スポンサーリンク

龍本寺(米ヶ浜のお祖師)| 日蓮を救ったアワビと角なしサザエの伝説が残る宗門最初の霊場

龍本寺(米ヶ浜のお祖師)(撮影日:2021.04.12) 横須賀
龍本寺(米ヶ浜のお祖師)(撮影日:2021.04.12)

龍本寺りゅうほんじは、鎌倉時代、日蓮聖人が、生誕の地である房総半島から鎌倉をめざして三浦半島へ舟で渡った際に滞在した米ヶ浜(現在の横須賀市深田台、米が浜通の周辺)に建立された、御浦法華堂三浦法華堂みうらほっけどうを前身に持つ寺院です。近隣では、「米ヶ浜のお祖師さま」と呼ばれて親しまれています。

また、立宗・布教のために旅立って以降、日蓮を開山に仰ぐもっとも古い寺院のため、日蓮宗最初の霊場とも言われています。(一般的には、日蓮宗最古の寺院は、鎌倉の妙本寺とされています)

山号猿海山
宗派日蓮宗
寺格
本尊日蓮聖人像
創建1253年(建長5年)
開山日蓮
開基石渡左衛門尉

現在の龍本寺は、海岸線からはだいぶ離れた内陸の切り立った高台の上に建っています。明治前期まではこのすぐ下まで海が迫っていて、この海岸は「米ヶ浜」と呼ばれていました。
日蓮は、海路で米ヶ浜に到着すると、海岸にあった岩窟の中で37日間に渡って祈願した後、鎌倉へと旅立って行ったと伝えられています。

龍本寺の崖下には、この岩窟の跡とされる場所が今も残っていて、「お穴さま」として親しまれています。お穴さまへは、龍本寺境内から階段で降りられる他、横須賀中央の下町方面からも、横須賀共済病院の裏手から登ってお参りすることができます。

龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・お穴さまより境内を見上げる(撮影日:2018.10.28)
龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・お穴さまより境内を見上げる(撮影日:2018.10.28)
スポンサーリンク

日蓮を救った「アワビ」と「角なしサザエ」の伝承

龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・本堂(撮影日:2021.04.12)
龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・本堂(撮影日:2021.04.12)

日蓮が鎌倉をめざして三浦半島へ船出した際、嵐のため、舟底に穴があいて海水が侵入してきたと言います。この時、日蓮がお題目を唱えると、一時に風波が静まり、舟底の穴もふさがっていました。これは、舟底の穴に「アワビ」が密着していたためと伝えられています。

その後、日蓮を乗せた舟は、現在の東京湾に浮かぶ「豊島としま」にたどり着きました。すると1匹の白猿が近づいてきて、日蓮の衣の裾を引いて、陸の方を指しました。日蓮白猿が指した陸の方へ再び船出しましたが、浅瀬の海岸だったため、進みかねていました。そこへ一人の男が現われると、日蓮を背負って米ヶ浜の岸辺までお連れしたと言います。
男の足から血が流れているのを見た日蓮は、人々が「サザエ」の角で傷つくことがないようにお題目を唱えました。それ以降、この辺りで獲れる「サザエ」には角がなくなったと伝えられています。

これらの、日蓮を救った「アワビ」と「サザエ」は、龍本寺の寺宝として大切に護られてきていると言います。
龍本寺の本堂の彫刻には、寺名にも含まれている、立派な「」が彫られています。よく見ると、このは「角なしサザエ」を握っているのが見えます。

また、日蓮がたどり着いた「豊島」とは現在の「猿島」のことで、「猿島」の名前の由来は、この、日蓮を無事に米ヶ浜へ導いた白猿の伝説によるものとされています。(諸説あり)

龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・本堂軒下の彫刻と扁額(撮影日:2021.04.12)
龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・本堂軒下の彫刻と扁額(撮影日:2021.04.12)
スポンサーリンク

日蓮に帰依して御浦法華堂を建立した石渡左衛門尉

このとき、米ヶ浜の海岸で日蓮を救ったのが、後に、日蓮に帰依して、龍本寺の前身である御浦法華堂建立の中心人物となる、石渡左衛門尉則久です。則久は、日蓮米ヶ浜に渡来する前日の夜、夢の中で、東方より高貴な方が訪れるというお告げを聞いたため、朝から海を見ていたところ、日蓮の乗る舟が現われたと言います。

