スポンサーリンク

海蔵寺 | 花の寺や水の寺とも呼ばれる扇谷上杉家ゆかりの寺院

海蔵寺・枝垂れ梅と本堂(撮影日:2023.03.03) 鎌倉
海蔵寺・枝垂れ梅と本堂(撮影日:2023.03.03)
三浦半島日和おすすめ記事

海蔵寺は、鎌倉・扇ガ谷おうぎがやつの谷戸の奥に位置する、扇谷上杉家ゆかりの寺院です。扇谷上杉家は、室町時代から戦国時代にかけて栄えた上杉氏の諸家の一つで、歴代の鎌倉公方古河公方に仕えた他、相模三浦氏三浦道寸三浦義同を輩出しています(道寸三浦時高に養子入り)。

海蔵寺は、鎌倉時代には七堂伽藍の大寺院でしたが、鎌倉幕府滅亡の際に戦火で焼失してしまいました。
その後、1394年(応永元年)に、第2代鎌倉公方・足利氏満の命により、扇谷上杉家の当主だった上杉氏定心昭空外源翁禅師)を招いて再建しました。

海蔵寺は、一年中境内に花が途絶えないことから「花の寺」と呼ばれたり、山門の前に鎌倉十井の一つ「底脱の井そこぬけのい」が、境内の外れの岩窟には「十六の井」があることから「水の寺」と呼ばれたりしています。「海蔵寺」という名前からも、「水の寺」であることを連想できます。

山号扇谷山
宗派臨済宗建長寺派
寺格
本尊薬師如来
創建1253年(建長5年)
中興:1394年(応永元年)
開山藤原仲能
中興:心昭空外(源翁禅師)
開基宗尊親王
中興:上杉氏定

海蔵寺は、扇ヶ谷の谷戸にいちばん奥に位置しているため、駅から離れていてバスの便もなく、訪れる人はそこまで多くありません。その分、静かな落ちついた環境で、お参りや、四季の花々美しい紅葉を楽しむことができます。

一見、鎌倉の周遊コースには入れにくいように見えますが、海蔵寺山門の手前から分岐して、仮粧坂(化粧坂切通し)を経由して源氏山公園に登れば、銭洗弁財天佐助稲荷神社鎌倉大仏方面や北鎌倉方面に向かうルートなど、さまざまなバリエーションを選ぶことができます。

スポンサーリンク

鎌倉三十三観音・第26番札所の十一面観音を安置する本堂

海蔵寺・本堂(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・本堂(撮影日:2020.12.01)

海蔵寺本堂には、十一面観音菩薩が安置されています。この十一面観音菩薩で、海蔵寺鎌倉三十三観音・第26番の札所となっています。

海蔵寺は、鎌倉二十四地蔵・第15番の札所にもなっています。これは、境内から少し離れた、亀ヶ谷坂切通しの入口に建つ岩船地蔵堂海蔵寺が管理しているためで、ここに安置されている岩船地蔵尊が選ばれていることによります。

海蔵寺・本堂(内部)(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・本堂(内部)(撮影日:2020.12.01)
スポンサーリンク

「啼き薬師」の伝承が残る本尊・薬師如来像

海蔵寺・薬師堂(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・薬師堂(撮影日:2020.12.01)

海蔵寺の本尊・薬師如来像は、本堂に向かって左側に建つ薬師堂仏殿)に安置されています。この薬師堂は、江戸時代の1776年(安永5年)に山ノ内の浄智寺から移されたものと伝わります。
薬師如来像を安置する海蔵寺薬師堂は、鎌倉十三仏霊場・第7番の札所となっています。

本尊・薬師如来像の胎内には、中興開山の心昭空外源翁禅師)が、赤ん坊の泣き声がする場所で土の中を掘り起こしてみると薬師の面が出てきたため、それが納められていると伝えられています。そのため、この薬師如来像には「啼き薬師なきやくし」という別名が付いています。

スポンサーリンク

海蔵寺裏山のやぐら群

海蔵寺・山すそのやぐら群(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・山すそのやぐら群(撮影日:2023.03.03)

海蔵寺の裏山の山すそには、中世の横穴式の墳墓または供養の場である複数の「やぐら」が残っています。やぐらの中には五輪塔や石塔などが安置されています。
山すそを見上げると、やぐらは崖の上のほうにもあることが分かります。

海蔵寺・やぐら-1(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・やぐら-1(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・やぐら-2(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・やぐら-2(撮影日:2020.12.01)
スポンサーリンク

16個の丸穴に水が湧く 十六の井

海蔵寺・十六の井(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・十六の井(撮影日:2023.03.03)

やぐら群の一つに「十六の井」という井戸があります。十六の井が「やぐら」と呼べるものなのかどうかは分かりませんが、かつては、1306年(嘉元4年)銘の阿弥陀三尊来迎図が刻まれた板碑が安置されていました(現在は鎌倉国宝館に寄託)。
十六の井」の名前の由来は、この横穴内に、16個の丸穴があり、水が湧いているためとされています。

海蔵寺・十六の井(内部)(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・十六の井(内部)(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・十六の井前のトンネル(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・十六の井前のトンネル(撮影日:2023.03.03)
スポンサーリンク

