京急久里浜工場は、京急(京浜急行)の電車の、検査や更新(自動車の定期点検や車検に相当するもの)をするための工場です。北久里浜駅と京急久里浜駅の間にあります。工場には車両基地も併設されています。
京急久里浜工場には、京急の前身である湘南電気鉄道デ1形(後の京急230形)や京浜電気鉄道51号形(後の京急140形)といった戦前に製造された車両や、1000形(初代)、800形、2000形といった京急の名車たちも静態保存されています。これらの車両は、一般公開のイベントなどで見られる場合があります。
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一般公開される 京急ファミリー鉄道フェスタ
普段は公開されていませんが、1年に一度だけ、例年5月に一般公開される「京急ファミリー鉄道フェスタ」は人気のイベントで、2018年には過去最多の24,500名以上が訪れました(2020年はリモート開催、2021年は開催せず)。
「京急ファミリー鉄道フェスタ」以外にも不定期で、事前応募制のイベントが開催されることがあります。
過去の名車たちが保存されている地とあって、京急や鉄道ファンにとっては、聖地のような場所として知られています。
かつての船の基地にある車両基地
京急久里浜工場がある横須賀市舟倉やその南の久里浜は、三浦半島最長の河川である平作川の河口に位置しています。
江戸時代に砂村新左衛門らによって開拓されるまでは、このあたりまで入り江が入り込んでいました。
中世には、京急久里浜工場を見渡す山の上に、三浦半島を支配していた三浦一族の水軍の拠点「怒田城」がありました。京急久里浜工場がある「舟倉」は、現在は電車の「倉」となっていますが、かつて船の「倉」があったことが地名の由来だと伝わっています。
古代までさかのぼると、「大塚山古墳群」や「吉井貝塚」(「怒田城」がある山と同じ山)といった遺跡も近くにあります。
明治以降も周辺は水田や湿地帯が広がっていて、平作川でもたびたび洪水が発生していました。
とくに1974年(昭和49年)7月の七夕水害では平作川流域全域で洪水が発生して、京急久里浜工場の車両も被害を受けました。
七夕水害をきっかけに平作川は、その後約10年をかけて、国の災害再発防止の緊急事業として改修工事が行われました。
京急久里浜工場周辺の見どころ
久里浜周辺の見どころはペリーが上陸した海岸方面に多く、京急久里浜工場からは少し距離がありますが、いずれも横須賀や三浦半島を代表するような場所です。