「叶神社」は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけての僧・文覚が源氏再興を願い、石清水八幡宮を勧請して創建したと伝えられています。文覚は房総半島の鹿野山に籠り、石清水八幡宮の神に祈り続けていましたが、この願いが叶う前兆を感じると、鹿野山の対岸に位置するこの三浦半島の浦賀の地に社殿を建立したと言います。1186年(文治2年)には、源氏再興の願いが叶ったことから、「叶大明神」(明治維新後に「叶神社」と改称)と称するようになりました。
浦賀には、西浦賀と東浦賀に2つの「叶神社」があります。それぞれを単に「叶神社」と言うこともありますが、東浦賀にある叶神社(東叶神社)と区別するために、ここ西浦賀の叶神社は、「西叶神社」あるいは「西岸 叶神社」と呼ばれています。
主祭神 | 誉田別尊(応神天皇) |
旧社格等 | 旧郷社 |
創建 | 1181年(養和元年) |
祭礼 | 1月1日 歳旦祭 2月節分 節分祭 3月下旬 祈年祭「春祭」 6月30日 夏越大祓式 9月15日に近い土曜 例大祭「宵宮祭」 9月15日に近い日曜 例大祭「例祭」「神幸祭」 11月15日 七五三祝礼祭 11月下旬 新嘗祭「秋祭」 12月31日 年越大祓式 毎月1日 月首祭 毎月15日 月次祭 |
現在の西叶神社の社殿は、江戸時代後期の1842(天保13年)に再建されたものです。社殿内外に見事な彫刻装飾が施されています。この彫刻は、「安房の三名工」の一人と称される宮彫り師・後藤義光(後藤利兵衛光定)の手によるもので、義光の青年期の代表作とされています。

INDEX
江戸後期の西浦賀の繁栄ぶりが伝わる西叶神社の彫刻

西叶神社の社殿は、江戸時代後期の1837年(天保8年)に焼失して、1842(天保13年)に再建されました。本殿、弊殿は総檜造りで、社殿の内外には見事な彫刻で飾られています。このときの社殿の再建にはおよそ三千両(現在の価値で3億円以上。1両=10万円換算による)を要したと言われ、江戸時代後期の浦賀の繁栄ぶりが伝わってきます。
江戸時代後期の西叶神社のある西浦賀は、江戸時代中期に浦賀奉行所が置かれたことによって多くの商人が集まるまちに発展していました。西浦賀では、塩をはじめ、米や酒などを扱う廻船問屋(かいせんどいや/かいせんどんや)が軒を連ねていて、これらの商人の豊富な資金も西叶神社の再建に一役買ったことに違いありません。

浦賀の東西二つの叶神社

西叶神社と東叶神社の近くにはそれぞれ浦賀の渡しの渡船場があり、浦賀湾を渡船でショートカットすることができます。浦賀湾に沿って迂回すると、徒歩で30分以上かかるところ、渡船では約3分で結んでいます。(渡船の待ち時間は含みません。バス利用でも待ち時間や浦賀駅で必ず乗り継ぎが必要なため、所要時間は30分程度かかります)
また、西叶神社で授かった勾玉を、対岸の東叶神社のお守り袋に納めて完成させる御守りには、恋愛などの良縁に恵まれるご利益があるということで、新たな人気パワーアイテムになっています。なお、お参りする順番によって、ご利益に違いはありません。

西叶神社の境内社
福寿弁財天

武雄神社・老山福寿稲荷神社

三峯神社・船守稲荷神社・大鷲神社・淡島神社

西叶神社周辺の見どころ




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