鎌倉十井の一つ 底脱の井

海蔵寺・底脱の井(鎌倉十井)(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・底脱の井(鎌倉十井)(撮影日:2020.12.01)

海蔵寺の山門の手前にある底脱の井そこぬけのいは、鎌倉十井かまくらじっせいの一つに数えられている井戸です。この「底脱の井」の名前の由来には、2つの説が残されています。

一つは、鎌倉時代中期に活躍した武将・安達泰盛の娘・千代能ちよのがこの井戸に水を汲みに来た際に、水桶の底が抜けて、「千代能がいただく桶の底ぬけて、水たまらねば月もやどらず」と詠んだことに由来するとされるものです。千代能は、この出来事がきっかけで、悟りを開いたと言います。(現地案内板および「新編鎌倉志」より)

もう一つが、上杉家の尼が「賎の女が戴く桶の底ぬけて、ひた身にかかる有明の月」と詠んだことに由来するとされるものです。(「新編鎌倉志」より)

スポンサーリンク

海蔵寺の初春を彩る梅

海蔵寺・枝垂れ梅と山門(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・枝垂れ梅と山門(撮影日:2023.03.03)

例年、2月中旬になると、海蔵寺の境内では徐々にが開花しだします。山門から入ってすぐ左手にある枝垂れ梅は、枝ぶりも雄大で、花をつかせるととても見ごたえがあります。

海蔵寺・紅梅と庫裏(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・紅梅と庫裏(撮影日:2023.03.03)

▼その他の鎌倉の梅の名所はこちら▼

【2024 No.4】特集 | 鎌倉梅の名所
スポンサーリンク

山門周辺などで見られる海蔵寺の紅葉

海蔵寺・参道の紅葉(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・参道の紅葉(撮影日:2020.12.01)

海蔵寺紅葉は、JR横須賀線の線路方面から続く参道の山門周辺などで見られます。

海蔵寺・参道沿いの紅葉(撮影日:2008.11.22)
海蔵寺・参道沿いの紅葉(撮影日:2008.11.22)

以下のリンク先からその他の【鎌倉の紅葉おすすめスポット】の情報もご覧ください

【2023 No.11】特集 | 晩秋の鎌倉・モミジ&カエデの紅葉
【2023 No.11】特集 | 晩秋の鎌倉・イチョウの黄葉
スポンサーリンク

その他の海蔵寺の見どころ

山門

海蔵寺・山門(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・山門(撮影日:2020.12.01)

鐘楼

海蔵寺・鐘楼(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・鐘楼(撮影日:2020.12.01)

庫裏

海蔵寺・茅葺屋根の庫裏(撮影日:2023.03.03)
海蔵寺・茅葺屋根の庫裏(撮影日:2023.03.03)

庭園

海蔵寺・庭園(撮影日:2020.12.01)
海蔵寺・庭園(撮影日:2020.12.01)
スポンサーリンク

海蔵寺周辺の見どころ

仮粧坂(化粧坂切通し)
仮粧坂けはいざかは、鎌倉の扇ガ谷と現在の源氏山公園を結ぶ古道です。「化粧坂けわいざか」や「化粧坂切通し」と表現される場合もあります。「仮粧坂」も「化粧坂」も、読み方は「けわいざか」です。「鎌倉七口か...
源氏山公園
源頼義や頼朝の父・源義朝の屋敷があったとされる寿福寺周辺の背後にある源氏山の山頂一帯が、源氏山公園として整備されています。公園内には、源頼朝像や日野俊基ひのとしもとの墓(宝篋印塔ほうきょういんとう)...
葛原岡神社
葛原岡神社くずはらおかじんじゃは、鎌倉幕府倒幕を計画していた後醍醐天皇の側近・日野俊基ひのとしもとを祀る神社です。後醍醐天皇や日野俊基らは、当時、悪政を敷いていたとされる鎌倉幕府を改めようとする...
英勝寺
英勝寺えいしょうじは、江戸幕府初代将軍・徳川家康の側室・お勝の方が開いた、鎌倉唯一の尼寺です。お勝の方は、室町時代後期に扇谷上杉家の重臣として活躍した太田道灌おおた どうかんの子孫です。家康の死...
寿福寺・源実朝と北条政子の墓
寿福寺じゅふくじ(壽福寺)は、源頼朝の死の翌年に、北条政子が頼朝の菩提を弔うために開いた禅宗寺院です。山号になっている「亀谷山」は、寺の背後にある源氏山の別名です。鎌倉五山第三位に列せられ、最盛...
岩船地蔵堂
岩船地蔵堂いわふねじぞうどうには、源頼朝と北条政子の最初の子である大姫おおひめの守り本尊と伝わる地蔵尊が祀られています。諸説ありますが、源頼朝と北条政子の次女・乙姫(三幡)がこの近くに葬られ、墳墓堂...

DATA

住所 鎌倉市扇ガ谷4-18-8
アクセス
行き方

JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(西口)」より、徒歩約20分

駐車場 あり
営業時間

9:30~16:00

料金

無料(志納)※十六の井拝観料:100円

電話番号 0467-22-3175
※このページに掲載している内容は、予告なく変更となっている場合があることをご了承ください。

error: 申し訳ありません。コピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました