ストーリー上の設定として登場する場所
稲村ヶ崎・ビーナス
金目鯛入りのけんちん汁を出す稲村ヶ崎のライブレストラン「ビーナス」は、稲村ヶ崎にほど近い場所に実在する「ヴィーナス・カフェ」がモデルと見られます。映画の「ビーナス」と同じように海に面した国道沿いにありますが、目の前の海はコンクリートで護岸されていて、砂浜ではありません。
このあたりでは砂浜の流出が続いていて、稲村ヶ崎や隣りの七里ヶ浜などでも2000年代前半には海水浴場が開設されなくなりました。
この映画が撮影された1989年~1990年当時も、すでにストーリーの舞台となっている東京オリンピックの翌年とは風景が大きく変わってしまっていたため、映画に登場する「ビーナス」は伊豆の弓ヶ浜にオープンセットが造られて撮影されました。
なお、けんちん汁(建長汁)は、桑田佳祐監督の母校である鎌倉学園を設立した建長寺が発祥です。
横須賀・ドブ板通り
主人公の一人・波子(清水美砂)が働いていたのが横須賀で、「ドキュメント・オブ・稲村ジェーン」を観ると、桑田佳祐監督も横須賀のドブ板通りをロケハンしていたのが分かります。
ドブ板通りは、戦後、横須賀に進駐して来た米兵向けの店が建ち並ぶようになりました。通りでは娼婦も商売をしていたと言います。
今ではそのようなことはまったくありませんが、平成に入るまではあやしい雰囲気が残っていて、とくに夜などは日本人が一人で歩くのはためらってしまうような感じさえしました。
しかし、おそらく劇中ではドブ板通りは使用されておらず、横須賀の風俗街とされるシーンはセットによるものと思われます。