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飯森神社 | 五穀農穣と原野の神を祀る子之神社&姥神社が合併した三崎口駅近くの古社

飯森神社・鳥居越しに社殿を見上げる(撮影日:2026.05.09) 三浦
飯森神社・鳥居越しに社殿を見上げる(撮影日:2026.05.09)

飯森神社いいもりじんじゃは、京急久里浜線の終点「三崎口駅」近くの谷戸に鎮座する、旧下宮田村・飯森地区の鎮守です。

もともと飯森には、大国主尊を祀る「子之神社ねのじんじゃ」と、菅野姫尊を祀る「姥神社うばじんじゃ」が鎮座していましたが、1911年(明治44年)に合併し、「飯森神社」と称するようになりました。

現地に掲示されいている神社の由緒によれば、飯森神社の主祭神としては、旧子之神社の主祭神だった大国主尊がメインのようで、完全な対等合併というわけではなかったようです。

主祭神大国主尊
菅野姫尊(合祀神)
旧社格等
創建旧子之神社:1711年(正徳元年)
旧姥神社:慶長年間(1596~1615年)
祭礼10月14日 例祭
※実際の日にちは異なる場合があります

1966年(昭和41年)に三浦海岸駅と、1975年(昭和50年)に三崎口駅がそれぞれ開業したことにより、飯森神社が鎮座する谷戸にも両駅から宅地化の波が押し寄せてきましたが、神社周辺はまだ鎮守の杜が残されています。
この森は海上からもよく見えるため、古くから、航海や漁業をする際の目印になっていたと言います。

飯森神社・社殿前より三崎口駅方面を望む(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・社殿前より三崎口駅方面を望む(撮影日:2026.05.09)
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「五穀農穣の神」を祀る子之神社

飯森神社・参道入口付近の社号標(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道入口付近の社号標(撮影日:2026.05.09)

子之神社は、江戸時代中期の1711年(正徳元年)、飯森(現在の三浦市初声町下宮田の一部)の住人・高梨角右衛門大国主尊を勧請して祀ったのがはじまりと伝えられています。
高梨」という姓は、今も、初声町下宮田三浦市で多く見られる名前です。三浦半島で「高梨」と言えば、今も県立横須賀大津高校の隣りに営業所を置く、横須賀が創業の地である高梨乳業(タカナシ乳業)も著名ですが、遠縁ではあるかもしれないものの、こちらとは違う系統とみられます。

子之神社(子ノ神社)」という名前の神社は、全国的にはマイナーな存在ですが、南関東ではそれほどでもありません。江戸時代後期から明治期にかけての三浦半島(旧三浦郡のみ。旧鎌倉郡、旧久良岐郡は除く)には、少なくとも十数社鎮座していました。(詳細は、横須賀・汐入子之神社の記事をご覧ください)

しかし、その多くが比較的規模が小さい神社だったようで、明治から大正にかけて行われた国の神社合祀の政策(一村一社の令)により、地域の中心的な鎮守に合祀され、現存せず、忘れられてしまった神社がほとんどです。
名前こそ変わってしまいましたが、合併後も子之神社時代の御祭神が主祭神として引き継がれている飯森神社は、稀なケースと言えます。

子之神社」という神社名は、十二支の一つである「(ね)」に由来すると考えられます。「」は動物で言うとネズミ、方角で言うとを指します。子之神社時代の御祭神・大国主尊大己貴命大国主神など多くの別名が存在)の神使はネズミと考えられていて、明治維新より前の神仏習合の時代には、七福神の一柱・大黒天と同一視されていました。
江戸時代後期に編さんされた地誌「新編相模国風土記稿」では、子之神社には大黒天の石像が置かれていると書かれていますが、現在の飯森神社では大黒天の木像が祀られています。

大国主尊あるいは大黒天は、一般的に、五穀農穣の神商売繁盛の神などとされています。昔から農耕が盛んな地域だった飯森の神社らしい神様だと言えます。

飯森神社・社殿(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・社殿(撮影日:2026.05.09)
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「原野の神」を祀る姥神社

飯森神社・鳥居と社殿(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・鳥居と社殿(撮影日:2026.05.09)

もう一方の姥神社の歴史は子之神社よりも古く、安土桃山時代末期から江戸時代初期にかけての慶長年間(1596~1615年)に、現在もこの近くにある妙音寺の住職・賢栄菅野姫尊を勧請して祀ったのがはじまりと伝えられています。
ただし、「新編相模国風土記稿」では、賢栄はそれよりも古い天正年間(1573年~1592年)に亡くなったとあり、この史料の記載誤り、姥神社の由緒の誤り、勧請した人物の誤りのいずれかが考えられます。これくらい古い時代の歴史であれば、この程度の齟齬が生じることはめずらしいことではなく、安土桃山時代から江戸時代に妙音寺の僧によって創建された神社と考えておけば十分でしょう。

子之神社と同様に、「姥神社」という名前の神社も比較的めずらしいものです。1879年(明治12年)から1920年(大正9年)にかけて神奈川県がまとめた「明治12年 神社明細帳(三浦郡)」によれば、この当時の三浦半島(旧三浦郡のみ。旧鎌倉郡、旧久良岐郡は除く)には3社あったことが確認できます(飯森姥神社以外では、六合村字下ノ込太田和村字小田和に鎮座)。

姥神信仰は、乳母にちなんだ子育て安産の神としての信仰をはじめ、全国各地に存在します。妙音寺の宗派である高野山真言宗の開祖・弘法大師(空海)や女人禁制であった高野山にまつわる伝説もあります。
飯森姥神社の御祭神・菅野姫尊は、山の神とされる大山津見神(大山祇神)の妃で、一般的に、原野の神草の神とされています。
今となっては「姥神社」と名付けられた理由はよく分かりませんが、子之神社大国主尊同様、こちらも飯森らしい神様を祀る神社です。

飯森神社・神社周辺(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・神社周辺(撮影日:2026.05.09)
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飯森神社の参道風景

飯森神社の参道沿いには、境内社の稲荷社が祀られている他、石仏が安置されています。

飯森神社・参道入口(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道入口(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道沿いの稲荷社(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道沿いの稲荷社(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道沿いの石仏(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道沿いの石仏(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道入口付近で咲くオランダカイウ(カラー)(撮影日:2026.05.09)
飯森神社・参道入口付近で咲くオランダカイウ(カラー)(撮影日:2026.05.09)
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DATA

住所 三浦市初声町下宮田字飯森282
アクセス
行き方

京急久里浜線「三崎口駅」より徒歩約20分
または、京急久里浜線「三浦海岸駅」より京急バス「三崎東岡(引橋経由)」「三崎港」行きで、『半次』下車、徒歩約10分

駐車場 なし
料金

無料(志納)

電話番号 046-888-0758 ※白山神社(管理元神社)
ウェブサイト https://miurahakusanjinja.jp/kenmu/
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