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東勝寺橋 | モダニズムが生んだ川床に降りられる古都鎌倉に残る小さなアーチ橋

東勝寺橋(撮影日:2023.12.01) 鎌倉
東勝寺橋(撮影日:2023.12.01)

東勝寺橋とうしょうじばしは、鎌倉中心部を流れる滑川なめりがわの中流に架かる橋で、鎌倉幕府の都市計画によって築かれた「鎌倉六大路」の一つ・小町大路から、執権北条氏滅亡の地として伝わる東勝寺(現在の、国指定史跡・東勝寺跡)のあった葛西ヶ谷に通じる橋です。
小さいながらも重厚なコンクリートのアーチ橋が特徴的で、滑川の渓谷のような周辺の地形とあいまって、独特な景観をつくりだしています。

東勝寺橋は、江戸時代に選定された「鎌倉十橋かまくらじっきょう」には選ばれていませんが、1999年(平成11年)に鎌倉市によって選定された「かまくら景観百選」に選ばれています。鎌倉に残る、近代を代表する橋の一つと言えます。

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モダニズムが造り出した小さなコンクリートアーチ橋

東勝寺橋・橋下から滑川上流を望む(撮影日:2023.12.01)
東勝寺橋・橋下から滑川上流を望む(撮影日:2023.12.01)

現在の東勝寺橋は、関東大震災が起きた翌年の1924年(大正13年)に架けられた、鉄筋コンクリート造のアーチ橋です。滑川の中流に位置するこの場所は、川幅もそれほど広くはなく、東勝寺橋の全長は10mほどしかありません。

鎌倉時代、執権北条氏の屋敷(現在の宝戒寺)の裏手にあたり、執権北条氏の菩提寺でもあった東勝寺は、有事には城塞の役割も担うことが想定されていたと考えられています。東勝寺は、背後を葛西ヶ谷の山が囲み、前方を滑川が堀となる、要害の地と呼べるような場所にあったためです。
実際に、鎌倉幕府滅亡時に東勝寺は文字通り「最後の砦」となり、北条一門と運命をともにしました。
鎌倉時代には特別な意味を持っていたと考えられる当時の東勝寺橋と変わり、それ以後は普通の生活路の一部として橋が架けられていたと考えられます。

関東大震災の震災復興期は、ちょうど、鉄筋コンクリート造の大衆化が進んでいた時期で、世界的には装飾が少なく構造的で合理的な価値観を持つ、後にモダニズム建築と呼ばれる建築様式が流行っていました。震災復興という、耐震性や耐火性が求められ、なおかつ短期間で大量の建築を造らなければならなかったという事情とたまたま合っていただけという見方もできますが、結果的に、日本においてもこの時期からモダニズム建築が増えていくことになります。

建物の建築以上に構造性や合理性を求められる橋などの土木の分野においてはそれがより顕著で、東勝寺橋も広義のモダニズム建築と言えます。
一方で、欄干部分はアールデコ調の雰囲気も見られます。こちらも、意識してのことなのか、当時の標準的な様式を採用しただけのことなのか、また、当時から変わらない意匠なのかを含めて、詳細は分かりません。

この時代の土木建築は、都市構造の変化によって、現代まで姿を変えずに残っているものはそれほど多くありません。たとえば、市街地の橋で言えば、交通量の増加にともない、車線や幅員の広いものへ架け替えられていきました。
しかし、東勝寺橋の上を走る通りはもともと主要路ではなく、古都鎌倉の中心部で周辺も大きな開発が行われなかったこともあり、通過交通もそれほど増えることがなかったため、現在までほとんど姿を変えずに、約100年に渡って使われ続けています。

東勝寺橋・橋下から滑川下流を望む(撮影日:2023.12.01)
東勝寺橋・橋下から滑川下流を望む(撮影日:2023.12.01)
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外から眺めたくなる東勝寺橋のデザイン

東勝寺橋・川床から滑川上流を望む(撮影日:2023.12.01)
東勝寺橋・川床から滑川上流を望む(撮影日:2023.12.01)

