富浦公園は、横須賀の西海岸、小田和湾の南岸に面した公園です。北東側には、自衛隊の武山地区(陸上自衛隊武山駐屯地、海上自衛隊横須賀教育隊、航空自衛隊武山分屯基地、陸上自衛隊高等工科学校など)に隣接しています。
なにか大きな目玉があるような公園ではありませんが、芝生広場があり、海に面した、のんびりとできる公園です。地元では、市営プールがある公園としても親しまれています。
富浦公園は、例年8月下旬に自衛隊の武山地区で開催される「横須賀市西地区納涼花火大会」の、絶好の観覧場所になります。
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のんびりできる海に面した公園
冨浦公園の前の海岸は、小さな砂浜になっています。海水浴や磯遊びに適した海岸ではありませんが、静かに海でのんびりしたい場合には、穴場の場所と言えるかもしれません。
西側(海に向かって左側)に目を向ければ、気象条件が良ければ富士山を望むことができます。
冨浦公園に駐車場はありませんが、三崎口駅からのバスの便は悪くありません。
陸上自衛隊武山駐屯地・高等工科学校などに隣接
小田和湾周辺は、戦時中は軍事施設が置かれていて、戦後はアメリカ軍に接収された後、自衛隊の施設に転用されました。
富浦公園も陸上自衛隊武山駐屯地、陸上自衛隊高等工科学校などに隣接していて、富浦公園自体も旧日本海軍武山海兵団だった敷地の一部が公園に転用されたものです。
富浦公園とは小田和湾を挟んでちょうど北側の対岸に当たる斉田浜海岸と同じように、旧軍施設からの転用地で現在も自衛隊施設に隣接している土地特有の、整然とした雰囲気の中に遺構が見え隠れしているような、ある意味、横須賀らしい場所と言えます。
前田夕暮の文学碑
富浦公園の園内には、明治後期から昭和前期にかけて活躍した歌人・前田夕暮の文学碑が建っています。
前田夕暮は、1923年(大正12年)、東海道線の車内で偶然、北原白秋と出会い、そのまま三崎や城ヶ島方面へ旅をしました。その帰路に、富浦公園がある長井に泊まったと言います。その際詠んだ歌は、歌集『虹』にまとめられました。
富浦公園に建てられた碑に刻まれた歌は、この歌集の中の「長井村に泊る」から選ばれた一首です。
宵あさき 長井往還 行きにつつ
前田夕暮「長井村に泊る」
村湯の明り なつかしみけり