三浦海岸は、京急久里浜線三浦海岸駅が最寄り駅の、三浦市の東京湾側の海岸です。およそ1kmに渡って、広い砂浜がひろがっています。北側は津久井浜海岸、南側は菊名海岸に隣接しています。
三浦半島の東京湾側ではもっとも大きくメジャーな海岸で、例年、夏には三浦海岸海水浴場が開設されます。また、この海水浴場開設期間中に開催される「三浦海岸納涼まつり花火大会」は、三浦海岸の夏の風物詩として親しまれています。
2024年は海水浴場が開設されませんでしたが、2025年は「MIURA FUN BEACH 三浦海岸」として2年ぶりに復活しました。
三浦海岸が日本の発祥の地とされる、ブラジル生まれのビーチスポーツ「フレスコボール」
の大会やライブイベントの開催、地元・三浦の食材を使ったメニューを提供するフードトラックやテントの出店などが予定されています。
2025年海水浴場 | ○ 7月12日(土)~8月31日(日) 9:00~17:00 |
2025年海の家開設 | ○ オフィシャルビーチハウスや日よけテント、無料更衣室(コインロッカーの使用は有料)、無料シャワーなどが設置されます。 |
公衆トイレ | ○ |
駐車場 | ○ 下浦海岸第1駐車場(有料) 下浦海岸第2駐車場(有料) 菊名海岸沿いの無料駐車スペース(南下浦地区海岸用地) |

INDEX
海水浴場だけじゃない「MIURA FUN BEACH」

2025年夏の三浦海岸は、「MIURA FUN BEACH 三浦海岸」として2年ぶりに海水浴場が開設されました。「MIURA FUN BEACH 三浦海岸」は三浦海岸海水浴場の愛称と言うわけではなく、この場所で1年を通して開かれるイベントの総称です。海水浴場はその一部にすぎません。
今後は、三浦海岸をフィールドに、海水浴シーズンだけに留まらず、ビーチスポーツやアートイベントなど、さまざまなイベントが開催されていく予定です。(執筆時点では、2026年度以降は未定)
このような新しい試みは海水浴場にも表われていて、海の家が建ち並ぶ一般的なビーチとは雰囲気が異なります。
ステージで音楽などのライブパフォーマンスやラジオの公開収録が行われているかと思えば、そのすぐ横ではテレビ番組と連動したアイドルグループによる海の家(抽選予約制)で推し活をたのしむ人たちがいたり、広い砂浜を利用してフレスコボールの大会が開かれていたり、アートイベントのオブジェが展示されていたり、海水浴をたのしんでいない人の方が多い、めずらしい海水浴場です。
たしかにこれは「海水浴場」と呼ぶには違和感のある場所で、実際に足を運んでみると、「MIURA FUN BEACH 三浦海岸」と名付けられた意図がよく分かります。



※この他にも飲食店はキッチンカーや出店ブースなどの選択肢があります
三浦海岸駅から徒歩5分・三浦縦貫から車で10分の駅近ビーチ

とくに近年の三浦海岸は、子ども連れのファミリー向け海水浴場といった印象が強くみられました。
それは、京急線の三浦海岸駅から徒歩約5分という最寄駅からの近さや、海岸沿いに駐車場が完備されているという、交通アクセスがバツグンに良いと言う点が、ファミリー層に支持されていたからなのでしょう。
また、以前の三浦海岸は、高速道路のインターチェンジから遠く、佐原ICや林ICなどで降りて、混雑する一般道を使ってアクセスしなけれならないというイメージもありました。しかし、2020年に、横浜横須賀道路直結の三浦縦貫道路が、三浦海岸までおよそ3kmほど(車で約10分)ほどの場所にある高円坊まで延伸したことによって、現在は車でのアクセスも格段に良くなっています。
三浦半島の相模湾側に位置する逗子や葉山などの海水浴場は、大人のグループやカップルを意識した雰囲気作りで人気となるなか、この交通アクセスの良さやファミリー層にやさしい環境というのは、三浦海岸の大きなアドバンテージと見られていました。
しかし実際には、三浦海岸海水浴場の来場者数(2023年は約8万人。同年の逗子海水浴場は約22万人)は収益がでないほどにまで落ち込んでいて、2024年夏には海の家が出店せず海水浴場が開設されないという事態に陥りました。
三浦海岸海水浴場の栄枯盛衰の歴史

