久留和熊野神社は、三浦半島の西海岸沿いにある秋谷の字・久留和の鎮守です。境内は相模湾を望む高台にあるため、近くの長者ヶ崎から、条件が良ければ富士山まで一望できます。付近は住宅地のため、そこまで景観が良いというわけではありませんが、古くは、風光明媚だった場所であることを想像するのは難しくありません。
かつての久留和熊野神社は、この近くにある、鎌倉時代末期の1332年(元弘2年/正慶元年)創建の円乗院が別当として管理していました。しかし、1526年(大永6年)の秋谷村の大火事によって類焼し、神社について記した書物等も失われてしまいました。このため、久留和熊野神社の由緒や縁起等の詳しいことは定かではありません。
ただ、円乗院の創建より前からこの地に鎮座していたものとみられています。
主祭神 | 伊弉諾命 泉津事解男命 速玉男命 |
旧社格等 | 指定村社 |
創建 | 不詳 ※1332年(元弘2年/正慶元年)以前 |
祭礼 | 2月第2日曜日 祈年祭 11月10日 例祭 湯立神楽 ※実際の日にちは異なる場合があります |
INDEX
久留和の産土神
久留和熊野神社の境内のすぐ下にある久留和海岸には子を産む石の言い伝えがあって、古くから安産の神様として信仰されています。これらは「子産石」と呼ばれていて、その象徴として、国道134号を挟んで境内の向かい側にある「子産石」バス停(葉山方面の上り車線側)付近に、直径1mほどの丸い石が祀られています。
久留和熊野神社は古くから、久留和(曲輪)の産土神として崇敬されてきたと言われていますが、「産土神」の一般的な意味合いである「生まれた土地の神様」や「地縁の神様」という他に、「安産の神様」という意味もあわせ持つ、ダブル・ミーニングの神様であると言えます。
相模湾を見下ろす龍王宮
久留和熊野神社の境内社の一社・龍王宮は、境内の一層高い場所に鎮座しています。龍王宮は「海の神」や「水の神」として祀られていることが多く、この地の龍王宮もそのような背景があることを想像させてくれるロケーションにあります。