三浦半島南東端に建つ剱埼灯台は、関東大震災後の1925年(大正14年)に再建されてから、2025年で100周年を迎えました。7月5日土曜日には、これを記念して、普段は入ることができない灯台内部が一般公開されました。
イベントは、灯台を管轄する海上保安庁やボランティア団体の方々の案内のもと行われ、灯台最上段の大型のフレネルレンズの前では、ガイドによる剱埼灯台の歴史と最新の動向についての解説も行われました。
当日来場した先着100名には、再点灯100周年を記念したノベルティとして缶バッジやリーフレットなどの配布もありました。
なお、この缶バッジ(下の写真参照)に書かれた「alfl2+1wg30s」という暗号のような表記は、剱埼灯台が「30秒周期で白色の光を2回・緑色の光を1回発光している灯台」であるということを示しています。

INDEX
関東大震災後再点灯から100周年

剱埼灯台は、1866年(慶応2年)にアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4ヶ国と結んだ江戸条約(改税条約)によって江戸幕府が建設を約束した8ヶ所の灯台の一つで、1871年(明治4年)に日本で7番目の西洋式灯台として初点灯しました。設計は、日本における「灯台の父」と呼ばれるイギリス人技師リチャード・ブラントンによるものでした。
この初代の剱埼灯台は、1923年(大正12年)に発生した関東大震災で倒壊してしまいましたが、その2年後の1925年(大正14年)に、コンクリート造の白亜の灯台として再建され、再点灯しました。
剱埼灯台では、第2等レンズと呼ばれる大型のフレネルレンズが使用されています。これは、近隣の観音埼灯台や城ヶ島灯台などより大きく、全国的にも10本の指に入る大きなレンズです。
2025年春には全国の灯台に先がけて光源のLED化が行われましたが、レンズは引きつづき大型のフレネルレンズが使用されています。


剱埼灯台はTVドラマ「星屑テレパス」の聖地巡礼地

剱埼灯台は、2024年夏に放映されたTVドラマ「星屑テレパス」(原作は大熊らすこ氏による4コマ漫画で、2023年にはTVアニメ化もされています)のロケ地になったため、その聖地巡礼地としても知られています。
主要な登場人物の一人で、自称「宇宙人」の明内ユウが暮らす廃灯台という設定でした。原作のモデルは静岡県静岡市清水区にある清水灯台(三保灯台)とされていますが、撮影上の都合もあり、関東近郊の複数の灯台の中から、最終的に剱埼灯台が選ばれたと言います。
剱埼灯台やその周辺の海岸は、オープニングシーンをはじめ、ドラマ「星屑テレパス」の印象的なシーンで数多く登場しています。
また、ドラマ「星屑テレパス」では灯台に地下室があり、秘密基地として使用するという設定になっていました。通常、灯台には地下室は存在しませんが、剱埼灯台にはたまたま地下室が存在していたため、その扉を開けるシーンまでは現地で撮影されました。実際の地下室は狭く、部屋の内部は別撮りです。

