白浜毘沙門天海岸(毘沙門天浜)は、このあたりの地名「毘沙門」の由来となった毘沙門天(三浦七福神第二番)の伝承が残る、毘沙門堂(白浜毘沙門天)の目と鼻の先にある海岸です。
三浦半島南部の海岸線は、海食崖の小さな入り江が連続する複雑な地形が続いています。釣り人による通称や旧字名が元となった名前で呼ばれてきた場所もありますが、白浜毘沙門天海岸を含む江奈湾から毘沙門湾周辺の海岸を総称して、毘沙門海岸と呼んでいます。
毘沙門海岸は、環境省・神奈川県が整備したハイキングコース「関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)」の「三浦・岩礁のみち」コースの一部になっていて、磯づたいに三崎港方面の宮川湾まで歩いて行くことができます。(高波や高潮の際は危険な箇所があります)
剱崎方面へは、一旦、畑の中を走るバス通りを経由して、江奈湾から磯づたいに歩いて向かうことができます。
2024年海水浴場 | × 毘沙門海岸・白浜毘沙門天海岸は海水浴場ではありません |
2024年海の家開設 | × |
公衆トイレ | ×(徒歩30分以内の場所に公衆トイレはありません) |
駐車場 | × 近隣を含めて、正式な駐車場はなし |
毘沙門海岸・白浜毘沙門天海岸(毘沙門天浜)は、雄大で豊かな自然環境にありながら、リアルタイムで環境汚染が進んでいることを実感できる場所でもあります。環境汚染が進めば、生物や植物の多様性も失われ、自然の魅力が失われるばかりでなく、草や木が減れば、がけ崩れなどの災害も起きやすくなってしまうでしょう。
INDEX
岩畳と海食崖が続く毘沙門海岸
他の三浦半島南端の海岸と同じように、白浜毘沙門天海岸周辺も砂浜はほとんどなく、岩礁が続いています。白浜毘沙門天海岸の駐車スペース前やその西側(毘沙門湾寄り)の一部に白い砂浜がありますが、「白砂」というわけではなく、「粗い貝殻質」の海岸です。
白浜毘沙門天海岸へのアクセスは、三浦海岸駅~三崎東岡のバス通り(県道215号「毘沙門バイパス」の内陸寄りの旧道)にある、毘沙門天の入口を示す古い道しるべと「関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)三浦・岩礁のみち」の道しるべが畑沿いに並んで建つ分岐を農道に入って行くと、500mほどで着きます。
バスを利用する場合は「毘沙門天入口」バス停が最寄りです。
車の場合は、道幅が狭く途中から舗装路ではなくなり段差もあるため、幅が広い車や車高が低い車の進入は難しいです。海岸には正式な駐車場はありませんが、10数台停車できる駐車スペースがあります。
三浦半島有数のゴミが多い海岸
白浜毘沙門天海岸は、海のすぐ近くまで車で乗り入れることができるため、釣り人やキャンプに訪れる人が少なくありません。他に、近隣の駐車場は、江奈湾東岸の松輪江奈漁港か宮川湾のみうら宮川フィッシャリーナ(宮川環境整備施設)しかなく、白浜毘沙門天海岸はその周辺の毘沙門海岸のどこかへ遊びにくり出す場合の入口であり拠点となる場所の一つでもあります。
毘沙門海岸は、しばしば、釣り場や無料のキャンプ場や野営地として紹介されることもあるようですが、周辺にトイレがまったくない環境ですので、長時間の滞在はオススメできません。衛生上、とても環境が良い場所とは考えられません。
また、残念ながら、世の中にはこんなにも自分勝手で傲慢な人が多いのかと感じるくらい、三浦半島でも有数のゴミが多い海岸でもあります。(この場所でアウトドアをたのしむ人たちによるゴミばかりでなく、漂着ゴミも含まれているとは考えられます)
あるいは、ゴミが出る割合はほかの海岸と変わらないのかもしれませんが、まちなかから離れていて、普段から管理や保全がされている海岸ではないため、海岸清掃の機会が少ないからそのように見えるだけということもあるのかもしれません。毘沙門海岸も、神奈川県から委託されている団体が清掃されていることがありますが、長い海岸線に溜まった大量のゴミを一掃することは困難なようです。
コロナ禍に再燃したアウトドアブームが過ぎて、マナーの良い利用者だけが残れば良いのですが、今のところそのような傾向は見られません。
三浦半島有数の海浜植物の宝庫
三浦半島最南端にあり、外洋に面している毘沙門海岸は、本来は、自然環境がとても良い場所です。海岸周辺の草地では、何種類もの海浜植物(海岸植物)を観察することができます。
毘沙門海岸は「ハマダイコン」で「かながわの花の名所100選」に選ばれています。
三浦半島でもこれほど多くの種類が自生している場所はめずらしく、毘沙門海岸は海浜植物の宝庫です。
しかし、このまま環境汚染が続いていけば、一気にではなくても、このような素晴らしい自然環境も減少していくかもしれません。あるいは、定期的に観察しているわけではないため気づいていないだけで、その傾向はすでに表われているのかもしれません。
三浦七福神第二番「白浜毘沙門天」の毘沙門堂
バス通りから白浜毘沙門天海岸までアクセスする道路の途中には、三浦七福神第二番「白浜毘沙門天」の毘沙門堂が緑の中にひっそりと門を構えています。ここの本堂である慈雲寺は、1kmほど内陸の「毘沙門」バス停(「毘沙門天入口」バス停の一つ三崎東岡寄り)の近くにあります。
現在の毘沙門天像は江戸時代のものですが、元の像は奈良時代の行基の作とされています。古来の毘沙門天像はこの近くの海中より出現したと伝えられていて、漁業関係者をはじめ、近隣の方々のあつい信仰を集めてきたと言います。
白浜毘沙門天海岸や毘沙門海岸、毘沙門湾など、このあたりを「毘沙門」と呼ぶのは、この言い伝えに由来しています。