から離れていて、傾斜地の多い上山口エリアは、山の上を切り開いて大規模造成された湘南国際村を除いて、宅地開発の波は届きませんでした。一方で、棚田の管理の難しさ、効率的でない地形、農家の高齢化や後継者問題、減反政策、などが重なり、棚田も減少の一途をたどり、現在の上山口の棚田だけが残るのみとなりました。
おそらく、このままでは、上山口の棚田も消えゆく運命だったでしょう。しかし、地元の有志が、この美しい景観を残そうと山里会を結成して、農家の方々を支援するようになりました。
現在では、葉山の里山の魅力を代表する場所として親しまれています。
2000年、上山口の棚田で収穫されたお米は、皇室の宮中行事のひとつ新嘗祭に献上されました。2008年には、「にほんの里100選」(朝日新聞社)にも選ばれています。
上山口の棚田で収穫されたお米の一部は、棚田米のアイスクリーム「葉山アイス」として加工されて、販売されています。この「葉山アイス」は、通信販売で購入できる他、地元のスーパーや産直ショッピングセンター「HAYAMA STATION(葉山ステーション)」などで購入することができます。
上山口の棚田周辺の見どころ
上山口エリア
湘南国際村方面
上山口の棚田の向かい側の山々
上山口の棚田の向かい側には、三浦アルプス(二子山山系)の山々が連なっています。