森山神社(森山社)は、葉山御用邸からほど近い一色に鎮座する古社です。
奈良東大寺の別当・良弁僧正が勧請した神社で、すぐ隣りに建つ玉蔵院は森山神社の別当寺(神社を管理するための寺院)として建てられた寺院です。かつてはともに、三ヶ岡(大峰山、古くは佐賀岡)の山頂にあったという言い伝えがあります。
森山神社では、水を使って五穀の豊凶を占うというめずらしい神事「世計り神事」も執り行われています。
現在の「世計り神事」は、毎年8月最終日曜日に執り行われる森山神社・例大祭当日に吾妻神社(滝の坂不動尊)で水を汲み取る「お水取り」からはじまり、森山神社に持ち帰った水を東西南北と記された木札を貼り付けた甕に移し麦麹入れて神殿内に収めます。これを翌年の例大祭前日にあたる土曜日に開け、甕の水の減り具合と木札の落ち方によって五穀の豊凶を占うという、1年がかりの神事です。
また、逗子・小坪の須賀神社(天王社)の神様を迎えて33年ごとに行われる「行合祭」は、奈良時代から1,300年近く続く神事です。(次回は2028年に開催予定)
森山神社の主祭神・奇稲田姫命(女神)と須賀神社の主祭神・素戔嗚尊/須佐之男命(男神)は夫婦のため、33年ごとに須賀神社の素戔嗚尊/須佐之男命がお神輿にのって、森山神社の奇稲田姫命に会いに来るという、ロマンティックなお祭りです。素戔嗚尊/須佐之男命は森山神社の奇稲田姫命のもとで3日間(明治以前までは7日間)過ごした後、帰っていきます。
主祭神 | 奇稲田姫命 |
旧社格等 | 村社 |
創建 | 749〜757年(天平勝宝年間) |
祭礼 | 1月2日 歳旦祭 2月中旬 祈年祭 8月最終日曜日 例大祭「世計り神事」 11月中旬 新嘗祭 満32年目毎 行合祭(三十三年大祭) ※実際の日にちは異なる場合があります |
森山神社では「森山神社土曜朝市」が開催されていて、個性豊かな地元の商店やアーティストが出店します。
朝市に登録されている出店者それぞれの判断で、毎回開催ギリギリまでどのお店が出店するか分からないという、ゆるくて自由な、おもしろい朝市です。
INDEX
地域の劇場にもなる森山神社と一色会館の舞台装置
森山神社の社殿が建つ高台には、そこへ上がるための階段が設けられているのはもちろんですが、階段の横の斜面も、ひな壇のような階段状になっています。
このひな壇の正面には、向かい合うように一色会館のレトロな建物が建っています。お祭りなどのイベントが開催される際には、一色会館の1階前面の扉が開放されて大広間が36畳のステージとなり、社殿手前のひな壇を観客席として使えるという、森山神社にはなんともユニークな地域の舞台装置が備わっています。
三ヶ岡を背にして鎮座する静かな境内
森山神社は、国道134号から一歩奥に入った場所にあるため、観光客が立ち寄ることは少なく、住宅や商業施設に囲まれているものの、地域の鎮守といった雰囲気をよく留めています。
森山神社の背後の山は、三ヶ岡(大峰山)と呼ばれています。現在、三ヶ岡一帯は県立はやま三ヶ岡山緑地という公園として整備されていて、森山神社の近くにも園内を横断するハイキングコースの一つ「つつじコース」の入口があります。「三ヶ岡」は、森山神社周辺から一色海岸北半分にかけての小字でもあります。
森山神社のイチョウの黄葉
森山神社のすぐ隣りには、かつては森山神社の別当寺(神社を管理するための寺院)であった玉蔵院があり、この寺の境内に立つ巨木も含めて、鎮守の杜を形成しているように見えます。
森山神社にも玉蔵院にも立派なイチョウの木があり、晩秋にはあたり一面が黄金色に色づきます。
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森山神社の境内社
森山神社の社殿の左右には、富士山信仰、漁業、農業などの神様を祀る、さまざまな境内社が鎮座しています。富士山を望む相模湾に面していて、海と山が近い葉山一色ならではの神様が鎮座しています。
2023年2月には、各境内社の御祭神と御神徳を記した延喜版が設置されたため、予備知識なしで参拝に訪れてもだいじょうぶです。