三浦半島最南端に位置する城ヶ島。神奈川県立城ヶ島公園は、その東半分を占める、風光明媚な公園です。
県立城ヶ島公園からは、太平洋越しに、房総半島、伊豆大島、伊豆半島、富士山と、大パノラマが広がっています。
県立城ヶ島公園は、とくに東側の眺望が開けているため、初日の出などの朝日の鑑賞の定番スポットでもあります。
県立城ヶ島公園の周辺は、県の天然記念物に指定されているウミウやクロサギの生息地になっていて、冬にはウミウ展望台からは鳥たちの姿を遠望できます。
ちょうど同じころ、園路には約30万本の八重咲きのスイセンが咲きほこり、お花の名所にもなっています。
また、初夏には約2,000株のあじさいが園内を彩ります。
県立城ヶ島公園は空が広い開放的な公園ということもあって、あじさいも大株に仕立てられているものが多く、迫力があります。
2020年には、県立城ヶ島公園の先端の岩場に建っていた安房埼灯台がリニューアルして、公園内の東端に二代目・安房埼灯台として建て替えられました。
初代・安房埼灯台が建っていた安房崎の岩場では、磯遊びをたのしむこともできます。
城ヶ島は三浦半島の最南端に位置する風光明媚な島で、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」(改訂第3版)で二つ星(「寄り道する価値がある」という評価)を獲得しています。
県立城ヶ島公園は、スイセンで「かながわの花の名所100選」にも選ばれています。例年、水仙が見ごろになる1月中旬から下旬にかけて、県立城ヶ島公園では「城ヶ島公園水仙まつり」が開催されます。
INDEX
海に囲まれた2つの芝生広場
県立城ヶ島公園は、海に囲まれた高台にあるため、まわりに山や高い建物などの、視界をさえぎるものが一切ありません。ピクニック広場とうみのね広場の、2つの芝生広場は、空が開けていて、とても心地よく過ごすことができます。
ピクニック広場
県立城ヶ島公園の先端にあるのがピクニック広場です。その名前のとおり、ピクニックに最適な広場す。公園の入口からは離れていますが、公衆トイレや日や風をさえぎることができる休憩スペース、自動販売機などもありますので、ゆっくり過ごすのに不便もありません。
うみのね広場
県立城ヶ島公園の、もう一つの海に囲まれた広い芝生広場がうみのね広場です。海の音を聴きながらのんびりと過ごすことができます。うみのね広場には、ベンチやテーブルがたくさん用意されています。
城ヶ島ユースホステル跡地の芝生広場
かつて、県立城ヶ島公園の一角には、神奈川県観光協会が運営する城ヶ島ユースホステルがありました。主に学校の課外授業などで、最盛期は大いに賑わいましたが、レジャーの多角化や、個室ではなく大部屋が基本という現代のニーズに合わない施設となっていました。その後、老朽化も進み、県の財政難などの理由により、建て替えられることなく、2003年に閉館となりました。
その後、アウトドア用品メーカーのコールマン直営のオートキャンプ場開設の計画が持ち上がりましたが、実現には至りませんでした。
2022年現在、城ヶ島ユースホステルの跡地は芝生広場となっています。
園内を埋めつくす約30万本の八重咲きの水仙
県立城ヶ島公園では、園路や花壇など、いたるところでスイセンが植栽されています。県立城ヶ島公園のスイセンは八重咲き水仙で、例年、見ごろの1月下旬から2月中旬にかけては、可憐な花とともに、園内がほのかな甘い香りに包まれます。
初夏に園内各所で見られる約2,000株のあじさい
スイセンと並んで県立城ヶ島公園を代表する花が、あじさいです。松林が生い茂る園路沿いや第1駐車場と第2駐車場の間の車道沿いなど、公園内のいろいろな場所で見られます。
なかでも、広大な海とあじさいの織りなす景観は、海に囲まれた県立城ヶ島公園ならではと言えます。
ウミウ展望台から望むウミウ生息地
県立城ヶ島公園正門から馬の背洞門がある岩場方面に続く海沿いの道を行くとウミウ展望台があり、ウミウ生息地を望むことができます。
城ヶ島はウミウの越冬地になっていて、毎年11月から翌年4月にかけておよそ2,000羽が飛来してきます。
