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円覚寺 | 門前に横須賀線が横切る鎌倉五山第二位の北鎌倉駅徒歩0分の名刹

円覚寺・三門を斜め前から望む(撮影日:2020.03.06) 鎌倉
円覚寺・三門を斜め前から望む(撮影日:2020.03.06)
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円覚寺えんがくじは、1282年(弘安5年)に、鎌倉幕府第8代執権・北条時宗によって創建された寺院です。
禅を広めて、災いや戦乱をしずめ国の平安をまもることと、元寇蒙古襲来)による殉死者を敵味方の区別なく平等に供養するために、時宗が南宋から招いた無学祖元仏光国師)を開山として、創建されました。
臨済宗円覚寺派の大本山で、鎌倉五山の第二位に列せられています。

境内は「円覚寺境内」として国の史跡に指定されていて、庭園も「円覚寺庭園」として国の史跡および名勝に指定されています。
もっとも純粋な禅宗様(唐様)のみで構成された建築とされる舎利殿は、神奈川県唯一の国宝の建造物です。

境内では多くのモミジが見られ、円覚寺北鎌倉随一の紅葉の名所としても知られています。総門山門周辺が定番ですが、居士林選仏場周辺など、円覚寺境内には紅葉の見どころが数えきれないほど点在しています。

山号瑞鹿山ずいろくさん
宗派臨済宗円覚寺派
寺格大本山
鎌倉五山第二位
本尊宝冠釈迦如来
創建1282年(弘安5年)
開山無学祖元むがくそげん
開基北条時宗

北鎌倉の駅を降り立つと、歴史ある杉並木や円覚寺総門が間近にあり、1駅お隣の鎌倉駅にはない古都らしい雰囲気が漂ってきます。
それもそのはずで、北鎌倉駅は円覚寺の境内だった場所にあり、円覚寺には横須賀線建設のために境内を分断されたという歴史があります。
線路を挟んで境内とは反対側の、鎌倉街道側の杉並木から白鷺池びゃくろちを渡って総門をくぐるアプローチが、円覚寺の正式な参拝ルートということになります。

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横須賀線が横切る円覚寺の境内

円覚寺・JR横須賀線の踏切越しに総門方面を望む(撮影日:2020.12.01)
円覚寺・JR横須賀線の踏切越しに円覚寺境内を望む、総門は踏切の向こう側にある(撮影日:2020.12.01)

1889年(明治22年)に横須賀線の大船駅~横須賀駅間が開業します。1884年(明治17年)に横須賀に鎮守府が置かれると、横須賀軍港までの軍用路線として、最短の工期で開通できるようなルートで建設されました。

その結果、横須賀線は円覚寺の境内を横切ることになりました。白鷺池が線路の反対側にあるのは、その象徴です。
このように土地の提供を強要されたのは円覚寺だけでなく、横須賀線沿線の各所に及びます。他によく知られているのは、鶴岡八幡宮の参道である若宮大路段葛が分断されたことです。
円覚寺が身を削って開通した横須賀線も、開通当初は北鎌倉に駅は設置されませんでした。しかし、円覚寺建長寺の住職をはじめとした近隣の有力者たちによる当時の鉄道大臣宛の願書によって、1927年(昭和2年)に北鎌倉駅(当初は夏季のみ開設の臨時の停車場)が設置されました。

現在、北鎌倉駅には円覚寺総門のすぐそばに東口(臨時改札口)が設置されていますが、本来の参拝ルートは、その線路の反対側の鎌倉街道側から、白鷺池に架かる橋を杉並木に沿って渡って、さらに踏切を渡るという道順になります。

円覚寺・白鷺池(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・白鷺池【名勝史跡】も「円覚寺」の境内の一部(撮影日:2020.03.06)
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多くの伽藍は江戸時代後期に復興された

