金澤八幡神社(金沢八幡神社・寺前八幡神社)は、称名寺の門前町・寺前(旧寺前村)の南端に鎮座する古社です。
かつては旧寺前村に金澤八幡神社を管理する別当寺・報恩寺がありましたが、廃寺となったため、神社の由緒等の詳細も失われてしまいました。現在の金澤八幡神社は、富岡八幡宮(横浜市金沢区富岡東)が管理しています。
金澤八幡神社は、鎌倉時代中期の武将・北条実時が自邸内に建てた持仏堂がはじまりとされる称名寺の裏鬼門(南西)に位置していることから、金沢北条氏の屋敷を守護するために祀られたという可能性も考えられます。
主祭神 | 応神天皇 |
旧社格等 | 村社 |
創建 | 不詳(鎌倉時代またはそれ以前) |
祭礼 | 7月11日 例祭・神輿渡御 9月15日 秋祭・湯立神楽 ※実際の日にちは年によって異なる場合があります |
INDEX
三叉路に挟まれた金澤八幡神社境内
金澤八幡神社の境内は、鋭い角度を持つ三叉路(Y字路)の内側にあるのが特徴的です。
この三叉路の、境内の右側を行く道は、鎌倉時代中期に北条実時によって創建された称名寺の赤門とその先の参道に続いています。この通り沿いは寺院の建ち並ぶ、いわゆる「寺町」でしたが、現存しているのは、称名寺・赤門前の薬王寺だけです。
境内の左側を行く道は、1969年(昭和44年)に、この西側を並行して走る泥亀バイパスが開通するまでは、国道16号に指定されていました。また、この道は、かつての浦賀道(金沢道)で、東海道の保土ヶ谷宿と浦賀を結ぶ脇街道(当時の五街道以外の主要道)でした。中世には、鎌倉街道・下道もこのルートをとっていたと考えられています。
三叉路を、境内とは反対側に進むと、瀬戸神社を経由して、六浦に至ります。六浦からは、今も昔も、鎌倉方面や横須賀(浦賀)方面に抜ける幹線道路が走っています。
金澤八幡神社はこのような、この辺りでは交通の要衝と言えるような場所に鎮座しています。
現在はまちなかにひっそりと鎮座する静かな神社ですが、往時は、人々が往来する結節点にあった金澤八幡神社には多くの旅人が参拝に立ち寄り、賑わっていたことでしょう。
黄金色に輝く晩秋の金澤八幡神社境内
金澤八幡神社の細長い境内の両側には、イチョウが植えられています。晩秋にこのイチョウが色づくと、境内が黄金色に輝きます。