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神武寺 | 約1300年前に行基が開山した山岳信仰の面影残す逗子きっての古刹

神武寺・薬師堂(本堂)(撮影日:2021.05.25) 逗子
神武寺・薬師堂(本堂)(撮影日:2021.05.25)

神武寺じんむじは、奈良時代の724年(神亀元年)に、聖武天皇の命により行基が開山したと伝わる古刹です。
857年(天安元年)には、円仁慈覚大師)によって中興され、法相宗から天台宗に改宗されました。

鎌倉時代には、源頼朝と妻・政子が安産祈願のため神馬を奉納したり、源実朝が参拝した記録などが残っていて、幕府からも篤い信仰を受けていました。

しかし、鎌倉幕府滅亡後は、他の鎌倉周辺の寺院や神社と同じように、武家の都近くにあったというメリットが失われたうえに、度重なる大火などによって衰退していくことになりました。
後北条氏(小田原北条氏)の滅亡後は、関東に入った徳川家康が、源頼朝が信仰していたような由緒ある寺院や神社などを積極的に保護するようになり、幕府の寄進を受けるようになった江戸時代以降、現在の境内が整備されていきました。

山号醫王山いおうざん(医王山)
宗派天台宗
寺格
本尊薬師三尊像
創建724年(神亀元年)
開山行基

神武寺には、神奈川県の重要文化財に指定されている、薬師堂(本堂)大威徳明王画像千手観音画像逗子市の重要文化財に指定されている、薬師三尊像不動明王像十一面観音菩薩像など、数多くの貴重な文化財が伝えられています。
また、三浦半島ではめずらしい山岳信仰の面影を残す神武寺周辺は、緑豊かな自然に囲まれていて、「かながわの景勝50選」や「かながわの美林50選」、「三浦半島八景」、「逗子八景」などに、景勝地として数多く選定されています。

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秘仏・薬師三尊像を祀る 薬師堂

神武寺・薬師堂(本堂)を楼門横から見る(撮影日:2021.05.25)
神武寺・薬師堂(本堂)を楼門横から見る(撮影日:2021.05.25)

神武寺本堂・薬師堂は、安土桃山時代の1593年(文禄3年)に建立された境内最古の建物です。現在の建築の主要部分は、江戸時代前期の1666年(寛文6年)に再興されたものであるとみられています。
1992年の大修理では、茅葺きだった寄棟屋根が、茅葺形銅板葺に改修されました。その際、屋根の頂上に水平に渡された大棟も、鎌倉・大船常楽寺・仏殿にならい、竹棟形銅板製に整えられました。

薬師堂

神武寺薬師堂には、薬師三尊像(伝行基作)や十二神将像が祀られています。薬師三尊像は秘仏とされているため33年に1度しか開帳されませんが、毎年12月13日の午前中に行われるすす払いの際に拝観することができます。

薬師堂の前には楼門が、薬師堂の隣りには地蔵堂が建っています。

神武寺・薬師堂(開創一千三百年記念大開帳仕様)(撮影日:2024.11.22)
神武寺・薬師堂(開創一千三百年記念大開帳仕様)(撮影日:2024.11.22)

楼門

神武寺楼門は、江戸時代中期の1761年(宝暦11年)に建立されました。2017年には、三浦薬師大開帳の記念事業として、仁王尊像と天井の四神画が安置されました。

神武寺・楼門(撮影日:2021.05.25)
神武寺・楼門(撮影日:2021.05.25)

地蔵堂(安産地蔵尊)

地蔵堂安産地蔵尊とも言い、江戸時代後後期の1844年(天保15年)、本尊として野州・延生山地蔵尊を勧請し、鎌倉の仏師・後藤斎宮真慶により造立されたものです。

神武寺・地蔵堂(安産地蔵尊)(撮影日:2021.05.25)
神武寺・地蔵堂(安産地蔵尊)(撮影日:2021.05.25)
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樹齢約400年「かながわの名木100選」選出の なんじゃもんじゃの木

神武寺・なんじゃもんじゃの木(撮影日:2024.11.22)
神武寺・なんじゃもんじゃの木(撮影日:2024.11.22)

薬師堂地蔵堂の前に立つ大木は「神武寺のなんじゃもんじゃ」として、「かながわの名木100選」に選ばれています。
樹種が分からなかったため「なんじゃもんじゃの木」として親しまれてきましたが、正式にはホルトノキと言います。樹齢は推定約400年と言われています。

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四方を山と谷に囲まれた客殿と見事な切通し

神武寺・客殿(撮影日:2024.11.22)
神武寺・客殿(撮影日:2024.11.22)

神武寺客殿(宝珠殿)は、1841年(天保12年)に再建されたものです。客殿には、本尊の阿弥陀三尊像や、明治維新後の神仏分離の際に鎌倉の荏柄天神社から遷座されたと伝わる十一面観音菩薩像などが安置されています。

