淡島神社は、相模湾を望む芦名海岸沿いの高台に鎮座する、安産や縁結び、航海安全のご利益があるとされる神社です。ピンク色とも言えるような、淡い朱塗りの社殿が鎮守の杜のなかで映えています。
毎年、3月3日に執り行われる淡島神社の祭礼では、「水が抜けるように安産」の願いがこめられ、底抜け柄杓の柄に麻を結んで奉納する儀式が行われています。
また、3月3日が桃の節句(ひな祭り)であることにちなんで、芦名海岸から流し雛を小船に載せて海に流す神事も行われています。
主祭神 | 少彦名尊 |
旧社格等 | - |
創建 | 不詳(平安時代後期ごろ) |
祭礼 | 3月3日 例大祭・流し雛神事 |
「あわせてください淡島さまよ、お札参りは二人連れ」
普段は静かな淡島神社境内や芦名海岸も、祭礼の日は多くの人で賑わいます。
淡島神社境内では、例大祭神事や人形供養の他、安産・子宝・縁結び・病気平癒の祈願などが執り行われます。その後、境内下の芦名海岸からは、船に乗せたひな人形に病気や厄を乗せて流す流し雛神事が行われます。
淡島神社祭礼は、芦名エリア最大級のお祭りということから地域の方の参詣が多いようですが、三浦半島を代表する安産や縁結びの神社の祭礼というだけあって、ローカルのお祭りとしては若いカップルがお祈りに訪れる姿が多く見られます。
対になるように鎮座する芦名の淡島神社と久里浜の住吉神社
和歌山にある加太淡嶋神社のみ霊をこの地に祀ったのが、淡島神社のはじまりと伝えられています。淡島明神は住吉明神の后となった神でしたが、「こしけ」の病気にかかったため淡島(粟島)に流され、その地で婦人病の人々を救うことを誓い、神になったと言います。
淡島神社は相模湾に面していますが、三浦半島のちょうど反対側にあたる久里浜には住吉神社が東京湾に面して鎮座しています。夫婦の関係である淡島神社(淡島明神)と住吉神社(住吉明神)が三浦半島の両側で対になるように鎮座しているのは単なる偶然なのか、あるいは誰かが意図的にそのように配したのか、今では知る由もありませんが、とてもロマンを感じさせてくれます。
淡島神社の正面で海を見つめる龍宮社
淡島神社の正面には、海を見つめるようにして、龍宮社の小さな祠が建っています。龍宮社の境内からは、眼下に、芦名漁港、芦名海岸を一望できます。
淡島神社周辺の見どころ
淡島神社のすぐ近くには、三浦一族と関係が深い十二所神社(三浦十二天)があります。十二所神社には、源頼朝が妻・北条政子の安産祈願のために使者が派遣され、後の源頼家が無事に産まれると神馬が奉納されています。十二所神社の境内には帯解地蔵尊があり、こちらも安産のご利益があるとされています。
淡島神社とともに、このあたりは安産にご利益のあるパワースポットで、それは源頼朝の時代から広く知られていたのかもしれません。