伽藍が整備された鎌倉時代末期には、総門から、三門さんもん山門)、仏殿法堂はっとう方丈などの主要な建物が直線的に並ぶ伝統的な禅宗寺院の伽藍配置でしたが、度重なる火災などによって衰退していきました。
江戸時代後期にその多くが復興されましたが、法堂は再建されませんでした。

北鎌倉駅徒歩0分にある 総門

円覚寺・JR横須賀線の踏切前から総門を見上げる(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・JR横須賀線の踏切を渡った先から総門を見上げる(撮影日:2020.03.06)

総門に掲げられている山号の「瑞鹿山」は、仏殿の開堂の際に、開山の無学祖元の法話を聞こうとして白鹿が集まったという逸話からつけられたと言われています。

円覚寺・総門(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・総門(撮影日:2020.03.06)

「円覚興聖禅寺」の額が掲げられている 三門

円覚寺・三門(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・三門(撮影日:2020.03.06)

現在の三門は1785年(天明5年)に再建されたもので、楼上には十一面観音十二神将十六羅漢(いずれも非公開)が安置されている二重門です。

楼上にかかる「円覚興聖禅寺」の額字は、伏見上皇によるものです。

宝冠釈迦如来像が安置されている 仏殿

円覚寺・仏殿(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・仏殿(撮影日:2020.03.06)

仏殿は、1923年(大正12年)の関東大震災で倒壊しましたが、1964年(昭和39年)に現在の建物が再建されました。

堂内には円覚寺の本尊である、宝冠釈迦如来像が安置されています。天井には、前田青邨監修のもと、日本画家の守屋多々志による「白龍図」が描かれています。

円覚寺・仏殿の堂内(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・仏殿の堂内(撮影日:2020.03.06)

修行僧の坐禅道場として建立された 選仏場

円覚寺・選仏場(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・選仏場(撮影日:2020.03.06)

仏殿の左手には、修行僧の坐禅道場として建てられた選仏場せんぶつじょうがあります。
江戸時代後期に、正続院禅堂が建てられてからは、正続院一帯が修行道場になりました。そのため、これ以降、選仏場は修行道場としてはあまり使用されなくなりました。

場内には、中央に薬師如来像、その右隣に円覚寺百観音霊場の一番として、大慈大悲観世音菩薩像が安置されています。

円覚寺・選仏場の場内(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・選仏場の場内(撮影日:2020.03.06)

坐禅会は誰でも参加可能な 居士林

円覚寺・居士林(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・在家の禅の修行者のための道場である居士林(撮影日:2020.03.06)

総門から、三門仏殿法堂方丈などの主要な建物が並ぶ脇には、多くの小さな寺院が建っています。
これら塔頭の多くは原則非公開となっていますが、禅を志す在家のための専門道場である居士林こじりんなどでは、学生坐禅会土日坐禅会が開かれるなどしています。(「塔頭(たっちゅう)」とは禅宗寺院の境内またはその周辺に建つ付属の小寺院のことで、厳密には、宗派の開祖や代々の住持、高僧の墓塔のことです)

また、帰源院きげんいんは、夏目漱石島崎藤村が参禅したことでも知られています。

秋の宝物風入などで使用される 方丈

円覚寺・方丈の玄関(撮影日:2023.11.04)
円覚寺・方丈の玄関(撮影日:2023.11.04)

仏殿を奥に進むと、各種法要坐禅会説教会、毎年秋に行われる宝物風入などで使用される方丈があります。

方丈の正門である「唐破風」の 唐門(勅使門)

円覚寺・唐門(勅使門)(撮影日:2023.12.08)
円覚寺・唐門(勅使門)(撮影日:2023.12.08)

唐門(勅使門)方丈の正門で、江戸時代後期の1839年(天保10年)の建築です。弓を横にしたような形の屋根が特徴の、「唐破風」という、平安後期から日本で用いられている建築様式が用いられています。その屋根や扉には、鳥や龍などの見事な彫刻が施されています。

円覚寺・唐門(勅使門)の扉のレリーフ(アップ)(撮影日:2023.12.08)
円覚寺・唐門(勅使門)の扉のレリーフ(アップ)(撮影日:2023.12.08)
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妙香池付近は国の史跡・名勝に指定されている