橋の構造にアーチ橋が採用されるケースは、構造特性が優れている点のほかに、景観的に美しい点も挙げられます。東勝寺橋が美しさをどこまで意識して造られたのか分かりませんが、外から見られることも考慮に入れられていたと考えるのが自然でしょう。

東勝寺橋の特徴の一つに、川床に降りられるということが挙げられます。現在の橋が架けられた当初からそのようになっていたのか、あるいは、この橋を外側から見たいと考えて後からそのようになったのかは分かりません。しかし、周囲の自然環境を含めて、外から眺めてみたくなるデザインであることはまちがいありません。

東勝寺橋・川床から滑川下流を望む(撮影日:2023.12.01)
東勝寺橋・川床から滑川下流を望む(撮影日:2023.12.01)
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東勝寺橋から川床への降り方

東勝寺橋・東勝寺跡、北条高時腹切りやぐら方面を望む(撮影日:2023.05.02)
東勝寺橋・東勝寺跡、北条高時腹切りやぐら方面を望む(撮影日:2023.05.02)

東勝寺橋川床へは、鎌倉の中心市街側の小町大路方面から訪れた場合、橋に向かってすぐ右側に降り口があります(上の写真の右側)。手すりが付いた階段などはなく、石が埋められただけの急こう配を降りる必要があります。また、水に濡れて川床も滑りやすくなっていますので、しっかりとしたスニーカーやトレッキングシューズと、汚れても良い恰好が必要です。

東勝寺橋・川床への降り口(撮影日:2023.12.01)
東勝寺橋・川床への降り口(撮影日:2023.12.01)
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春の新緑と晩秋の紅葉が美しい癒しスポット

東勝寺橋から見た新緑の滑川(撮影日:2023.05.02)
東勝寺橋から見た新緑の滑川(撮影日:2023.05.02)

東勝寺橋周辺の滑川の水質は、特別キレイというわけではありません。観光客も住宅も多い地域ですので、けっして清流というわけではありません。そのような点では、少し遠めから眺めるのがいちばん良いかもしれません。

東勝寺橋の景観は、橋の上からでもじゅうぶんたのしめます。春は新緑の緑が美しいですし、晩秋には周辺の木々が紅葉して渓谷らしさが増します。春から秋にかけてはカワセミを目にすることも多く、鎌倉の都市部に隣接していながら、気軽に自然の動植物をたのしめる癒しスポットです。

東勝寺橋から見た晩秋の滑川(ヨコ)(撮影日:2023.12.01)
東勝寺橋から見た晩秋の滑川(ヨコ)(撮影日:2023.12.01)
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滑川の管理区分の境界地点

東勝寺橋・「藤沢土木出張所管理」の石柱(撮影日:2023.05.02)
東勝寺橋・「藤沢土木出張所管理」の石柱(撮影日:2023.05.02)

二級河川である滑川は、この東勝寺橋を境に、上流が鎌倉市による管理、下流が神奈川県による管理となっています。これより上流の滑川には、都市部から山間部に入っていき、東勝寺橋周辺と同じような小さな渓谷を思わせるような景観をたのしめるような場所がいくつか点在しています。

東勝寺橋・橋名が刻まれた石柱(撮影日:2023.05.02)
東勝寺橋・橋名が刻まれた石柱(撮影日:2023.05.02)
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東勝寺橋周辺の見どころ

鎌倉中心市街地・小町大路側

東勝寺跡方面

鎌倉の中心市街地方面から東勝寺橋を渡ってまっすぐ進んで行くと、祇園山ハイキングコースの入口があります。祇園山ハイキングコースはちょうど小町大路に並行するように尾根道が続いていて、反対側は大町の八雲神社の境内に抜けることができます。

DATA

住所 鎌倉市小町3-2-29
アクセス
行き方

JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約14分
または、JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉霊園正面前太刀洗」行き、「金沢八景駅」行き、「ハイランド」行き、「鎌倉宮(大塔宮) 」行きで『大学前』下車徒歩約6分

駐車場 なし ※近隣にコインパーキングあり
ウェブサイト https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/keikan/ks23.html
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