また、ウミウ展望台からは城ヶ島南岸の海食崖も、詳しく観察することができます。ウミウが、容易に人が近づけないような場所を選んでいることもよく分かります。
とはいえ、公園内でバッタリ歩いているウミウに遭遇することもあります。そんなときは、静かに通り過ぎるのを見守りましょう。
360度の大パノラマが広がる絶景ビュースポット
県立城ヶ島公園の先端にある安房崎は、神奈川県最南端の地です。三浦半島の最南端に位置する県立城ヶ島公園はまた、神奈川県最南端にある公園でもあるのです。
その県立城ヶ島公園の高台にある展望台は、三浦半島屈指のビュースポットです。芝生広場に建つ2つの展望台からは、360度の大パノラマをたのしむことができます。
東 | 房総半島 |
西 | 伊豆半島、富士山、丹沢など |
南 | 伊豆大島 |
北 | 三浦半島 |
第1展望台
県立城ヶ島公園の先端のピクニック広場に建つのが、第1展望台です。すぐ側には安房埼灯台が建っています。
第2展望台
第1展望台より公園の入口寄りに建つのが、第2展望台です。うみのね広場の片隅に建っています。
県立城ヶ島公園の、とくに第1展望台と第2展望台は、まわりにはいっさい遮るものがないため素晴らしい展望ですが、晴れていても台風並みの暴風となる場合もあるため、物を飛ばされたり、転んでケガをしないように、気をつけましょう。
強風の影響で斜めに立つ緑陰広場の松並木
三浦半島の最南端に位置する城ヶ島に吹く風がどれほど強いかは、公園の緑陰広場の松を見るとよく分かります。緑陰広場周辺では無数の松の木が植栽されていますが、強風の影響でどれも北側に傾いてしまっています。
散策路が整備されている安房崎
県立城ヶ島公園からは、眼下に広がる安房崎に降りられる散策路が複数整備されています。ピクニック広場があるあたりと安房崎との高低差は30mほどあり、急な階段を登り降りする必要がありますが、展望台とはまた違ったダイナミックさを味わうことができますので、健脚な方はぜひ訪れてみてください。
安房崎では磯遊びをたのしめますが、波が高い日は危険ですので海に近づかないようにしてください。
ピクニック広場の先端から降りて、磯伝いに歩いて、第2展望台近くに登って戻ってくるといったような、周回コースとしてもたのしめます。
東京湾要塞の城ヶ島砲台跡
現在、県立城ヶ島公園となっている場所には、第二次世界大戦の終戦まで、城ヶ島砲塔砲台がありました。
城ヶ島砲塔砲台は、1924年(大正13年)に、東京湾を防衛するための東京湾要塞の一部として造られました。
明治時代にはすでに、観音崎や猿島、千代ヶ崎などに東京湾要塞の砲台が造られていましたが、東京湾の防御線が東京内湾(観音崎-富津)から東京湾外湾(剱崎-洲崎)まで拡大されたことによって、城ヶ島にも築かれることになりました。
城ヶ島の砲台は、戦艦「安芸」の砲塔を陸上に移設した砲塔砲台でした。
県立城ヶ島公園には、この城ヶ島砲塔砲台の遺構が、今もいたるところに残っています。
県立城ヶ島公園第1駐車場周辺の砲台の遺構
ピクニック広場周辺の遺構
安房崎の砲台の遺構
城ヶ島公園の歌碑・句碑
古くから風光明媚の地として知られていた城ヶ島には、多くの詩人や俳人などが訪れ、歌や句を残しています。県立城ヶ島公園内には、これらの詩人や俳人の歌碑や句碑が建てられています。
宮柊二歌碑
角川源義句碑
松本たかし句碑
おトクに利用できる城ヶ島の駐車場
城ヶ島は、県立城ヶ島公園のある東側と、城ヶ島灯台や商店街、民宿などがある西側と、見どころが分散しています。東側には県立城ヶ島公園第1・第2駐車場、西側には城ヶ島西側第1~第4駐車場の、6つの公共駐車場が用意されていますが、城ケ島駐車場ワンデーパスを利用すれば、これらの6か所の公共駐車場を1日何回でも利用することができます。
普通車 | 1日450円 |
二輪車 | 1日100円 |
大型車 | 1日1,000円 |
県立城ヶ島公園第1駐車場
安房埼灯台やウミウ展望台、馬の背洞門方面に向かうのには、県立城ヶ島公園第1駐車場の利用が便利です。
県立城ヶ島公園第2駐車場
県立城ヶ島公園第2駐車場は、城ヶ島大橋のたもとにあります。近くには白秋歌碑や白秋記念館があります。