光則寺は、長谷寺の北側のすぐ隣りに位置する、日蓮宗の寺院です。桜やアジサイなど、花の寺として知られています。とくに本堂前のカイドウ(海棠、花海棠)は、樹齢200年を越えると言われる巨木で、光則寺はカイドウで「かながわの花の名所100選」に選ばれています。
光則寺は日蓮ゆかりの寺院です。旧本山は、日蓮が開いた、比企ヶ谷の妙本寺です。
1260年(文応元年)、日蓮によって書かれた「立正安国論」を鎌倉幕府第5代執権(前執権)・北条時頼に取り次いだのが、寺社奉行で、光則寺を開いた宿屋光則だったとされています。
山号 | 行時山 |
宗派 | 日蓮宗 |
寺格 | ― |
本尊 | 十界曼荼羅 |
創建 | 1274年(文永11年) |
開山 | 日朗 |
開基 | 宿屋光則 |
知名度の高い長谷寺の陰に隠れがちですが、光則寺は鎌倉を代表する花の名所の一つです。とくに、鎌倉で一番の巨木とされるカイドウや日蓮ゆかりのキヨスミサワアジサイなど、光則寺は個性が際立った花の寺です。
INDEX
自邸に監禁していた日朗を招いて開かれた光則寺
北条時頼の重臣の一人であった宿屋光則は、日蓮が佐渡に配流されると、日蓮の一番弟子の日朗らを預かり、自邸の土牢で監禁します。しかし、日朗らを監禁するうちに、自らも日蓮宗に傾倒していくようになります。
そしてついには、宿屋光則は、日朗を開山に迎えて、自らの屋敷を提供して日蓮宗の寺院・光則寺を開きました。光則寺の名前の由来は、もちろん、この宿屋光則によります。
かつて日朗を監禁していたという土牢は、今も光則寺の裏山に残っています。
鎌倉を代表するカイドウの名所
光則寺の本堂前のカイドウ(海棠、花海棠)は樹齢200年以上と言われていて、鎌倉市の天然記念物に指定されています。ここまで大きく育ったカイドウはなかなかお目にかかれるものではありません。
かつては、妙本寺、安国論寺、そして光則寺のカイドウが「鎌倉三大カイドウ」と呼ばれていましたが、安国論寺のカイドウの古木は枯れてしまったため、光則寺のカイドウは鎌倉でも貴重な古木です。
光則寺のカイドウの見ごろは例年4月上旬で、ソメイヨシノの見ごろとほぼ同じころです。どちらの開花が早いかは、年によって異なります。
鎌倉屈指の穴場のあじさい鑑賞スポット
すぐ隣りの長谷寺は鎌倉でも一、二を争うあじさい寺として有名ですが、光則寺もあじさいの名所の穴場です。あじさいが見ごろを迎える6月に、長谷寺へ向かう参道は大混雑となるときも、一本隣りの光則寺の参道はそこまで混雑していません。
光則寺のあじさいの多くは、もともと小ぶりのヤマアジサイを、鉢植えでそのまま展示しているものが多いです。そのため、ボリュームはありませんが、控えめなのも古刹らしい雰囲気と言えます。
その他、あじさいは、日朗上人の土牢へ続く裏山の階段沿いなどでも見られます。
日蓮ゆかりの光則寺らしいキヨスミサワアジサイの群集
日蓮ゆかりの光則寺ならではと言えるのが、「清澄沢(キヨスミサワアジサイ)」の存在感です。清澄沢は、日蓮が出家得度した清澄寺のある、千葉県の清澄山が原産のあじさいです。種類がとても多い光則寺のあじさいの中でも、本堂前で多く植栽されるなど、清澄沢は特別な存在として扱われています。
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光則寺で見られる初夏に咲くその他の花
穴場中の穴場の光則寺の桜
あじさいシーズンほどではないものの、ちょうど春休みと重なる桜の季節も長谷寺は混雑します。
一方、光則寺にも、参道に立派な桜がありますが、こちらはそれほど混雑しません。あじさいと同じように、光則寺の桜も穴場中の穴場と言えるでしょう。
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