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大善寺 | 平泉文化の影響を受けた仏像が伝わる衣笠城址麓の三浦一族ゆかりの寺院

大善寺(撮影日:2021.03.25) 横須賀
大善寺(撮影日:2021.03.25)

大善寺だいぜんじは、平安時代に三浦一族の本拠地として築かれた衣笠城址(衣笠城跡)の麓に建つ、曹洞宗の寺院です。大善寺の歴史は衣笠城よりも古く、奈良時代までさかのぼります。

行基が諸国行脚中にこの地を訪れ、後に衣笠城となる山に、自ら彫刻した不動明王を祀った不動堂と、蔵王権現を祀った社を建てました。この不動堂蔵王権現社を管理する別当寺として創建されたのが、大善寺のはじまりとされています。

大善寺に伝わる阿弥陀三尊像は平安時代の作と見られ、三浦半島でも貴重な平安仏です。
また、近年、大善寺で発見された毘沙門天立像は、奥州・平泉の中尊寺金色堂増長天像との類似性が認められ、平泉の仏教文化と鎌倉幕府周辺との関係を明確に示す貴重な存在として注目されています。

山号金峯山
宗派曹洞宗
寺格
本尊不動明王像
創建729年(天平元年)
開山行基
※曹洞宗への改宗は徹岸による
開基
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行基の伝説が残る不動井戸

衣笠城址・蔵王権現社及御霊社遺跡碑(撮影日:2021.03.25)
衣笠城址・蔵王権現社及御霊社遺跡碑(撮影日:2021.03.25)

不動堂蔵王権現社も現存しておらず、衣笠城址(衣笠城跡)内に、蔵王権現社の遺跡を示す石碑だけが往時を偲ばせています。

不動堂の名残りは、大善寺の境内の前に湧く不動井戸の名前に残っています。お祓いをする水に困った行基が、杖で岩を打つと清水が湧き出たという逸話があり、それがこの不動井戸の辺りだったとされています。
三浦一族がこの地を山城としてからは、重要な生活用水としても利用されていたと言われています。

大善寺・不動井戸(撮影日:2021.03.25)
大善寺・不動井戸(撮影日:2021.03.25)
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三浦氏第2代為継を守った矢取不動

大善寺・参道(撮影日:2021.03.25)
大善寺・参道(撮影日:2021.03.25)

大善寺の裏山にあたる場所に衣笠城を築城したのは、三浦氏の初代とされる三浦為通みうら ためみち(村岡為通)です。為通は、平安時代後期に起こった前九年の役での戦功によって源頼義から相模国三浦に領地を与えられ、この地を本拠地とし、地名から「三浦」姓を名乗るようになりました。(諸説あり)

三浦氏第2代当主の三浦為継みうら ためつぐ後三年の役に出陣した際には、戦場に大善寺不動明王像が現われて敵の矢から為継を守ったという伝説が残っています。このことから、大善寺不動明王像は、「矢取不動」とも呼ばれるようになりました。

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平泉の仏教文化の影響が見られる毘沙門天立像

平安時代末期に、第5代・三浦義澄の時代になると、三浦一族源頼朝の重要な御家人となっていき、鎌倉幕府創設に貢献していくことになります。この源頼朝のあつい信任は、第4代・三浦大介義明頼朝平家討伐の挙兵当初より源氏方についたことにより得たものでしたが、その義明衣笠城が戦場となった衣笠城合戦で命を落としてしまいました。

平家討伐を果たした源頼朝は、続いて、奥州藤原氏も滅ぼし、自身の対抗勢力となり得る豪族の討伐を果たしました。源頼朝は、奥州・平泉で見た中尊寺無量光院毛越寺などの仏教文化の影響を受けて、鎌倉に永福寺を創建したとされています。

しかし、永福寺は室町時代に火災にあった後、廃寺となってしまい、近年の調査で伽藍の全貌は見えてきましたが、仏像や調度品などの詳細は謎に包まれたままです。

そのような中、2010年に大善寺で見つかった天王立像(木造伝毘沙門天立像)は、中尊寺金色堂増長天像との類似性が認められ、平泉の仏教文化と鎌倉幕府周辺との関係を明確に示す、現存するほとんど唯一の事例とされるたいへん貴重な仏像です。また、この天王立像の動きのあるダイナミックな作風は、運慶作の仏像とも類似しています。※天王立像(木造伝毘沙門天立像)は、県立金沢文庫に寄託されています。

三浦義澄は、奥州征伐に従軍していますし、永福寺の奉行人も務めました。義澄源頼朝と同様に平泉の仏教文化の影響を受けて、天王立像運慶工房に造らせたのかもしれません。

大善寺・天王立像(横須賀美術館「運慶-鎌倉幕府と三浦一族」壁画より)
大善寺・天王立像(横須賀美術館「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」壁画より※仏像名は当サイトが加筆)

DATA

住所 横須賀市衣笠町29-1
アクセス
行き方

JR横須賀線「衣笠駅」から徒歩約6分の「衣笠十字路」バス停、または、京急線「横須賀中央駅」より
京急バス「長井」行き、「三崎口駅」行き、「横須賀市民病院」行き等の林方面行きにて『衣笠城址』下車、徒歩約15分

駐車場 あり
料金

無料(志納)

電話番号 046-851-1196
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