第六世・日栄の時、石渡左衛門尉則久の子・則次が、御浦法華堂をより大きな寺院にしようと、土地の狭い米ヶ浜から三浦半島の内陸に位置する金谷(現在の横須賀市衣笠栄町)に移転し、金谷山大明寺(移転当初は大妙寺)と改称しました。これにより、御浦法華堂龍本寺)は大明寺奥の院という位置づけとなり、その後も、大明寺龍本寺は、日蓮宗の旧本山と旧末寺という関係が続いていくことになります。

なお、江戸時代後期基準で、龍本寺深田村大明寺金谷村にありましたが、深田村金谷村公郷村より分村した村になります。猿島も、公郷村に属していました。

龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・中央公園から見た境内(撮影日:2018.10.28)
龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・中央公園から見た境内(撮影日:2018.10.28)
スポンサーリンク

米ヶ浜出立後の日蓮の鎌倉での草庵跡

しばらくの間、石渡左衛門尉らの庇護を受けた後、日蓮は、幕府が置かれ、当時の国の中心地であった鎌倉をめざして旅立ちました。無事に鎌倉入りを果たした日蓮は、鎌倉の東端に位置する松葉ヶ谷名越)で草庵を結び、自らの教えを布教していくことになります。
この鎌倉の草庵跡については、松葉ヶ谷に隣接して建つ、妙法寺安国論寺長勝寺の三寺それぞれに、伝承が言い伝えられています。

龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・お穴さま(撮影日:2018.10.28)
龍本寺(米ヶ浜のお祖師)・お穴さま(撮影日:2018.10.28)
スポンサーリンク

龍本寺周辺の見どころ

平和中央公園
長い間「中央公園」として市民に親しまれてきた公園が、2021年4月に「平和中央公園」としてリニューアルしました。直線を基調とした幾何学的だった園内は、円をモチーフにした有機的な印象の公園に様変わりし...
横須賀市自然・人文博物館
横須賀市自然・人文博物館は、横須賀市の中心部から少し歩いた丘に建つ、平和中央公園の隣りにある博物館です。1954年に久里浜で横須賀市博物館として開館しましたが、1970年に自然部門が、198...
中里神社
中里神社なかざとじんじゃは、京急線の横須賀中央駅から、いわゆる下町地区とは反対側の平坂を登り切った先の、さらに小高い丘に鎮座する神社です。明治後期に、旧中里村の鎮守だった稲荷社と、同じく旧中里村...
諏訪神社[若松町]
京急線の横須賀中央駅近くに鎮座する諏訪神社は、三浦半島イチの繁華街に隣接していて、この「下町」で商売をする人たちを中心に、深く崇敬されています。そんな諏訪神社も、かつては海辺の丘に鎮座していて、...
横須賀新港・東京九州フェリー横須賀フェリーターミナル
2021年7月に、横須賀と北九州・新門司を結ぶカーフェリーが新規就航しました。その横須賀側のターミナルが横須賀新港ふ頭の「東京九州フェリー横須賀フェリーターミナル」です。東京九州フェリーは最...
いちご よこすかポートマーケット
「いちご よこすかポートマーケット」は、横須賀新港にある、横須賀や三浦半島の飲食店やお土産物店などが集まる観光拠点です。よこすかポートマーケットは2013年にオープンしましたが、2019年に一旦閉店...
うみかぜ公園
うみかぜ公園は、横須賀新港の南側の埋め立てで出来た平成町の海沿いにある公園です。無料で自由にバーベキューができる芝生広場や、スケートボードエリア、3x3バスケットコート、壁打ちテニスコート、マウンテ...

DATA

住所 横須賀市深田台10
アクセス
行き方

京急線「横須賀中央駅」から徒歩約10分

駐車場 あり
料金

無料(志納)

電話番号 046-822-0603
※このページに掲載している内容は、予告なく変更となっている場合があることをご了承ください。
※地図は、右上のレイヤーボタンから、「オープンストリートマップ」「地理院地図」「Google マップ」に切り替えられます。大まかな場所を知りたい場合は「Google マップ」、目的地付近の詳細な道路地図を調べたい場合は「オープンストリートマップ」または「地理院地図」を選択すると分かりやすいです。左上の縮尺ボタンとあわせてご活用ください。
error: 申し訳ありません。コピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました