ヴェルニー公園は、幕末に日本へ招かれたフランス人技師フランソワ・レオンス・ヴェルニーが設計や運営を指導した横須賀製鉄所跡地を対岸に望む、海辺の公園です。「よこすかカレーフェスティバル」や「よこすかYYのりものフェスタ」「よこすかカウントダウン」といった、横須賀を代表するような人気のイベントも開催されます。
JR横須賀線の横須賀駅と京急線の汐入駅や横須賀の中心市街地方面の間にあるヴェルニー公園は、移動のための通り道として使われることも多いです。そのため、夜でも人通りがあり、港の夜景をたのしむために訪れる人たちもあいまって、横須賀でもっとも夜遅くまで利用されている公園と言えます。
現在、対岸に見える横須賀製鉄所跡地は米海軍横須賀基地になっていて、隣接する海上自衛隊横須賀基地のものも含めて、ヴェルニー公園のボードウォークから停泊する艦船を間近に見ることができます。
また、公園に隣接する汐入桟橋からは、YOKOSUKA軍港めぐりの遊覧船(有料)も出ていて、船上から米海軍や海上自衛隊の艦船をより間近に見学することもできます。
かつての横須賀軍港エリアにあるヴェルニー公園内には、旧横須賀軍港逸見門の衛兵詰所として建てられた逸見波止場衛門跡や、旧日本海軍関係の慰霊碑、東京の船の科学館から移設された戦艦「陸奥」の主砲などが点在しています。公園内には、横須賀製鉄所関連の史料が充実しているヴェルニー記念館や本州最古級の西洋館を再現したよこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸といった施設もあり、公園全体が歴史博物館のようでもあります。
ヴェルニー公園は、戦後から「臨海公園」という名前で長く市民に親しまれていましたが、2002年にリニューアルされて、ボードウォークやフランス式庭園を中心とした公園に生まれ変わりました。
ヴェルニー公園の約130品種、約1,300株のバラは、春と秋の年に2回見ごろを迎えます。色とりどりのバラが咲きほこるフランス式庭園から日米の艦船を望む風景は、現代のもっとも横須賀らしい景色のひとつといえます。
バラのイメージが強いヴェルニー公園ですが、桜やイチョウの季節もオススメです。
INDEX
130品種、約1,300株のバラが植えられたフランス式庭園
海に沿って細長いヴェルニー公園は、その中央部分がバラ園になっていて、約1,300株のバラがキレイに整備されています。
バラ園は、ヴェルニーの出身地であるフランス式の幾何学的な様式で造られた庭園になっています。
海沿いのボードウォークを歩くのも良いですが、春と秋のバラが見ごろを迎える時期は、バラ園のある公園の中央を散策しながら歩くのもオススメです。
フランスやアメリカ、日本などの国で作られた、約130種類の品種のバラが育てられているため、すべてを観察しようとすると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。品種ごとに丁寧な説明が添えられているのもうれしいです。
ヴェルニー公園では、例年、春と秋のバラが見ごろの時期には「ローズフェスタ」が開催されます。
二ヵ所あるヴェルニー公園のさくらの広場
バラ園と並んでヴェルニー公園で見どころの花といえば、二ヵ所あるさくらの広場の桜です。とくに、無数の電灯のなかに浮かび上がる夜桜は、とても幻想的です。
ヴェルニー公園の桜は、ゆっくり座ってお花見をするというよりは、園内の他の場所もたのしみながら散策するのにうってつけです。
ヴェルニー公園の桜
ヴェルニー公園の夜桜
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1年を通してイベント盛りだくさんのヴェルニー公園
京急線とJR横須賀線両方の駅からアクセスが良いヴェルニー公園では、「よこすかカレーフェスティバル」(例年、春は三笠公園で開催)や「よこすかカウントダウン」など、1年を通して、横須賀を代表するような大きなイベントが頻繁に開催されます。海上自衛隊横須賀地方総監部が目と鼻の先にあるため、海上自衛隊のイベントと連動した企画として開催されるものが多いのも、ヴェルニー公園のイベントの特徴の一つです。
※以下は一例です。開催されるイベントは、年によって異なります。
横須賀本港を一望できるヴェルニー公園のボードウォーク
ヴェルニー公園の一番の特徴といえば、やはり、海上自衛隊や米海軍の艦船が停泊する横須賀本港を一望できるボードウォークからの景観と言えるでしょう。
横須賀を母港としているヘリコプター搭載護衛艦「いずも」や南極観測船「しらせ」をはじめ、数日~週替わりくらいで入港している船がさまざま入れ替わるため、訪れる日によって違った景色をたのしむことができます。一般的な船だけでなく、潜水艦も見ることができます。
海沿いの心地よい遊歩道
ヴェルニー公園は、ちょうど、JR横須賀線の横須賀駅と、京急線の汐入駅やショッピングモール「コースカ・ベイサイド・ストアーズ」(旧「ショッパーズプラザ横須賀」(ダイエー、イオン横須賀店))、横須賀の中心市街地方面の間にあるため、双方を移動する人たちの通り道にもなっています。
山側のイチョウ並木
横須賀港に面したボードウォークと反対側の国道16号沿いには、イチョウ並木があります。例年、ちょうど秋バラの見ごろと入れ替わるように、イチョウの黄葉がはじまります。
