星ノ井は、極楽寺坂切通の長谷側の登り口にある井戸です。星月夜ノ井や星月ノ井とも呼ばれ、江戸時代に選定された「鎌倉十井」に選ばれています。
星ノ井(星月夜ノ井、星月ノ井)の名前の由来は、この井戸をのぞくと昼間も星の影が見えたことから名付けられたと言われています。
星ノ井のすぐ隣りの建つ星井寺・虚空蔵堂は、奈良時代の僧・行基が、この井戸から出てきた光り輝く石を虚空蔵菩薩の化身と思い虚空蔵菩薩を祀ったのがはじまりであると伝えられています。
この辺りはかつて、星月夜ヶ谷と呼ばれていて、「星月夜」は地名にもなっていました。
![星ノ井(星月夜ノ井、星月ノ井)・全景(撮影日:2021.01.29)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2023/10/f961422e60ec0344be2464c057297741-1200x800.jpg)
「星月夜」は鎌倉を表わす枕詞
「星月夜」は鎌倉を表わす枕詞でもありました。旧鎌倉町の町章も、この「星月夜」をモチーフにしたものでした。
星ノ井から続く極楽寺坂切通は、京などの西国から東海道経由で鎌倉に入ってくる際の入口でした。(海沿いを走る現在の国道134号に稲村ヶ崎の切通が開削されたのは、昭和に入ってからです)
星月夜は西から鎌倉に入る者が最初に訪れる場所であり、鎌倉の代名詞的な地名だったのでしょう。水質が良い井戸から選ばれた「鎌倉十井」の一つであることからも分かるように、星ノ井の水は美味しかったため、昭和初期まで旅人に飲料水として売られていたと言われています。
「星月夜」という言葉自体には、月明かりもなく満天の星が輝く夜という意味があり、秋の季語として用いられてきました。
星月夜の名前が示す月明かりのない暗い夜の「暗(くら)」と鎌倉の「倉(くら)」をかけて、鎌倉の枕詞になったとも言われています。
このように、「星月夜」は古来より和歌に詠まれてきたほか、明治時代に大和田建樹によって作詞された「鉄道唱歌(東海道篇)」にも唄われています。
北は圓覺建長寺 南は大佛星月夜
「鉄道唱歌」(大和田建樹, 1900)
片瀬腰越江の島も ただ半日の道ぞかし
また、現代では、サザンオールスターズ・原由子の楽曲「鎌倉 On The Beach」(原由子・桑田佳祐, 2022)にも、鎌倉の枕詞として「星月の郷」という歌詞が登場しています。
![「星ノ井(星月井)」旧跡碑(撮影日:2022.12.03)](https://miurahantou.jp/wp-content/uploads/2023/10/f1f742fde843df27a24306db288e8b28-1200x800.jpg)
星ノ井(星月夜ノ井、星月ノ井)周辺の見どころ
長谷方面
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極楽寺方面
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