称名寺は鎌倉市の最高峰・大平山の北西のふもとにある寺院で、通称・今泉不動と呼ばれて親しまれています。境内には、砂押川の源流の一つである、陰陽の滝がありあす。
称名寺・本堂の横の山上には不動堂があり、称名寺はこの別当(管理する寺)として創建されました。古くは、陰陽の滝で滝行も行われていたようで、陰陽の滝の横には前不動と呼ばれた岩屋も残っています。
称名寺(今泉不動)は、すぐ側まで鎌倉パブリックゴルフ場と今泉台の住宅地が迫っているような場所にありますが、鎌倉・今泉の山深い谷戸の奥にあって、不動信仰の修験道としての往時の雰囲気をよく残しています。
山号 | 今泉山 |
宗派 | 浄土宗 |
寺格 | ― |
本尊 | 阿弥陀如来 |
創建 | 818年(弘仁9年) ※不動堂は810年(弘仁元年) |
開山 | 空海(弘法大師) |
開基 | ― |
貴重な自然と共に残された称名寺(今泉不動)では、初夏には砂押川の上流でホタルが舞います。
INDEX
弘法大師が開いた称名寺
平安時代に空海(弘法大師)が開いたと伝わる称名寺は、古くは円宗寺という名前の寺でした。その後、無住になった後、江戸時代の1684年(貞享元年)に直誉蓮入が本堂を再建して、1705年(宝永2年)(「新編相模国風土記稿」では元禄6年(1693年)とあり)には江戸の増上寺の末寺となって、今泉山一心院称名寺という寺名を授けられました。
「今泉不動」の愛称で親しまれている不動堂
称名寺(円宗寺)は、不動堂を管理する別当として創建されました。現在でも「今泉不動」の名前で親しまれているように、不動明王を祀る不動堂が主役の寺院と言って良いでしょう。鎌倉時代には、この不動堂に、歴代の将軍も参詣したと伝えられています。
称名寺の本堂の横にある苔むし長い石段を登ると、不動堂が建っています。さらにその側には、大日如来と三十六童子が祀られています。
滝行もおこなわれていた陰陽の滝
かつて、滝行もおこなわれていたという陰陽の滝の側には、前不動と呼ばれた岩屋が残っています。岩屋の中には、現在でもいくつかの石仏や石塔が安置されています。
陰陽の滝には、「男滝」と「女滝」の2本の滝があって、砂押川の源流がこの場所で合流しています。
称名寺(今泉不動)の紅葉
称名寺(今泉不動)では、晩秋に、砂押川の周辺などの木々が色づいて、紅葉をたのしめます。近くの散在ガ池森林公園(鎌倉湖)と合わせて散策するのがオススメです。
称名寺(今泉不動)のその他の見どころ
鼻高地蔵(六地蔵)
称名寺(今泉不動)の入口付近に並ぶ六地蔵のうち、いちばん左のお地蔵様は鼻が高いことから、「鼻高地蔵」と呼ばれています。
勢至丸像
勢至丸は、浄土宗の開祖・法然の幼名です。
動物供養塔
称名寺(今泉不動)周辺の見どころ
現在は鎌倉パブリックゴルフ場で分断されていますが、かつては、称名寺(今泉不動)がある谷戸の奥からは、今は天園ハイキングコース(鎌倉アルプス)として人気の尾根道へ続いていました。この尾根道は、中世から貿易港や塩田として栄えていた六浦(現在の横浜市金沢区)方面まで続いています。
称名寺(今泉不動)は、大船やその先の東海道方面から六浦方面へ向かう場合の、山道に入る前の中継点としての機能も持っていたのかもしれません。