がらめきの切通は、東海道と江戸時代には奉行所が置かれていた浦賀とを結ぶ、かつての浦賀道の一部だった古道です。このあたりには六部ヶ入坂と呼ばれた急坂があって、東回りと西回りの2つのルートがあった浦賀道のうち、比較的険しいルートであった東回りの中でも十三峠(三浦按針=ウィリアム・アダムスの墓所がある、現在の塚山公園付近)に次ぐレベルの、難所の一つに数えられていました。
難所を改善するために開削されたがらめきの切通は残りましたが、六部ヶ入坂自体は、現在切通の下を走る国道16号・浦郷隧道の開通によって消失しています。
三浦半島エリアの古道の切通としては、一方を海に三方を山に囲まれた鎌倉の出入口に設けられた「鎌倉七口」が有名ですが、山がちな横須賀北部にもいくつか残っています。がらめきの切通はその中でも現存する最大規模のもので、往時の姿をよくとどめていると思われます。
現在のがらめきの切通は、南側は浦賀道の尾根道が200mほど残ります。前述のとおり、浦賀道の北側は失われています。がらめきの切通からは、現在もこの他に、北東側の尾根道で浜見台の住宅地方面へ、西側の尾根道で鷹取山方面へ抜ける道があります。鷹取山より西側の、相模湾側に抜けるルートも確立されていたことでしょう。明治期までのがらめきの切通は、三浦半島でも重要な中継地の一つであったと考えられます。


INDEX
京急田浦駅方面から がらめきの切通しへの行き方
切通への入口
がらめきの切通の最寄り駅は京急田浦駅で、徒歩10分程度です。JR横須賀線の田浦駅からは遠く、徒歩30分程度かかります。
京急田浦駅方面から向かう場合、国道16号の浦郷隧道の手前の右前方へ上がる階段(下記写真の1枚目の右側の階段)を登っていきます。細く長い階段を登りきると、かつての浦賀道の尾根道に合流し、すぐ左側にがらめきの切通が現われます。
この階段を登るルートは、かつての浦賀道ではありません。かつての浦賀道をたどりたい場合は、国道16号をもう少し手前で曲がる必要がありますが、道が入り組んでいて分かりにくいため、がらめきの切通への訪問が目的であれば、トンネル手前からアクセスするルートをオススメします。



失われた切通北側の浦賀道
京急田浦駅側(南側)から切通を通り過ぎると、すぐに丁字路が現われます。右前方(北東側)が京急線の追浜駅へ向かう浜見台方面への尾根道、左側(西側)が鷹取山方面への尾根道です。
かつての浦賀道は正面(北側もしくは北西側)方向に下って行く道が続いていたと考えられますが、現在は国道16号や京急本線が通っていて、正確なルートをたどることはできません。


京急追浜駅方面から がらめきの切通しへの行き方
切通から北側の浦賀道は失われているため、国道16号の「浜見台入口」から分岐するなどして、浜見台1丁目と2丁目を結ぶ浜見台隧道を目指します。浜見台隧道の浜見台2丁目側の出入口を見て、左側の山道を入っていきます(「タカ取山ハイキング・コース浜見台入口」の案内板あり)。細いコンクリート製の尾根道を10分近く歩くと、がらめきの切通に着きます。




鷹取山ハイキングコースとの分岐
がらめきの切通から鷹取山までは、歩いて15~20分ほどです。鷹取山からは、追浜駅に下山する他に、神武寺を経由して、JR横須賀線の東逗子駅や京急逗子線の神武寺駅などへ向かうことができます。


