浦賀の渡しは、江戸時代から続く、西浦賀と東浦賀を結ぶ渡し船です。浦賀湾は、大きな川のように、内陸の奥深くまで入り込んだ地形をしています。
江戸時代中期に西浦賀に浦賀奉行所が置かれたことに加えて、舟運が交通や貨物の主役だった時代、天然の良港だった浦賀港は、風待ちの港町として栄えました。しかし、東西の浦賀の町を行き来するためには内陸の道を大回りする必要があり、不便でした。そこで、浦賀湾をショートカットする交通手段として渡し船が定着していくことになりました。
浦賀の渡しは、海上交通としては全国的にもめずらしい、横須賀市の「市道」(市道2073号)に指定されています。近年は、住民の生活の足としてだけでなく、観光の側面も大きいです。
浦賀の渡しの東西2つの渡船場近くに鎮座する2つの叶神社では、西叶神社で授かった勾玉を、東叶神社のお守り袋に納めて完成させる御守りに、恋愛などの良縁に恵まれるご利益があるということで注目されていて、渡し船はこの2つの叶神社を結ぶ象徴のような存在でもあります。
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ポンポン船の愛称で親しまれてきた愛宕丸
浦賀の渡しに使われている船は旅客定員12名の小舟ですが、自転車やベビーカーを乗せることも可能です。渡し船の正式名称は「愛宕丸」ですが、昔から地元では「ポンポン船」の愛称で親しまれてきました。
「ポンポン船」の名前の由来は、かつての船に載っていたエンジンの「ポンポンポンポン・・・」という独特な音によります。現在の「愛宕丸」は1998年から就航している二代目で、かつてのような派手なエンジン音はしません。「愛宕丸」の名前は、西渡船場の近くの愛宕山に由来しています。
徒歩約30分の工程を約3分で結ぶ快適クルーズ
浦賀の渡しには時刻表はありません。渡船場に船が着いていない場合は、ブザーを押せば向かい側の渡船場から浦賀湾を渡ってきてくれます。浦賀の渡しの所要時間は約3分のため、すぐに迎えに来てくれます。
風待ち港として栄えた浦賀湾は波も穏やかなため、小型の船のわりには揺れも少ないです。
なお、浦賀駅方面の内陸を経由して東西の渡船場間を行き来しようとした場合、直通で結んでいるバスはなく、徒歩では30分以上かかります。
浦賀の渡し・西渡船場
西渡船場へのアクセス方法
浦賀駅から徒歩の場合
京急本線「浦賀駅」より徒歩約20分
浦賀駅からバス利用の場合
京急本線「浦賀駅」より京急バス「京急久里浜駅(紺屋町・高坂経由もしくは千代ヶ崎・開国橋経由)」行きまたは「JR久里浜駅」行きバスに乗車して『紺屋町』下車すぐ
久里浜駅からバス利用の場合
京急久里浜線「京急久里浜駅」より京急バス「浦賀駅(高坂・紺屋町経由もしくは開国橋・千代ヶ崎経由)」行きバスに乗車して『紺屋町』下車すぐ
(JR久里浜駅から浦賀駅行きのバスもありますが、本数が少ないため、京急久里浜駅からの利用をおすすめします)
西渡船場周辺の見どころ
浦賀の渡し・東渡船場
東渡船場へのアクセス方法
浦賀駅からバス利用の場合
京急線「浦賀駅」より京急バス「観音崎」行き、または「かもめ団地」行きで『新町』下車、徒歩約5分
浦賀駅から徒歩の場合
京急線「浦賀駅」より徒歩約20分