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瑞泉寺 | 鎌倉に残る鎌倉時代唯一の庭園と紅葉や花の名所として知られる禅寺

瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園(撮影日:2023.12.01) 鎌倉
瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園(撮影日:2023.12.01)

瑞泉寺ずいせんじは、夢窓疎石むそう そせき(夢窓国師)によって建立された、臨済宗円覚寺派の寺院です。鎌倉公方かまくらくぼう(室町幕府が関東10か国を統治するために設置した鎌倉府の長官)・足利家の菩提寺として、室町時代には鎌倉五山に次ぐ格式の関東十刹第二位に列せられていました。

紅葉ヶ谷もみじがやつと呼ばれる谷戸に建っていて、その名前のとおり紅葉の名所として知られています。山号の錦屏山きんぺいざんは、寺を囲む山々の紅葉錦の屏風のように美しいことから名付けられました。
瑞泉寺のある紅葉ヶ谷は、鎌倉でもっとも遅い時期まで紅葉をたのしめる場所としても知られています。

また瑞泉寺は、水仙あじさいをはじめとした季節の花々をたのしめる、鎌倉屈指の花の寺としても知られています。

山号錦屏山きんぺいざん
宗派臨済宗円覚寺派
寺格関東十刹第二位
本尊釈迦牟尼仏
創建1327年(嘉暦2年)
開山夢窓疎石(夢窓国師)
開基二階堂道蘊
中興開基足利基氏

夢窓疎石が造った瑞泉寺庭園は、鎌倉に残る鎌倉時代唯一の庭園で、国の名勝に指定されています。岩肌を削って造った、彫刻的な手法が特徴です。

瑞泉寺・西日を浴びて鮮やかな紅葉ヶ谷最奥の紅葉(撮影日:2025.12.10)
瑞泉寺・西日を浴びて鮮やかな紅葉ヶ谷最奥の紅葉(撮影日:2025.12.10)
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夢窓疎石が造った 鎌倉に残る鎌倉時代唯一の庭園

瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園(全景)(撮影日:2023.12.01)
瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園(全景)(撮影日:2023.12.01)

世界遺産に登録されている京都の西芳寺(苔寺)天龍寺の庭園を設計したことでも知られ、日本史上最も重要な作庭家の一人でもある夢窓疎石が造った瑞泉寺庭園は、自然の地形を利用して、岩盤を削って造られた彫刻的な岩庭です。
長い間、埋没・荒廃していましたが、1970~1971年(昭和45~46年)に発掘調査が行われ、ほぼ創建当初の地割に従い復原されました。

瑞泉寺庭園は、鎌倉に残る鎌倉時代唯一の庭園で、国の名勝に指定されています。

庭園中央の壁面には岩盤を削って造られた大きな洞・天女洞があります。天女洞の手前は池になっていて、中央には島が彫り残されています。
池の左手には二本の橋が架かっていて、これを渡ると急な登坂路があり、錦屏山の山頂に続いています。山頂には徧界一覧亭へんかいいちらんていと呼ばれる小亭が建っていますが、登坂路を含めて、立ち入ることはできません。

瑞泉寺庭園は、方丈庭園としてだけではなく徧界一覧亭の前庭でもあります。
眼下に広がる鎌倉周辺の山並みや遠くに望む箱根・富士といった山々と、その足元に広がる相模湾を池に見立てた、壮大な借景を得た前庭というから、夢窓疎石の想像力の非凡さとスケールの大きさに驚きます。

夢窓疎石が建立した寺はどこも景勝地が選ばれています。瑞泉寺も例外ではなく、紅葉ヶ谷という景勝地に建っています。
その後、瑞泉寺庭園錦屏山の山頂に徧界一覧亭を築いていくわけですが、この地を選んだ時点で果たしてどこまで計算に入れていたのでしょう。

瑞泉寺庭園【2023.12.01】- ZUISENJI-Temple Garden – 夢窓疎石作庭の鎌倉に残る鎌倉時代唯一の庭園
瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園・天女洞(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園・天女洞(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園・錦屏山山頂の徧界一覧亭への登坂路(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・夢窓国師作の名勝瑞泉寺庭園・錦屏山山頂の徧界一覧亭への登坂路(撮影日:2021.05.10)
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瑞泉寺の2つの梅林

瑞泉寺・本堂横の枝垂れ梅(撮影日:2024.02.20)
瑞泉寺・本堂横の枝垂れ梅(撮影日:2024.02.20)

瑞泉寺には、拝観受付近くと、本堂の前に、2つの梅林があります。瑞泉寺にはの見どころが多いのですが、老木が多いためか、花の付き方にあまり勢いは感じられません。この控えめに咲くところが、禅寺の古刹の雰囲気に合ってもいます。

そんな中でひときわ華やかなのが、本堂横に立つ立派な枝垂れ梅です。例年2月中頃に見ごろを迎えると、無数のピンク色の花がシャワーのように降り注ぎます。

瑞泉寺・本堂前の梅(撮影日:2024.02.20)
瑞泉寺・本堂前の梅(撮影日:2024.02.20)
瑞泉寺・山門近くの梅(撮影日:2024.02.20)
瑞泉寺・山門近くの梅(撮影日:2024.02.20)

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【2025 No.4】特集 | 鎌倉梅の名所
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瑞泉寺が建つ紅葉ヶ谷は晩秋の鎌倉の名所

瑞泉寺・名勝瑞泉寺庭園のモミジの紅葉(撮影日:2025.12.10)
瑞泉寺・名勝瑞泉寺庭園のモミジの紅葉(撮影日:2025.12.10)

