久里浜港や久里浜海岸周辺の施設は、2018年に国土交通省が定める「みなとオアシス」に「みなとオアシス”ペリー久里浜”」として登録され、同年の「久里浜ペリー祭」内で登録証交付式が行われました。
ペリーが1853年(嘉永6年)に米国大統領の親書を携えてこの地に上陸して賑わせた久里浜の海は、現在では、南房総へ向かうカーフェリーや伊豆大島への高速ジェット船(不定期)などが行き交う、三浦半島の海の玄関口になっています。
「みなとオアシス」とは、国土交通省が、港を核としたまちづくりを促進するための制度です。旅客ターミナル、観光案内施設、産地直売施設、レストランなどから構成されています。運営は地方自治体やNPO法人などが主体となって行われますが、住民参加による地域振興の取組が継続的に行われる施設である必要があります。
「みなとオアシス”ペリー久里浜”」では、代表施設である「東京湾フェリー久里浜ターミナル」の他、温浴施設や飲食施設、工場直営の直販所など、8つの施設で構成されています。
INDEX
南房総などへの玄関口「東京湾フェリー久里浜ターミナル」
三浦半島と南房総を結ぶ東京湾フェリー
房総半島の金谷港との定期航路が開設されている「東京湾フェリー久里浜ターミナル」は、久里浜港周辺の中心施設です。「みなとオアシス”ペリー久里浜”」の代表施設にもなっています。
金谷港との間を約40分で結ぶカーフェリーは、東京湾アクアラインの開通などによって利用者が減りましたが、ドライバーがひと時の休憩をしながら移動できる貴重な交通手段です。
近くを走る国道16号や国道357号などと東京湾フェリーを利用して、東京湾一周をたのしむことができます。通称「ワンイチ」として、ドライブの他、サイクリストに人気です。
また、反対側の港で下船できない条件で格安に利用できる遊覧乗船で、気軽に船旅を味わうこともできます。例年夏には、「サンセットクルーズ」と題して、この遊覧乗船を使用した船上ビアガーデンも開催されています。
伊豆大島まで1時間で行ける東海汽船の高速ジェット船
運航は季節によりますが、久里浜港からは伊豆大島への高速ジェット船も発着しています。伊豆大島までは約60分で結び、日帰り旅行もたのしめます。
この高速ジェット船は東京の竹芝港が起点となっていて、久里浜港から竹芝港への乗船(またはその逆も)という使い方もできます。
海鮮料理を楽しめる「漁師料理よこすか」と温浴施設「海辺の湯久里浜店」
「東京湾フェリー久里浜ターミナル」の裏手にある「漁師料理よこすか」では、新鮮な海鮮料理を味わうことができます。気取った感じがない分、格安でたのしむことができるのがうれしいです。売店では、三浦半島や房総半島のお土産を買うこともできます。
「漁師料理よこすか」の上の階には温浴施設「海辺の湯久里浜店」があり、東京湾を眺めながら露天風呂に入ることができます。「海辺の湯久里浜店」では、久里浜の地下300mから湧き出る天然温泉を使用しています。
コロッケやメンチなどの工場直営店「三富屋直売所」
「三富屋直売所」には、隣りの工場でつくられた揚げたてのコロッケやメンチカツなどを購入することができます。種類も多く、どれもお財布にやさしい価格です。
店内ではバンズも販売されていて、ソースも用意されているため、オリジナルのサンドをつくって、できたてをすぐに味わうこともできます(店内での飲食は不可)。
業務用のケーキをお得に買える「ファミール製菓工場直販店トレーラーハウス・ケーキマニア」
トレーラーハウスを利用した工場直営のケーキ販売店「ケーキマニア」では、業務用のケーキを中心に、驚くような格安の価格で販売されています。
公式サイトではオンラインでの販売もしていますが、直売店ではケーキの切れ端などの掘り出し物が売り出されていることもあり、実店舗ならではのたのしさがあります。
久里浜海岸に上陸したペリーを記念した「ペリー公園」
久里浜海岸を正面に望む場所には、ペリーの上陸を記念したペリー公園があります。
ペリー公園の一角にはペリーや黒船関連の資料が展示されているペリー記念館があり、無料で入館することができます。
ペリー公園と久里浜海岸の間にある通りは「ペリー通り」と名付けられています。また、近くには「開国橋」という名前の橋があります。周辺を歩いているだけでも、歴史的な場所にいることを感じさせてくれます。
港の片隅にある小さな公園「久里浜みなと緑地」
久里浜みなと緑地は、「三富屋直売所」や「ファミール製菓工場直販店トレーラーハウス・ケーキマニア」の近くにある、小さな公園です。
周辺にはペリー公園やくりはま花の国といった定番の公園もありますが、久里浜みなと緑地は久里浜港から一番近い公園のため、フェリーの乗船待ちなどのちょっとした時間の休憩などに良いと思います。
久里浜みなと緑地の近くには、かつて栗浜大明神と呼ばれていた、住吉神社が鎮座しています。
大型船も着岸可能な「久里浜1号岸壁」
緊急時物資輸送拠点やイベントなどで利用
東京湾フェリーの港よりさらに外側に整備された久里浜1号岸壁は、大型船が発着できる岸壁です。海路の渋滞多発地点として有名な浦賀水道を通らずに大型船が入港できる、東京湾で唯一の港です。
災害時には緊急時物資輸送拠点として利用される他、クルーズ船の発着やイベント船の展示などが行われます。
久里浜1号岸壁には、年に数回、小笠原諸島の父島を結ぶ貨客船「おがさわら丸」も寄港します。
かつては大分・大在港へのフェリー航路が就航
久里浜1号岸壁からは、2004年から2007年までの間、大分県の大在港との間にカーフェリーが就航していました。燃費や性能が悪い中古船での運航に、原油価格の高騰が追い打ちをかけて、短い期間で航路廃止となりました。
2021年7月からは、同じ横須賀と九州を結ぶカーフェリーとして、横須賀新港と新門司港との間に東京九州フェリーが就航しました。