杉本寺は、734年(天平6年)に聖武天皇の后である光明皇后が行基と藤原房前に命じて建立したと伝わっている、鎌倉最古の寺院です。
実に、源頼朝が鎌倉幕府を開く、およそ450年も前のことです。
三体の十一面観音を本尊としていて、坂東三十三観音霊場・鎌倉三十三観音霊場の第一番札所になっています。
また、鎌倉二十四地蔵尊第四番・第六番の身代地蔵尊も祀られています。
山号 | 大藏山 |
宗派 | 天台宗 |
寺格 | ― |
本尊 | 十一面観音 |
創建 | 734年(天平6年)(伝) |
開山 | 行基 |
開基 | 光明皇后 |
杉本寺は、苔むした階段や山門の茅葺き屋根など、古刹の雰囲気をとてもよく残しています。とくに苔むした階段は杉本寺のシンボルの一つになっていて、通行禁止としていて、丁寧に保全されています。
杉本寺の背後の山は、平安時代後期に、当時三浦半島を治めていた三浦義明の子で杉本氏の祖・杉本義宗が築城した杉本城と呼ばれる山城だったと言われています。
杉本寺(杉本城)の前にはかつての六浦道(現在の金沢街道)が走っていて、三浦半島の付け根に位置するこの場所が古くから軍事的な要衝であったことが分かりますが、現在、杉本城の痕跡を確認することはできません。
INDEX
運慶作と伝わる仁王像が守る山門
拝観受付を過ぎて目の前に現われる山門(仁王門)には、運慶作と伝わる仁王像が左右に2体安置されていて、訪れる人に睨みをきかせています。
苔の寺としても有名な鎌倉最古の寺院
山門(仁王門)を過ぎると、本堂へと続く、すり減って苔むした石段が現われます。鎌倉最古の寺院にふさわしい、古刹の雰囲気をたっぷりと感じられます。
この苔の階段は通行禁止になっているため、本堂へはその横にある石段を使って登ります。
本堂へ登る石段から振り返ると、山門(仁王門)の茅葺き屋根の、苔の階段に負けないほど見事に苔むしている姿を見ることができます。
杉本寺は苔の階段が有名ですが、古刹の雰囲気を味わえる苔は境内のいろいろな場所で見ることができます。
「杉の本の観音」の伝説
杉本寺の本堂には、本尊である、734年(天平6年)行基作、851年(仁寿元年)円仁(慈覚大師)作、986年(寛和2年)源信(恵心僧都)作の三体の十一面観音をはじめ、源頼朝が寄進した運慶作と伝わる十一面観音や二体の地蔵菩薩など、数多くの仏像が安置されています。
本尊の三体の十一面観音は秘仏のため通常は非公開(毎月1日と18日に公開)ですが、本堂の外に本尊十一面観音の指とつながれたご縁を結ぶ糸が引かれていて、こちらのご利益はいつでも授かることができます。
本尊の三体の十一面観音は、鎌倉時代に火災が起こった際に自ら大杉の下で火を避けたため、「杉の本の観音」と呼ばれたという言い伝えがあります。
杉本寺のその他の見どころ
大蔵弁財天堂
財宝、利得の神である弁天尊を祀っています。杉本寺の弁天尊をお参りすると大きな蔵が建つほど富に恵まれるという言い伝えがあります。大蔵弁財天堂は、山門(仁王門)の横に建っています。
権現堂(白山、熊野両権現尊)
地蔵尊
五輪塔群
鐘楼堂
参道の紅葉
晩秋には、参道沿いのモミジが見事に紅葉します。見ごろは、例年、11月下旬から12月上旬ごろです。
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