三浦海岸は、京急久里浜線三浦海岸駅が最寄りの、三浦市の東京湾側の海岸です。北側は津久井浜海岸、南側は菊名海岸に隣接しています。
三浦半島の東京湾側ではもっとも大きくメジャーな海岸で、例年、夏には海水浴場が開設され、「三浦海岸納涼まつり花火大会」も開催されます。
三浦半島の相模湾側に位置する逗子や葉山などの海水浴場は、大人のグループやカップルを意識した雰囲気作りが見られる中、三浦海岸はファミリー向けの海水浴場といった印象が強いです。
それは海の家などの周辺施設の雰囲気も影響を与えていますが、京急線の三浦海岸駅から徒歩約5分という最寄駅からの近さや、海岸沿いに駐車場が完備されているという、交通アクセスがバツグンに良いと言う点も、三浦海岸がファミリー層から支持されている大きな理由になっていると考えられます。
2024年海水浴場 | 三浦海岸海水浴場は開設されません |
2024年海の家開設 | × |
公衆トイレ | ○ |
駐車場 | ○ 菊名海岸沿いの無料駐車スペース(南下浦地区海岸用地) 下浦海岸第1駐車場(有料) 下浦海岸第2駐車場(有料) |
このあたりの海岸は岬などで明確に分かれているわけでもなく、漁港などを除いてほぼ連続した砂浜が続いているため、いろいろな呼び方をされています。三浦海岸駅に近いあたりの海岸のみを「三浦海岸」と呼んだり、隣りの「菊名海岸」まで含めて広義の「三浦海岸」という呼び方をしたりもします。
INDEX
三浦海岸の音楽フェスの今昔
1966年(昭和41年)に京急久里浜線が三浦海岸駅まで開業すると、京急は三浦海岸エリアの開発を積極的に進めるようになります。海水浴やマリンスポーツなどの海のレジャーの拠点となる施設「京急三浦ビーチセンター」(閉鎖済み)を設けて、砂浜には特設ステージをつくってアイドルらがパフォーマンスする「三浦海岸フェスティバル」を開催しました。さらに、「三浦海岸フェスティバル」に出演するアイドルらを乗せて車内で交流ができる「ミュージック・トレイン号」といった特別列車の運転も行っていました。
夏季の三浦海岸の人気ぶりは昭和を通して続きましたが、平成に入り、レジャーの多角化とともに人気も落ち着いていきました。かつては砂浜に数多く建ち並んでいた海の家も、2023年夏は2軒にまで減少しています。
近年では、2017年から海の家ライブハウス「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」でライブイベントが開催されるようになり、ひさしぶりに三浦海岸に音楽フェスが戻ってきました。(2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、開催されていません)
マーケティング戦略で生まれた「三浦海岸」
古くからこのあたりの海岸は下浦海岸と呼ばれていました。三浦半島の東京湾へ南東に向かって開けた、野比海岸の北側の千駄ヶ崎(久里浜の発電所がある岬)から金田海岸の南側の雨崎までは、約10kmに渡って大きな孤を描く連続した海岸になっています。広義には、このあたり一帯は「下浦海岸」と呼ばれてきました。
今でも、三浦海岸に面した有料駐車場の名称は「下浦海岸駐車場」と言い、昔の名残が残っています。三浦海岸周辺には、「南下浦」という地名もあります。
また、横須賀市の野比や長沢周辺の海岸は、現在も「北下浦海岸」と呼ぶことがあります。
転機となったのは、前述の京急久里浜線の三浦海岸駅までの延伸です。京急は当初、このあたりの大字にちなんで「上宮田駅」とする計画でした。そのため、当時の新造車両の方向幕には「上宮田」という行き先が入っていたと言います。
しかし、夏のレジャーと言えば海水浴がダントツで一位という時代背景もあり、マーケティング戦略上、開業前に「三浦海岸駅」へと変更となりました。
「上宮田」という地名(住居表示)は現在も残っていて、三浦海岸の砂浜に最寄りのバス停は「上宮田」(「三浦海岸駅」の一つ海側のバス停)という名称が使われています。
なお、隣りの「三崎口駅」の周辺は「下宮田」と言う地名ですが、こちらも戦略的に、三崎港方面に延伸する予定があったため「三崎」という名称を含む駅名となっています。
三浦海岸の冬の風物詩 大根干し
冬ダイコンの一大生産地である三浦市では、たくあん作りも盛んです。三浦のたくあん作りで定番なのが、潮風にさらしながら天日干しにする方法です。天日干しされた大根は、ぬか漬けされて、たくあんへと加工されていきます。
生産者さんによって味付けは異なりますが、「まいるど」と呼ばれる三浦の浅漬けたくあんは、神奈川県が県の特産品として認定する「かながわブランド」の登録商品になっています。
毎年冬になると、三浦海岸やお隣の菊名海岸には、天日干しにされる無数の大根が立ち並びます。夏は海水浴、冬は大根干しという、砂浜の二毛作が成り立っているめずらしい海岸なのです。