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愛車と記念撮影できるサイクルスタンド
サイクリスト向けには、艦船と愛車をいっしょに撮影できる、操舵輪型のサイクルスタンドが設置されています。ボードウォークのちょうど真ん中あたりにあります。
ヴェルニー公園は公園全体が歴史博物館
ヴェルニー公園には、かつての横須賀軍港エリアにあるという土地柄、旧日本軍に関わりのある建築物や石碑などが数多く設置されています。
これらに加えて、近代日本の発展を支えた横須賀製鉄所関連の資料などを展示しているヴェルニー記念館もありますので、公園全体が歴史博物館のようでもあります。
逸見波止場衛門跡
ヴェルニー公園内には、明治末期から大正初期に建築されたとされる、逸見波止場衛門跡がのこされています。
旧横須賀軍港逸見門の跡で、左右それぞれの建物の中は、衛兵の詰所になっていました。
現在では、この門のちょうど奥に、海上自衛隊の潜水艦が止まっているところを見ることができます。(必ず見られるわけではありません)
戦艦「陸奥」の主砲
もともと東京の船の科学館で展示されていた旧日本海軍の戦艦「陸奥」の主砲が、2017年にヴェルニー公園に移設されました。
戦艦「陸奥」は横須賀海軍工廠(前身は横須賀製鉄所、横須賀造船所)で建造された船のため、里帰りしたことになります。当時の最新の技術で造られた大砲を、身近で見ることができます。
2021年11月には、海上自衛隊横須賀基地内にあった戦艦「陸奥」の主砲弾もヴェルニー公園に移設されて、主砲とセットで展示されるようになりました。
戦艦「陸奥」の主砲弾は、約170cm以上あり、人の身長ほどの大きさがあります。この砲弾は、空中から直接艦船に被害を与えるのではなく、浅い角度で海中に突入して水中から船体に被害を与えるという特徴を持ったものでした。
ヴェルニーと小栗上野介の胸像
日本の近代化に貢献したヴェルニーと小栗上野介の胸像が、二人が建設に尽力した横須賀製鉄所があったヴェルニー公園の対岸を望むように、仲良く隣り合うように建っています。
旧日本海軍関連の石碑と正岡子規の文学碑
ティボディエ邸前のさくらの広場には、旧日本海軍関連の石碑がまとまって建っています。
海側(向かって左側)から、「海軍の碑」・「軍艦山城之碑」・「國威顕彰碑」・「軍艦長門碑」・「軍艦沖島の碑」が建っています。
旧海軍関連の石碑に混じって、それらの山側(向かって右側)には正岡子規の文学碑もあります。休暇で訪れた横須賀港のことを詠んだ歌碑です。
海軍の碑
軍艦山城之碑
國威顕彰碑
軍艦長門碑
軍艦沖島の碑
正岡子規の文学碑
ヴェルニー公園は夜景の名所
ヴェルニー公園は、JR横須賀線の横須賀駅と、京急線の汐入駅方面との移動のための連絡道のようにも使われるため、夜でも比較的明るいです。まるで、公園全体がライトアップされているようです。
ヴェルニー公園の無数の電灯と、横須賀本港の艦船と港湾施設の明かりが織りなす夜景は、横須賀ならではのフォトジェニックな景観です。
(以下の写真の、よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸のウクライナ国旗の色をモチーフにしたライトアップは、期間限定です)
よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸のライトアップ
横須賀本港の夜景
駐車場は台数が少なく 駅近の立地をいかして電車利用がオススメ
ヴェルニー公園の駐車場(有料)は、京急汐入駅側の公園入口の近くにあります。普通車の駐車台数は6台しかないため、とくに土休日・祝日の利用はおすすめできません。
また、駐車場が面している国道16号からは下り車線(横浜方面から横須賀市街方面側)からしか出入りすることができないなど、入出庫に制約があります。
すぐ隣りにはショッピングモールの「コースカ・ベイサイド・ストアーズ」があり、こちらの駐車場も有料ですが、店舗を利用すると割引や当日の最大料金の設定などのサービスがあります。
ただし、こちらの駐車場も混雑しますので、駅近の公園という地の利をいかして、京急線の汐入駅かJR横須賀線の横須賀駅を利用することをおすすめします。
京急線の汐入駅は快特が停車しないため利用しにくい面もありますが、近くのドブ板通りを散策しながら、隣りの快特停車駅である横須賀中央駅まで歩いて出るというのも横須賀らしさを味わえて良いと思います。
ヴェルニー公園内の主な施設
ヴェルニー公園内にあるヴェルニー記念館(入館無料)には、オランダから横須賀製鉄所に輸入されて、100年以上にわたって使用されていたスチームハンマー(国の重要文化財)や、日本の近代化に大きく貢献したヴェルニーの功績をたたえる資料が展示されています。
2021年5月には、2003年に解体されるまでは本州最古級の西洋館だったティボディエ邸の外観を再現したよこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸(入館無料)が、ヴェルニー公園内にオープンしました。
ヴェルニー公園周辺の見どころ
以下の施設などは、ドブ板通りとYOKOSUKA軍港めぐりを除いて通常非公開ですが、イベントなどで限定公開される場合があります。そのようなイベントがある場合は、当サイトのイベントページでも紹介しています。