方丈の裏には心字池のある、美しい庭園が広がっています。
また、方丈裏の庭園の、通路を挟んだ反対側には妙香池みょうこうちがあり、この辺りの雰囲気は三門仏殿などが建ち並ぶ伝統的な禅宗寺院が持つ壮大なスケール感からは一転して、プライヴェートな空間に感じられます。

方丈裏庭園

円覚寺・方丈(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・方丈裏の庭園(撮影日:2020.03.06)

方丈裏庭園は、行事で使用されていない場合は、方丈へ上がって自由に見学することができます。方丈裏庭園は参道脇からも見学することができますので、角度を変えてたのしむこともできます。

妙香池

円覚寺・妙香池(撮影日:2020.03.06)
円覚寺・妙香池【名勝史跡】(撮影日:2020.03.06)

妙香池付近は、総門前の横須賀線の線路を渡った反対側にある白鷺池付近とあわせて、国の史跡・名勝に指定されています。

この妙香池周辺には、世界遺産に登録されている京都の西芳寺(苔寺)天龍寺の庭園を設計したことでも知られる、日本史上最も重要な作庭師の一人・夢窓疎石が作庭した庭園があったと伝えられています。

円覚寺・妙香池の紅葉(撮影日:2023.12.08)
円覚寺・妙香池の紅葉(撮影日:2023.12.08)
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梅の季節は円覚寺参拝の穴場の季節

円覚寺・山門と梅(撮影日:2024.02.06)
円覚寺・山門と梅(撮影日:2024.02.06)

円覚寺では、山門選仏場仏殿横と続く参道沿いなどでを見られます。の季節の円覚寺は、紅葉の季節と比べて参拝客も落ち着いているわりには見どころも多く、穴場の季節と言えます。
円覚寺は、龍隠庵正続院など、山内に点在している塔頭でも多く見られます(塔頭は、常時公開されているお寺、期間限定で公開されるお寺、非公開のお寺があります)。

円覚寺・降雪翌日の選仏場と梅(撮影日:2024.02.06)
円覚寺・降雪翌日の選仏場と梅(撮影日:2024.02.06)
円覚寺・参道沿いの梅(撮影日:2024.02.06)
円覚寺・参道沿いの梅(撮影日:2024.02.06)
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北鎌倉の桜の開花のバロメーター

横須賀線(または湘南新宿ライン)の車窓から見える円覚寺総門周辺は、春にはがキレイに色づきます。
そのため、北鎌倉のの開花状況のバロメーターとして、とても参考になります。

円覚寺・桜と総門(撮影日:2024.04.10)
円覚寺・桜と総門(撮影日:2024.04.10)
円覚寺・白鷺池のほとりの桜と横須賀線(撮影日:2022.03.31)
円覚寺・白鷺池のほとりの桜と横須賀線(撮影日:2022.03.31)

▼その他の鎌倉の桜の名所はこちら▼

【2024 No.6】特集 | 鎌倉桜の名所
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円覚寺の主な塔頭やその他の見どころ

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DATA

住所 鎌倉市山ノ内409
アクセス
行き方

●北鎌倉駅から徒歩の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン「北鎌倉駅」より徒歩約1分

●鎌倉駅からバス利用の場合
JR横須賀線・湘南新宿ライン、江ノ電「鎌倉駅(東口)」より、江ノ電バス「大船駅」行き、「上大岡駅」行き、「本郷台駅」行きで『北鎌倉駅』下車徒歩約1分

駐車場 なし ※団体バス専用駐車スペースのみあり(当日予約制)
営業時間

<拝観時間>
3月~11月 8:30~16:30
12月~2月 8:30~16:00

料金

<拝観料>
大人 500円(高校生以上)
子ども 200円(小中学生)

電話番号 0467-22-0478
ウェブサイト https://www.engakuji.or.jp/
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