仏行寺は、鎌倉・笛田にあるツツジが美しい寺院です。本堂裏の斜面を利用して造られた庭園は、例年4月下旬にツツジが開花すると、ピンクや赤色の絨毯で敷きつめられます。けっして知名度は高くありませんが、仏行寺は、鎌倉のツツジ寺と呼ぶのにふさわしいお寺です。
一方で、鶴岡八幡宮や鎌倉大仏といった、いわゆる「観光地・鎌倉」からは離れた場所にあるため、ツツジが見ごろの時期も観光客はあまり訪れることはなく、鎌倉の隠れた花の名所でもあります。
仏行寺の開山は室町時代の1495年(明応4年)に没した仏性院日秀と伝わりますが、創建の由緒等の詳細は分かりません。
山号 | 笛田山 |
宗派 | 日蓮宗 |
寺格 | ― |
本尊 | 十界互俱曼荼羅 |
創建 | 不詳(室町時代かそれ以前) |
開山 | 日秀 |
開基 | 不詳 |
一説には、平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した武将・梶原景時の嫡男・景季が鎌倉を追われて一族とともに戦死した際、その後を追って自害した景季の妻・信夫の霊を弔うため、仏行寺が建立されたという逸話も残されています。
仏行寺の裏山には梶原景季の片腕が埋められていると伝わる「源太塚」があり、近隣には信夫が祀られた「しのぶ塚」もあります。
仏行寺は鎌倉随一のツツジの名所
仏行寺は、境内正面から見るとすぐ背後に山が迫った小さなお寺のように見えますが、本堂の裏にまわると、その印象は見事に裏切られることになります。
決して広大というわけではありませんが、本堂の裏には、裏山の斜面をうまく利用したツツジの庭園と、2つの池を備えた池泉庭園が広がっています。本堂の裏にはベンチが置かれていますので、そこに腰掛けてひと休みさせていただくこともできますし、裏山に登って庭園を見下ろすこともできます。
鎌倉にはツツジを見られるお寺などは少なくありませんが、このような斜面いっぱいに敷きつめられたツツジを見られる場所は他にありません。
仏行寺境内の見どころ
山門
薬医門の形式の山門です。
本堂
やぐらと石塔、石仏
仏行寺の裏山の斜面には、やぐら(中世の横穴式の墳墓または供養の場)がいくつか口を開けているのを確認できます。その中や、墓地や裏山に続く道沿いにはたくさんの石塔や石仏が建ち並んでいます。