関根御滝不動尊は、子安の里を源流に秋谷で相模湾に注ぐ関根川沿いに建つ不動尊です。関根川沿いには、平成初期に開村した湘南国際村の開発にあわせてバイパスとして開通した県道217号逗子葉山横須賀線も走っていますが、関根御滝不動尊はこの県道沿いではなく、並行して走る旧道沿いに祀られています。
周辺は、上流の子安の里から続く関根川親水施設・遊歩道が整備されていて、緑の濃い、小さな渓谷の雰囲気をよく留めています。
関根御滝不動尊のお堂の前では、近くの水源から引いた清水(要煮沸)を汲むことができます。この清水は胃病に効く霊水と言われていて、狭い道沿いにひっそりと建つ不動尊のわりには、この霊水を目当てに車で参拝する人が後を絶ちません。(正式な駐車場はありません)
上流の子安の里は開発を逃れた静かな場所で、そこへ通じる道も長らく普段は牛や馬が通れれば十分という時代が続いたため、周辺は車のすれ違いが困難なほど狭い道です。
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関根御滝不動尊の霊水
かつて、関根御滝不動尊は、車道より数メートル下を流れる関根川のほとりに祀られていました。しかし、1923年(大正12年)に発生した関東大震災により崩れたため、現在の場所に移されたと言います。
現在の関根御滝不動尊の霊水は、かつてお堂があった場所からパイプで汲み上げられて、利用できるようにされています。
不動尊とともに、この霊水も、里の人たちにとって欠かせない存在として、大切にされてきたことがうかがい知れます。
牛馬の神様を祀る日月宮と新箸の祝い
関根御滝不動尊のお堂のすぐ横には、牛馬の神様を祀る、日月宮が鎮座しています。昭和後期に近くの山から現在の場所に移されています。
茅などで作った箸でそばや団子を食べる「新箸の祝い」という、主に千葉県で見られる行事も伝えられています。「新箸の祝い」は、その起源や目的などの詳細は分かっていないようですが、農業に関する風習と見られています。
牛馬の神様を敬われてきていたり、このような三浦半島ではめずらしい風習も伝わっていて、関根川沿いの子安の里や秋谷・久留和は、生活の営みや人の気配が感じられない秘境とはまた違った里山ならではの魅力が残る場所です。