逗子には、スケールの大きなパワースポットが多くあります。現存する神奈川県内最大級の前方後円墳である長柄桜山古墳群や、約300万年前に深海だったころの地層から見つかったシロウリガイの化石からなる巨岩がある池子の森自然公園などは、時空を超えたガチのパワースポットです。
また、逗子には大蛇伝説が複数伝えられていたり、蛇(蛇神様)が弁財天の使いあるいは化身だとする見方にもとづく伝承があったり、2025年の干支である巳(へび)にまつわる場所も多くみられます。これらの場所では、蛇神パワーにあやかることができることでしょう。
マップは、スマートフォンやタブレットでは二本指で操作できます。
沼間の大蛇伝説と七諏訪社
法勝寺
法勝寺は逗子・沼間にある日蓮宗の寺院です。
もとは天台宗の寺院でしたが、鎌倉時代に日蓮宗へ改宗しました。
法勝寺には、奈良時代の724年(養老8年/神亀元年)、行基作と伝わる十一面観世音菩薩像を安置しています。この十一面観音の背後には、今も沼間で語り継がれている七つ頭の大蛇と七諏訪の伝説があります。
かつての逗子湾は、田越川流域の内陸の奥深くまで入り込んでいて、現在の沼間も「沼浜(ぬまま/ぬまはま)」と呼ばれる、内海に面した沼地でした。
奈良時代、この地を治めていた長尾左京大夫善応は、この海に現われる七つの頭を持った大蛇が人々を苦しめていることに頭を悩ませていました。そこで、長尾善応は、この地を訪れていた高僧・行基に大蛇退治を懇願します。
行基は、その十一面観世音菩薩像を三日三晩で彫りあげると、それを持って大蛇のいる海に出て、お経を唱えました。すると、大蛇は心を入れ替えて、今度は、村人たちを疫病や災いから救う守り神になったと言います。
●住所
逗子市沼間4-1-1
●拝観料
無料(志納)
●公共交通機関
徒歩の場合
JR横須賀線「東逗子駅」より徒歩約12分
バス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」または京急逗子線「逗子・葉山駅(北口)」より京急バス「グリーンヒル」行き、「田浦駅」行きで、『宮の下』下車、徒歩約5分
●駐車場
あり

周辺の見どころ
桐ヶ谷歴史庭園(沼浜城跡)
光照寺
海宝院
五霊神社
沼間の七諏訪社
その後、長尾善応らは、七つの諏訪神社を建てて、大蛇の頭を一頭ずつ別々の社に祀りました。
これが、今も沼間に残る、七つ頭の大蛇と七諏訪の伝説の由縁です。
七つの諏訪神社は、周辺の宅地開発等によって、今はもう所在が分からなくなってしまっているものもあります。現存するものでも、たとえば、神武寺トンネル(東逗子駅から池子方面へ抜ける道の途中)近くにある七諏訪社・本社と伝わる石祠は、周辺の道路工事や宅地開発によって、昭和後期以降だけでも少なくとも二度移転しています。

神武寺
前述の法勝寺にまつわる話は、室町時代に記されたという「法勝寺古縁起」によるものですが、ほぼ同様の伝説は法勝寺の裏山にあたる場所に建つ神武寺にも伝えられています。
いかに、かつての田越川が暴れ川で、それを鎮めるための信仰が盛んに行われていたかということを物語っています。
神武寺は、奈良時代の724年(神亀元年)に、聖武天皇の命により行基が開山したと伝わる古刹です。
鎌倉時代には、源頼朝と妻・政子が安産祈願のため神馬を奉納したり、源実朝が参拝した記録などが残っていて、幕府からも篤い信仰を受けていました。
神奈川県の重要文化財に指定されている、薬師堂(本堂)や大威徳明王画像、千手観音画像、逗子市の重要文化財に指定されている、薬師三尊像、不動明王像、十一面観音菩薩像など、数多くの貴重な文化財が伝えられていることから、神武寺は逗子でも屈指のパワースポットとして知られています。
また神武寺の境内には、鎌倉周辺に千から数千基現存するとされるやぐら(主に中世に造られた横穴式の墳墓または供養の場)の中で、供養されている人物が特定できる唯一のやぐらとされるみろくやぐら(弥勒やぐら)があります。
このみろくやぐらで供養されているのは、鶴岡八幡宮の舞楽師・中原光氏で、やぐら内部に安置されている石造弥勒菩薩坐像の背後に、中原光氏の名や、鎌倉時代後期の1290年(正応3年)に73歳で没したことなどが刻まれています。
中原光氏は、代々楽人の家柄で、1266年(文永3年)、鶴岡八幡宮に木造弁才天坐像(国指定重要文化財)を奉納した人物としても知られています。
●住所
逗子市沼間2-1402
●拝観料
無料(志納)
※堂内の参拝は事前予約のうえ、特別参拝料が必要
●公共交通機関
JR東逗子駅から表参道経由
JR横須賀線「東逗子駅」より徒歩約20分
京急線神武寺駅から池子参道経由
京急逗子線「神武寺駅」より徒歩約40分
神武寺・鷹取山ハイキングコース経由
「鷹取山」山頂より徒歩約30分
●駐車場
あり

