鎌倉・大船の鎮守である熊野神社は、安土桃山時代の1579年(天正7年)に、代々大船村の名主をつとめた甘糟家(甘粕家)の先祖・甘糟長俊が、熊野大権現を勧請して祀ったのがはじまりとされています。
今も境内の隣りにある多聞院は、甘糟長俊が、熊野神社の別当寺(神社を管理する寺院)として鎌倉・山ノ内より移転させたものです。
甘糟家と大船との関わりを示すものとしては、熊野神社からもほど近い場所で今も立派な長屋門を目にすることができる甘糟屋敷や、大船駅南西の柏尾川近くに伝わる戦国時代に後北条氏勢として安房国の里見氏と戦い亡くなった甘糟氏らを供養する玉縄首塚などが残っています。
主祭神 | 日本武尊命 |
旧社格等 | 村社 |
創建 | 1579年(天正7年) |
祭礼 | 8月下旬の土・日曜日 例大祭【鎌倉神楽奉納】 ※実際の日にちは年によって異なる場合があります |
熊野神社の鳥居をくぐり、石段を登って行くと、本殿の左斜め前に拝殿(神楽殿)が建っています。小さな境内に最大限立派な建物を設けたというくらい見事なものです。
鶴岡八幡宮や鎌倉宮など、社格の高い神社は例外として、このような独立した神楽殿を持つ神社は鎌倉でもめずらしいです。
大船熊野神社の見どころ
鳥居
拝殿(神楽殿)
本殿
金刀比羅社(琴平宮)
地神塔と祠
陸軍工兵壱等喇叭卒 石井乙次郎君碑
境内を彩る初夏のあじさいと晩秋の大銀杏
参道沿いのあじさい
熊野神社の鳥居から社殿に続く石段沿いでは、あじさいが植栽されています。
また、熊野神社のすぐ隣りに立つ大船町内会館の大銀杏は、晩秋の熊野神社境内を美しく彩ります。
どちらも、社殿のある境内の上から望んでも見ごたえがあります。
大船町内会館の大銀杏
大船熊野神社周辺の見どころ
熊野神社のすぐ裏手には、大船の切通しが通っています。切通しのため、まるで秘密の通路のように、境内からその存在はまったく見ることができません。
熊野神社境内から大船の切通しへは、拝殿(神楽殿)の前を通って素掘りのトンネルの前の車道に下りて、その車道を渡った反対側の小道からまわりこむようにして入ることができます。