三浦富士はかつて「浅間山」と呼ばれていた山で、山頂には浅間神社の奥宮が鎮座しています。三浦富士と呼ばれることが多いですが、単に「富士山(ふじやま)」と呼ばれることもあります。
その名前のとおり富士信仰の山で、山頂の奥宮に対して、京急久里浜線津久井浜駅の隣りには里宮が祀られています。
三浦富士の山頂に浅間神社が建立されたのは、奈良時代の天平年間(8世紀)、高僧・行基が当地を訪れた際に、浅間山(三浦富士)の山頂に駿河国の浅間神社を勧請したのがはじまりと伝えられています。
津久井浜駅や京急長沢駅方面からは砲台山を経由して武山までハイキングコースになっていて、低山ながらまわりに高い山がないため、東京湾や本家・富士山などを望むビュースポットも点在しています。
津久井浜駅のすぐ隣の里宮(本殿)に参拝してから、三浦富士山頂の奥宮に参拝すれば、気軽に富士信仰を味わうことができます。
三浦富士山頂に広がる東京湾~三浦半島南部~富士山のパノラマ
三浦富士の山頂は、ゴツゴツとした岩山の頂上といった雰囲気です。あまり広い場所ではなく、お弁当を広げるような場所には適していません。また、トイレもありません。
三浦富士山頂からの眺望は、360度の大パノラマとまではいきませんが、東京湾から三浦半島南部、相模湾までの眺望が開けています。
海から見ると高い位置に見える久里浜霊園も、三浦富士の山頂からは眼下に見下ろすかたちになり、それなりの標高を登ってきたことを実感できます。(と言いましても、三浦富士の標高は183mですが)
空気が澄んでいる日には、近場の三浦市最高峰の岩堂山から、伊豆大島、天城連山、箱根の山々、そして本家・富士山まで見渡すことができます。
近年まで富士信仰が息づいていた浅間神社奥宮
浅間神社の奥宮がある三浦富士山頂では、毎年7月8日に、家内安全・大漁・海上安全・五穀豊穣などを祈願する神事「お焚き上げ」が盛大に行われていましたが、後継者不足や参拝者の減少などが原因で、2015年以降は行われていません。
三浦富士の山頂には、浅間神社奥宮の石祠の他にも、富士講や富士登山、大願成就の記念碑などがところ狭しと奉納されています。
三浦半島では三浦富士の他に、葉山の仙元山が富士信仰の山として知られています。
津久井浜駅・京急長沢駅・YRP野比駅それぞれからの登山方法
三浦富士へは、京急久里浜線の津久井浜駅・京急長沢駅・YRP野比駅のそれぞれから、別々のルートで登ることができます。もっともポピュラーなのは津久井浜駅からのルートになります。公共交通機関を使って最短距離で登りたい場合は、YRP野比駅からバスを利用することになります。
津久井浜駅から三浦富士山頂までのルート(津久井浜観光農園口)
津久井浜駅からの登山ルートは、まずは津久井浜観光農園をめざします。登山道の入口は津久井浜観光農園の東側(津久井浜観光農園口)にあります。
登山道入口には、目印になる浅間神社の鳥居が建っています。駅から鳥居までは住宅地や畑が続く道を歩くことになりますが、鳥居をくぐると登山道がはじまります。
案内板などの目印になるものが所々にありますので、それらを見落とさないように注意深く進めば迷うことはないはずです。
津久井浜駅から津久井浜観光農園を経由して三浦富士の山頂までは、約1時間ほどです。(津久井浜観光農園口ルート)
京急長沢駅から三浦富士山頂までのルート(津久井小裏口・長沢殿前公園口)
京急長沢駅からの登山ルートは、津久井小学校の裏(津久井小裏口)からと、その途中の長沢殿前公園の横(長沢殿前公園口)からと、二通りの行き方があります。
このうち、津久井小学校の裏からルートは、登り始めてしばらくすると津久井浜観光農園の東側からのルートと合流します。このルートの登山口にも、目印となる浅間神社の鳥居が建っています。
長沢殿前公園横からのルートは、登山口に浅間神社の鳥居こそありませんが、登り口の階段脇に小さな案内板が建っています。
京急長沢駅から津久井小学校の裏を経由して三浦富士の山頂までは、約1時間ほどです。(津久井小裏口ルート)
京急長沢駅から長沢殿前公園の横を経由して三浦富士の山頂までは、約40分ほどです。(長沢殿前公園口ルート)
京急長沢駅から三浦富士山頂までのルート(浅間神社バス停口)
YRP野比駅からの登山ルートは、通研通りの「浅間神社」バス停付近に登山道入口(浅間神社バス停口)があります。YRP野比駅から「浅間神社」バス停までは、横須賀市民病院行きか浅間神社経由通信研究所行きのバスに乗車します(YRP経由通信研究所行きのバスは「浅間神社」バス停を通りませんのでご注意ください)。
「浅間神社」バス停のすぐ近くに、大きく「浅間神社」と刻まれた三浦富士登山道の一合目を示す石柱が建っていますので、入口はこれが目印になります。しばらく歩くと若宮神社があり、境内裏から本格的な登山道がはじまります。急な登りが続いた後、山頂の手前で長沢殿前公園口ルートと合流します。
YRP野比駅からバスを利用して、「浅間神社」バス停から三浦富士の山頂までは、約20分(バス乗車時間は含まず)です。(浅間神社バス停口ルート)
この浅間神社バス停口ルートは山頂までの距離がもっとも短いのと引きかえに、急な傾斜の区間が続きます。およそ半分の区間に、補助用のロープが備え付けてあります。備え付けのロープを適切に使えば登りはそこまでたいへんではありません。反対の下りは歩きにくく、とくに初心者は危険をともないますので、このルートは登りで使うことをおすすめします。
バリエーション豊かな 三浦富士~砲台山~武山ハイキングコース
三浦富士~砲台山~武山は三浦丘陵の南の代表的な山々で、通称「三浦三山」などと呼ばれています。いずれも標高200m前後の低山ながら、山頂に浅間神社奥宮が鎮座する富士信仰の山、旧日本海軍の防空砲台(高角砲台)跡の戦争遺跡が残る山、山頂の武山不動院とつつじが名所となっている山と、それぞれまったく違った個性を持つバリエーション豊かなハイキングコースです。
また、東京湾側(房総半島方面)と相模湾側(富士山方面)の両方の景色をたのしめるのも特徴です。