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黄梅院(円覚寺塔頭)| 夢窓疎石を祀る円覚寺境内最奥の花の寺

円覚寺・黄梅院(撮影日:2023.11.04) 鎌倉
円覚寺・黄梅院(撮影日:2023.11.04)
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黄梅院おうばいいんは、円覚寺えんがくじに20か院近くある塔頭の1院で、円覚寺15世の夢窓疎石むそう そせき夢窓国師)の塔所です。円覚寺開基・北条時宗の正室・覚山尼時宗追善のために建立した華厳塔の敷地に建てられました。夢窓疎石は、円覚寺開山の無学祖元仏光国師)の孫弟子にあたります。
(「塔頭(たっちゅう)」とは禅宗寺院の境内またはその周辺に建つ付属の小寺院のことで、厳密には、宗派の開祖や代々の住持、高僧の墓塔のことです)

円覚寺の塔頭の多くは拝観寺院とはなっておらず、通常非公開です。黄梅院は数少ない、常時公開されている塔頭の一つです。
黄梅院は、円覚寺境内がある谷戸の、一番奥に位置しています。そのため、訪れる人もそれほど多いとは言えません。そのため、拝観寺院としての円覚寺の中では、静寂に包まれた空間で、もっとも落ちついてお参りできる場所です。

なお、円覚寺境内の裏山には六国見山がそびえていますが、建長寺境内最奥の半僧坊から天園ハイキングコースへ抜けるようなルートはなく、黄梅院で行き止まりとなっています。

山号伝衣山でんねさん
宗派臨済宗円覚寺派
寺格
本尊千手観音菩薩坐像
創建1354年(文和3年)
開山方外宏遠
開基饗庭氏直

黄梅院山門をくぐり、一歩、黄梅院の境内へ足を踏み入れると、これまで歩いてきた円覚寺の境内とは空気感がまるで変わります。庭園には草花が多く植えられていて、華やかな雰囲気があります。質実剛健な禅寺の中にあって、黄梅院はオアシス的な存在と言えるかもしれません。

円覚寺・黄梅院境内に咲くロウバイ(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・黄梅院境内に咲くロウバイ(撮影日:2020.03.06)
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風光明媚な環境を好み日本史上最も重要な作庭師でもある夢窓疎石

夢窓疎石夢窓国師)の前半生は、あまり一つの拠点、一人の師匠のもとに留まらず、鎌倉と京都を中心に移動をくり返していました。その後、一度は隠居しますが、その名声を耳にした後醍醐天皇足利尊氏といった時の権力者たちから引っぱりだこ状態になったため、後半生もやはり、移動をくり返していました。そのため、多くの寺の創建に関与して、多くの弟子をかかえることになり、その門派は「夢窓派」と呼ばれました。

夢窓疎石は風光明媚な環境を好んだようで、隠居時代には横須賀の海辺に泊船庵(現在の米海軍横須賀基地内)を結んだり、自らが鎌倉に開いた瑞泉寺の裏山・錦屏山の山頂に鎌倉や富士山を一望できる徧界一覧亭を建てたり、定住しないからこそなのか、ロケーションには強いこだわりを持っていました。

夢窓疎石は、世界遺産に登録されている京都の西芳寺苔寺)や天龍寺庭園を設計したことでも知られていて、日本史上最も重要な作庭師の一人でもあります。景勝地に寺を開けないのであれば、寺の中に景勝地を造ってしまおうという考えだったのかもしれません。
鎌倉では、瑞泉寺庭園が鎌倉に残る鎌倉時代唯一の庭園として有名です。円覚寺総門から黄梅院へと続く参道沿いにある妙香池みょうこうち周辺にも夢窓疎石が作庭した庭園があったと伝えられていて、今もその遺構を見ることができます。

円覚寺・妙香池(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・妙香池(撮影日:2023.11.04)
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黄梅院庭園の季節の草花

黄梅院庭園は、夢窓疎石の代表作とされるような庭とは趣が異なりますが、四季折々の草花を多く見られる、どこかプライベートな感じのする空間です。

円覚寺・黄梅院境内に咲くロウバイ(アップ)(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・黄梅院境内に咲くロウバイ(アップ)(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・黄梅院境内に咲くシュウメイギク(白)(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内に咲くシュウメイギク(白)(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内に咲くシュウメイギク(ピンク)(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内に咲くシュウメイギク(ピンク)(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内で実を付けるセンリョウ(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内で実を付けるセンリョウ(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内の木彫りの仏像(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内の木彫りの仏像と季節の花々(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院境内の紅葉(撮影日:2023.12.08)
円覚寺・黄梅院境内の紅葉(撮影日:2023.12.08)
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黄梅院境内のその他の見どころ

山門

円覚寺・黄梅院・山門付近(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・黄梅院・山門付近(撮影日:2023.11.04)

本堂

黄梅院本堂には、本尊・千手観音菩薩坐像夢窓国師坐像などが安置されています。

円覚寺・黄梅院(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・黄梅院・本堂(撮影日:2020.03.06)

観音堂

黄梅院境内の一番奥、すなわち、円覚寺境内の一番奥に建つ、観音堂には、聖観世音菩薩像が安置されています。

円覚寺・黄梅院の聖観世音菩薩(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・黄梅院・観音堂(撮影日:2020.03.06)
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黄梅院周辺の円覚寺境内の見どころ

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DATA

住所 鎌倉市山ノ内409 ※円覚寺の情報(以下同様)
アクセス
行き方

●北鎌倉駅から円覚寺総門まで徒歩の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン「北鎌倉駅」より徒歩約1分

●鎌倉駅から円覚寺総門までバス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、江ノ電バス「大船駅」行き、「上大岡駅」行き、「本郷台駅」行きで『北鎌倉駅』下車徒歩約1分

※円覚寺総門から黄梅院まで徒歩約10分

駐車場 なし ※円覚寺に団体バス専用駐車スペースのみあり(当日予約制)
営業時間

<円覚寺拝観時間>
3月~11月 8:30~16:30
12月~2月 8:30~16:00

料金

<円覚寺拝観料>
大人 500円(高校生以上)
子ども 200円(小中学生)

電話番号 0467-22-0478
ウェブサイト https://www.engakuji.or.jp/
※このページに掲載している内容は、予告なく変更となっている場合があることをご了承ください。

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