周辺の見どころ
鷹取山
長柄桜山古墳群
長柄桜山古墳群は、逗子市と葉山町にまたがる丘陵地にある前方後円墳で、現存する神奈川県の古墳としては最大級のものです。神奈川県最大級のパワースポットとも言えるでしょう。
葉桜住宅の西端近くの第1号墳と、逗子海岸近くの蘆花記念公園の裏山にあたる場所にある第2号墳の、2基の古墳から構成されています。
長柄桜山古墳群のふもとを流れる田越川流域は、古代から人が生活していた痕跡を示す遺跡が多く見つかっています。
残念ながら、長柄桜山古墳群の埋葬者は特定されていません。このあたりには、西国から三浦半島を横断して海路で房総半島に抜ける古東海道が走っていたと推定されているため、長柄桜山古墳群も中央政権(ヤマト政権)と深い関係があった人物であることが考えられます。
※第1号墳は史跡公園のように整備されて、2024年4月から一般公開が開始されました。
●住所
逗子市桜山7丁目、他
●入場料
無料
●公共交通機関
第1号墳(葉桜住宅寄り)
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」または京急逗子線「逗子・葉山駅(北口)」より京急バス『葉桜』行きに乗車して終点下車、徒歩約10分
第2号墳(逗子海岸寄り)
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」または京急逗子線「逗子・葉山駅(南口)」より京急バス「葉山」行きなどの海岸回り葉山方面行きで『富士見橋』下車して、「蘆花記念公園」を経由して、徒歩約20分
※この他に、六代御前の墓の横や、桜山隧道/新桜山隧道の葉山側・逗子側それぞれの入口付近にも登り口があります。
※第1号墳と第2号墳は、尾根沿いの道で行き来できます。距離は500mほどです。
●駐車場
なし
池子の森・シロウリガイの化石
長柄桜山古墳群から出土した埴輪などの副葬品は、池子の森自然公園内にある池子遺跡群資料館で見ることができます。
池子の森は、江戸時代には水戸徳川家の影響下にあり、近代には旧日本軍や在日米軍の弾薬庫の設置、米軍家族住宅の建設など、周囲のエリアとは違う数奇な運命をたどってきた場所です。
この池子の森では、昭和後期から平成前期に、米軍家族住宅の開発前に行われた発掘調査で、シロウリガイ類の化石が発見されました。シロウリガイは深海のプレート活動に伴うごく限られた場所に生息する二枚貝です。
池子遺跡群資料館の裏手にある池子の森自然公園・テニスコートの外れには、発掘調査で採取された、およそ300万年前にこのあたりが深海だった際の地層から見つかったシロウリガイの化石からなる巨岩が展示されています。
人類が生まれるよりはるか前の、太古の昔に生きた生命が発するパワーは、並外れたものではありません。
●住所
逗子市池子字花ノ瀬60-1
●入園料
無料
●公共交通機関
池子側入口まで
京急逗子線「神武寺駅」より徒歩約10分
久木側入口まで
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」より徒歩約20分(緑地エリア開放日のみ、下記「営業時間」参照)
●駐車場
あり(有料)※池子側入口のみ
岩殿寺(岩殿観音)
岩殿寺は、現在の鎌倉市大町と逗子市の小坪や久木を結ぶ名越切通の、逗子側の入口近くに建つ、奈良時代に創建された古刹です。
源頼朝が平家討伐の挙兵をした際、岩殿寺の十一面観音が手助けしたという逸話が残っています。源頼朝はもちろんのこと、妻の北条政子、二人の娘、源実朝といった頼朝ファミリーの他、三浦義澄・義村親子が参詣するなど、武家からもあつく崇敬されていました。
境内の観音堂の近くには蛇や蔵という岩窟があり、やぐらの中の池が弁財天を祀る江の島まで続いているという伝説があります。これも、蛇が弁財天の使い、または化身だとされる話の一つなのでしょう。
岩殿寺は、明治後期から昭和初期にかけて活躍した小説家・泉鏡花ゆかりの寺院でもあります。泉鏡花は3年ほど逗子に逗留していて、その際、たびたび、岩殿寺へも参拝していました。小説「春昼」(1906)の舞台になっている他、「逗子より」という随筆でも岩殿寺について書いています。小説「春昼」では、物語のクライマックスに「蛇の矢倉」として「蛇や蔵」が登場します。
●住所
逗子市久木5-7-11
●拝観料
100円
●公共交通機関
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅(西口・久木方面)」より徒歩約15分
JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅(東口)」より徒歩約20分
京急逗子線「逗子・葉山駅」より徒歩約25分
●駐車場
あり
逗子近隣エリアのパワースポット