かつては三浦海岸の砂浜に数多く建ち並んでいた海の家も、2023年夏には、2軒にまで減少していました。
1966年(昭和41年)に京急久里浜線が三浦海岸駅まで開業すると、京急は三浦海岸エリアの開発を積極的に進めるようになります。海岸近くに海水浴やマリンスポーツなどの海のレジャーの拠点となる施設「京急三浦ビーチセンター」(閉鎖済み)を設け、砂浜には特設ステージをつくってアイドルらがパフォーマンスする「三浦海岸フェスティバル」を開催しました。さらに、「三浦海岸フェスティバル」に出演するアイドルらを電車に乗せて、車内でお客とアイドルらが交流できる「ミュージック・トレイン号」といった特別列車の運転も行っていました。
夏季の三浦海岸の人気ぶりは昭和を通して続きましたが、平成に入り、レジャーの多角化とともに、その人気にも陰りが見えてくるようになっていきました。
近年では、2017年から海の家ライブハウス「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」でライブイベントが開催されるようになり、ひさしぶりに三浦海岸に音楽フェスが戻ってきました。再びその時代に人気のエンタメとともに息を吹き返すかと思われた三浦海岸海水浴場でしたが、コロナ禍を挟んで、音楽フェスの開催はまた途絶えることになりました。
2025年の「MIURA FUN BEACH 三浦海岸」という試みは、近年の海の家主体の海水浴場と比べると目新しいものばかりですが、その時代にあったエンタメをうまく取り込むことができたときに成功してきた三浦海岸海水浴場の歴史を考えれば、その延長線上にあるもののようにも見えます。

マーケティング戦略で生まれた「三浦海岸」
古くからこのあたりの海岸は下浦海岸と呼ばれていました。三浦半島の東京湾へ南東に向かって開けた、野比海岸の北側の千駄ヶ崎(久里浜の発電所がある岬)から金田海岸の南側の雨崎までは、約10kmに渡って大きな孤を描く連続した海岸になっています。広義には、このあたり一帯は「下浦海岸」と呼ばれてきました。
今でも、三浦海岸に面した有料駐車場の名称は「下浦海岸駐車場」と言い、昔の名残が残っています。三浦海岸周辺には、「南下浦」という地名もあります。
また、横須賀市の野比や長沢周辺の海岸は、現在も「北下浦海岸」と呼ぶことがあります。
転機となったのは、前述の京急久里浜線の三浦海岸駅までの延伸です。京急は当初、このあたりの大字にちなんで「上宮田駅」とする計画でした。そのため、当時の新造車両の方向幕には「上宮田」という行き先が入っていたと言います。
しかし、夏のレジャーと言えば海水浴がダントツで一位という時代背景もあり、マーケティング戦略上、開業前に「三浦海岸駅」へと変更となりました。
「上宮田」という地名(住居表示)は現在も残っていて、三浦海岸の砂浜に最寄りのバス停は「上宮田」(「三浦海岸駅」の一つ海側のバス停)という名称が使われています。
なお、隣りの「三崎口駅」の周辺は「下宮田」と言う地名ですが、こちらも戦略的に、三崎港方面に延伸する予定があったため「三崎」という名称を含む駅名となっています。

三浦海岸の冬の風物詩 大根干し

冬ダイコンの一大生産地である三浦市では、たくあん作りも盛んです。三浦のたくあん作りで定番なのが、潮風にさらしながら天日干しにする方法です。天日干しされた大根は、ぬか漬けされて、たくあんへと加工されていきます。
生産者さんによって味付けは異なりますが、「まいるど」と呼ばれる三浦の浅漬けたくあんは、神奈川県が県の特産品として認定する「かながわブランド」の登録商品になっています。
毎年冬になると、三浦海岸やお隣の菊名海岸には、天日干しにされる無数の大根が立ち並びます。夏は海水浴、冬は大根干しという、砂浜の二毛作が成り立っているめずらしい海岸なのです。
三浦海岸(三浦海岸海水浴場)周辺の見どころ
このあたりの海岸は岬などで明確に分かれているわけでもなく、漁港などを除いてほぼ連続した砂浜が続いているため、いろいろな呼び方をされています。三浦海岸駅に近いあたりの海岸のみを「三浦海岸」と呼んだり、隣りの「菊名海岸」まで含めて広義の「三浦海岸」という呼び方をしたりもします。





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