水間神社は、三浦・南下浦町菊名の白山神社前より続く谷戸奥の、菊名川のたもとに鎮座する神社です。小さな木造の社殿が建つ下からは湧水がこんこんと湧き出ていて、「水間様の湧水」などと呼ばれ、親しまれてきました。
この湧水を飲むと、母乳の出が良くなるという言い伝えがあります。(要煮沸)
水間神社に祀られている御祭神は水歯別尊で、子育てや歯の健康、五穀豊穣などのご利益があるとされています。
主祭神 | 水歯別尊 |
旧社格等 | ― |
創建 | 不詳 |
水間神社の詳しい由緒は分かりませんが、少なくとも江戸時代後期には「水間権現」などと呼ばれ、毎年6月15日には例祭が執り行われるなど、地域の人々に親しまれていました。明治時代に入り、国の一村一社の政策により、菊名村に鎮座していた他の神社とともに、水間神社は白山神社へ合祀されました。(現在も白山神社には、水間神社の御祭神である水歯別尊も祀られています)
しかし、今もこうして水間神社が白山神社の境内外に祀られているということは、それほど地域の人たちにとって「水間様」や霊験あらたかな「水間様の湧水」が特別な存在だったからにほかならないでしょう。そして、なによりも、湧水の湧くこの場所にお祀りしなければ意味をなさないという、場所性が信仰に強く表われている例でもあります。
水間様の湧水は菊名川の水源の一つ
水間神社が鎮座する谷戸は、台地の上や広い盆地に耕作地が多い三浦市ではめずらしい、小さな谷に畑が広がる、昔ながらの農村の風景が広がっています。この谷戸の田畑を潤してきたのが菊名川であり、その水源の一つが水間神社の湧水です。
菊名川は引橋近くを源流に、水間神社の鎮座する谷戸を流れていき、白山神社近くで他の川と合流して、最後は仲川という名前で菊名海岸から東京湾に注ぎます。
水間神社(水間様の湧水)への行き方
水間神社へのアクセス方法は、主に2通りあります。
どちらから行く場合も、水間神社周辺も含めて、すれ違いが困難な道が続きますので、車でのアクセスはおすすめしません。
引橋方面からのアクセス方法
一つ目は、引橋方面から菊名川の谷戸に向けて下って行くルートです。こちらのほうが最寄りバス停からの距離は短いですが、高低差がかなりあります。引橋からはすぐ、およそ500mで50m下るという、かなりの急坂があります。
引橋は三浦半島の国道134号線の折り返し地点です。このあたりの最高地点でもあり、東京湾側へも相模湾側へも切り立った、崖の頂上にあります。京急バスの「引橋」バス停までは、三崎口駅と三浦海岸駅からバスが出ています(本数は三崎口駅からのほうが多いです)。
この引橋の南東側(三崎港寄りの自動車用の信号機がある辺り)に、車一台が通れるくらいの道があり、そこを下りて行きます。しばらく左側に住宅地が続きますが、坂を下りきると、交通量の多い引橋周辺から風景はすっかり変わり、のどかな農村の風景が広がる谷戸に出ます。道なりに歩くと、すぐに水間神社周辺に着きます。
なお、引橋を挟んだ反対側(相模湾側)には、小網代の森が広がっています。
菊名海岸・白山神社方面からのアクセス方法
二つ目は、菊名海岸や白山神社方面から、菊名川沿いを上流に向けて進むルートで、こちらは高低差がほとんどありません。
三浦海岸駅方面から菊名海岸沿いを走ってきた県道215号上宮田金田三崎港線の京急バス「白山神社」バス停近くから内陸に入り、菊名区民会館前の三叉路を左に入ります。あとは、谷戸の中の道を、道なりに進んで行きます。
明治時代に水間神社の神様は白山神社へ合祀されたため、白山神社へ参拝してからこちらへ向かうのが正式なルートと言えるのかもしれません。
水間神社周辺
とくに案内板などもありませんので水間神社周辺も分かりやすくはありませんが、引橋方面からの場合は進行方向に向かって右側、菊名海岸・白山神社方面からの場合は進行方向に向かって左側に、小さな祠が見えたらそこが水間神社です(このページのカバー写真参照)。