一条恵観山荘は、後陽成天皇の第九皇子で、関白・摂政を二度務めた江戸時代前期の公卿、一条恵観(一条昭良)の山荘だった施設です。元は京都の賀茂の里山にありましたが、1959年(昭和34年)に鎌倉に移築されました。その際、建物だけでなく、庭石や枯山水も当時と同じように配置されました。
江戸時代初期の朝廷文化を今に伝える一条恵観山荘は、1964年(昭和39年)、国の重要文化財に指定されています。
山荘前庭では、一年を通して四季折々の花々や木々をたのしむことができますが、紅葉と紫陽花の季節がとくにオススメです。
一条恵観山荘は、武家の古都にあって、京の雅な文化を体験できる、鎌倉の新定番です。
一条恵観山荘の敷地内にはたくさんの花手水(水鉢、つくばい)が置かれています。見られる種類は季節ごとに変わります。風流な庭園や建物のステキなアクセントになっている花手水も、一条恵観山荘の見どころの一つです。
田舎家風建築の中に雅なディテールがちりばめられた一条恵観山荘
一条恵観山荘は、自然の中に溶け込むような田舎家風な建築で、主に茶室として使用されていました。江戸時代前期の1646年ごろの建築とされています。
この山荘は、一条恵観自ら設計したと言われています。そのため、恵観の好みが随所に表われていて、とくに建物内部は障子やふすま、建具などのディテールはこだわりぬかれています。
一見するとよくある古い日本家屋のようにも見えますが、京の都の文化が色濃く反映されています。
建物の内部は、週末を中心とした特定日に、案内付きで見学することができます。(要追加料金)
少人数で開催されることもあり、とくに、紫陽花や紅葉のシーズンは、早々に満員になってしまうほど人気があります。
京の華やかな文化を反映するかのような庭園
鎌倉には、武家や禅の文化を反映したような、枯山水庭園のような比較的質素で派手さを抑えた庭園が多いです。しかし、一条恵観山荘の庭園は、京都の公家の文化を反映するかのような、華やかさを感じられます。
とくに晩秋の紅葉の季節には、赤や黄の鮮やかなモミジと、青々とした赤松や竹林、そして足元の苔が、非常に美しいコントラストで自然の素晴らしさを体験させてくれます。
一条恵観山荘の代名詞・花手水
一条恵観山荘のしつらえの代名詞とも言えるのが、季節ごとに入れ替わる花手水(水鉢、つくばい)です。庭園や園路沿いなどに置かれた花手水は、常時10個以上もあります(以下の写真はほんの一例です。リンク先の紅葉とあじさいのページでは、その他の花手水もご覧いただけます)。
花手水単体で見てもそれぞれがとても美しいのですが、自己主張し過ぎずに、一条恵観山荘の風流な景観に馴染んでいるから不思議です。
晩秋の紅葉の季節の花手水
初夏のあじさいの季節の花手水
滑川沿いに建つ甘味処「かふぇ楊梅亭」
一条恵観山荘の滑川沿いでは、甘味処「かふぇ楊梅亭(やまももてい)」が営業しています。※入店には一条恵観山荘の入園料が必要です。
店内はいくつかの小さな部屋に区切られていて、その多くの席が窓際に設けられています。(一部、窓に面していない席もあります。入店の順番を気にしなければ、窓際の席を希望することも可能です)
「かふぇ楊梅亭」の大きな窓からは滑川上流と一条恵観山荘の美しい自然を一望できます。鎌倉でも有数の、美しい景観を眺めながら和スイーツをたのしめるカフェです。