瑞泉寺が建つ紅葉ヶ谷は、その名前のとおり、晩秋にはまわりの山々とともに境内のあちらこちらで真っ赤に色づきます。とくに、拝観受付から山門までの石段沿いには、大きなモミジが何本もみられ、モミジのトンネルのようです。また、瑞泉寺庭園周辺やその背後の山々のモミジも見ごたえがあります。
瑞泉寺の紅葉の見ごろ時期は周辺よりも少し遅く、例年、12月上旬~中旬ごろです。

瑞泉寺の総門と駐車場のあいだには、天園ハイキングコースの入口があり、ここから天園北鎌倉方面を目指せば、より一層、鎌倉の秋をたのしむことができます。

瑞泉寺・山門へ続く道の紅葉(撮影日:2008.12.25)
瑞泉寺・山門へ続く道の紅葉(撮影日:2008.12.25)
瑞泉寺・黄色く色づくモミジ(撮影日:2023.12.01)
瑞泉寺・黄色く色づくモミジ(撮影日:2023.12.01)

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瑞泉寺は紫陽花や水仙などの花の名所

瑞泉寺・前庭の園路沿いに咲くガクアジサイ(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・前庭の園路沿いに咲くガクアジサイ(撮影日:2021.05.10)

瑞泉寺花の名所としても知られています。以外にも、水仙あじさいぼたんツツジなど、荒々しさもある瑞泉寺庭園とはうって変わって、前庭では色とりどりの花が、1年中途絶えることなく出迎えてくれます。

瑞泉寺スイセンで「かながわの花の名所100選」にも選ばれています。瑞泉寺水仙の見ごろは、例年、1月いっぱいです。

瑞泉寺・水仙(撮影日:2024.02.20)
瑞泉寺・水仙(撮影日:2024.02.20)
瑞泉寺・本堂前に咲くガクアジサイ(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・本堂前に咲くガクアジサイ(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・山門のそばで咲くシャガ(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・山門のそばで咲くシャガ(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・皇帝ダリア(撮影日:2023.12.01)
瑞泉寺・皇帝ダリア(撮影日:2023.12.01)
瑞泉寺・冬桜(撮影日:2025.12.10)
瑞泉寺・冬桜(撮影日:2025.12.10)
瑞泉寺・竹林(撮影日:2023.12.01)
瑞泉寺・竹林(撮影日:2023.12.01)
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古刹の雰囲気たっぷりの山門までの参道

瑞泉寺・総門(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・総門(撮影日:2021.05.10)

主要な伽藍が谷戸の奥に建つ瑞泉寺は、総門から山門のあいだが離れています。また、傾斜があるため、山門の近くは階段になっています。
この山門近くの階段は2つのルートに分かれていて、とくに左側の階段(男坂)は、薄暗く、苔が生えていて、古刹の雰囲気をたっぷりと味わうことができます。

瑞泉寺・男坂と女坂(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・男坂と女坂(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・苔むす男坂(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・苔むす男坂(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・山門(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・山門(撮影日:2021.05.10)
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谷戸の奥にコンパクトに配置された伽藍

瑞泉寺・本堂(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・本堂(撮影日:2021.05.10)

山門をくぐると、まずは前庭で季節の花が出迎えてくれます。前庭を散策しながら進むと、ご本尊の釈迦牟尼仏像などが安置されていてる本堂の前にたどり着きます。
本堂の後ろにまわれば、瑞泉寺庭園錦屏山が姿を表わします。

鐘楼(錦屏晩鐘)の側には東屋が用意されていて、休憩することができます。
この、本堂周辺はコンパクトにまとまっているため、ゆっくりと参拝・散策しながら歩いても、30分程度あればまわることができます。

瑞泉寺・地蔵堂(撮影日:2023.12.01)
瑞泉寺・地蔵堂(撮影日:2023.12.01)
瑞泉寺・錦屏晩鐘(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・錦屏晩鐘(撮影日:2021.05.10)

五山文学発祥の地であり 鎌倉文士ゆかりの地

瑞泉寺・山崎方代歌碑(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・山崎方代歌碑(撮影日:2021.05.10)

瑞泉寺は、夢窓疎石の時代から、禅宗文学の中心地の一つでした。錦屏山の山頂に夢窓疎石が建てた徧界一覧亭は、五山文学発祥の地と伝えられています。

文人たちが集う場所という潮流は近代まで受け継がれてきていて、大佛次郎川端康成久米正雄高浜虚子永井龍男など、瑞泉寺には多くの文人が訪れて、数多くの文学作品が生まれています。
また、境内には、山崎方代大宅壮一などの、ゆかりの文人の文学遺跡や歌碑などが多く残されています。

瑞泉寺・大宅壮一評論碑(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・大宅壮一評論碑(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・吉田松陰留跡碑(撮影日:2021.05.10)
瑞泉寺・吉田松陰留跡碑(撮影日:2021.05.10)

DATA

住所 鎌倉市二階堂710
アクセス
行き方

JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、京急バス「鎌倉宮(大塔宮) 」行きで終点『大塔宮』下車徒歩約15分
または、JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より徒歩約40分

駐車場 あり
営業時間

<拝観時間>
9:00-17:00(通年)
入門は16:30まで

休業日 なし
料金

<拝観料>
大人200円
小中学生100円

電話番号 0467-22-1191
ウェブサイト http://www.kamakura-zuisenji.or.jp
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