客殿の入口には、見事な切通があります。客殿は四方を山と谷に囲まれた要害の地にあるため、この切通を通って行く必要があります。

客殿は檀信徒の法要等が行われる道場であり、また、切通周辺の貴重な植物等の保護という観点からも、切通より先は檀信徒及び参拝者以外の立ち入りが禁止されています。

神武寺・切通から客殿を望む(撮影日:2021.05.25)
神武寺・切通から客殿を望む(撮影日:2021.05.25)
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逗子八景の一つ 神武寺の晩鐘

神武寺・鐘楼(撮影日:2024.11.22)
神武寺・鐘楼(撮影日:2024.11.22)

薬師堂などが建つ境内より一段下、客殿惣門から見ると一段上に、鐘楼堂が建っています。「神武寺の晩鐘」として「逗子八景」の一つに選ばれています。
先代の梵鐘は第二次世界大戦で供出されたため、現在のは戦後に鋳造されたものです。

神武寺・梵鐘(撮影日:2024.11.22)
神武寺・梵鐘(撮影日:2024.11.22)
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神武寺の森の中に建つ簡素な惣門

神武寺・惣門(撮影日:2021.05.25)
神武寺・惣門(撮影日:2021.05.25)

鐘楼堂を見上げる森の中に建つ惣門も戦争に翻弄された建築物で、当初はJR東逗子駅前の踏切の近くにありました。それが、第二次世界大戦中に表参道の入口に移され、さらに1975年(昭和50年)に現在の場所に移されました。

この惣門は1733年(享保18年)に建立されたもので、木鼻や斗栱などを用いない簡素な四脚門です。

神武寺・表参道の入口(撮影日:2021.05.25)
神武寺・表参道の入口(撮影日:2021.05.25)
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緑豊かな 神武寺・鷹取山ハイキングコース

山寺の雰囲気を残す神武寺へは、徒歩では、JR横須賀線の東逗子駅から行くルートと京急逗子線の神武寺駅から行くルートがあります。
駅名に「神武寺」と付く神武寺駅よりも、東逗子駅からのほうが近く、こちらが表参道とされています。
どちらのルートもハイキングか軽い登山をするくらいの、タウンユースよりは少ししっかりめの装備で行くことをおすすめします。

緑豊かな自然が残る参道は、「かながわの景勝50選」や「かながわの美林50選」に選ばれたすばらしい環境の中を歩くことができます。

神武寺からさらに東に向かえば鷹取山方面に行くことができ、神武寺・鷹取山ハイキングコースとして整備されています。
鷹取山はかつて石切り場として利用されていましたが、地質が同じ神武寺の周辺にも、神武寺駅からの池子参道の入口付近に石切り場跡があったり、参道途中に人工的に切り出したものと思われる大きな岩が転がっているのを見ることができます。

神武寺の森(撮影日:2021.05.25)
神武寺の森(撮影日:2021.05.25)
神武寺・表参道の途中にある車地蔵と七諏訪社一の祠(撮影日:2021.05.25)
神武寺・表参道の途中にある車地蔵と七諏訪社一の祠(撮影日:2021.05.25)

山岳信仰が伝わる神武寺の森の紅葉

神武寺・客殿周辺の紅葉を薬師堂側から見下ろす(撮影日:2024.11.22)
神武寺・客殿周辺の紅葉を薬師堂側から見下ろす(撮影日:2024.11.22)

緑豊かな神武寺の森ではありますが、紅葉する樹木はそれほど多くはありません。しかし、薬師堂から下る石段より望む客殿周辺のモミジの紅葉は、山岳信仰の面影を残す山深い神武寺に彩りをもたらす、貴重な瞬間です。

神武寺・客殿周辺の紅葉を客殿側から見上げる(撮影日:2024.11.22)
神武寺・客殿周辺の紅葉を客殿側から見上げる(撮影日:2024.11.22)

神武寺周辺の見どころ

神武寺みろくやぐら群
神武寺みろくやぐら(弥勒やぐら)は、鎌倉周辺に千から数千基現存するとされるやぐら(主に中世に造られた横穴式の墳墓または供養の場)の中で、供養されている人物が特定できる唯一のやぐらです。このみ...
こんぴら山やぐら群
こんぴら山は、神武寺境内の西側にそびえる山です。JR東逗子駅方面から表参道を登って行くと、向かって左手に見える丘陵地にあります。こんぴら山やぐら群は、この山の山頂から一段下がった斜面に、神武寺境内の...
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DATA

住所 逗子市沼間2-1402
アクセス
行き方

●JR東逗子駅から表参道経由
JR横須賀線「東逗子駅」より徒歩約20分

●京急線神武寺駅から池子参道経由
京急逗子線「神武寺駅」より徒歩約40分

●神武寺・鷹取山ハイキングコース経由
「鷹取山」山頂より徒歩約30分

駐車場 あり
営業時間

境内への入場は原則年中無休/終日可能

料金

無料
※堂内の参拝は事前予約のうえ、特別参拝料が必要

電話番号 046-871-4565
ウェブサイト https://www.jimmuji.org/
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