報国寺は、境内の竹の庭が美しく、鎌倉随一の「竹の寺」として知られています。無数の竹や美しい苔が織りなす幻想的な報国寺は、鎌倉の中でもとくに、インバウンド・外国人観光客に人気がある場所の一つでもあります。
報国寺は、祖先供養のため足利家時が開基したとされていますが、上杉重兼も創設に関わっています。そのため、足利、上杉両家の菩提寺でもありました。
境内には、報国寺を開いた足利家時の墓や、1438年(永享10年)に起きた永享の乱で敗れ、報国寺で自害割腹した足利義久の墓、戦死者を弔う石塔などの供養塔が点在しています。
山号 | 功臣山 |
宗派 | 臨済宗建長寺派 |
寺格 | 諸山 |
本尊 | 釈迦牟尼佛 |
創建 | 1334年(建武元年) |
開山 | 仏乗禅師(天岸慧広) |
開基 | 足利家時、上杉重兼 |
報国寺の竹の庭はとくに、朝9時の開門直後や午前中の早い時間帯など、混雑していない時間帯に行くことをオススメします。静けさの中に竹の葉がふれ合ってできる独特なサラサラとした音色は、心を落ちつかせてくれます。
INDEX
約2,000本の孟宗竹からなる竹の庭
報国寺の竹の庭には小径が敷かれていて、竹林の中を散策できるようになっています。
この約2,000本の孟宗竹からなる美しい竹の庭は一年を通してたのしめます。青々とした葉を茂らす竹の旬の季節は秋ですので、より美しい竹の庭を体験したいのであれば、秋に訪れると良いでしょう。「竹の春」は秋の季語になっていて、竹の旬は一般的な草木のそれとは逆になります。
竹の庭の中には、茶屋「休耕庵」が隠れ家のように建っています。茶屋「休耕庵」では、竹の庭の絶景を目の前にして、抹茶とお菓子をいただけます(別途料金)。
竹林を吹き抜ける風の心地よいざわめきを聴きながら休むことができる、「竹の寺」報国寺ならではの非日常を味わえる空間です。
足利一族の墓所と伝わるやぐら
報国寺は、足利・上杉両家の菩提寺でもあります。報国寺の竹の庭奥の裏山には、大きなやぐらが口を開けています。このやぐらが、足利家時や足利義久ら足利一族の墓所と言われています。
少し離れた場所からしか見学することができませんが、いくつもの石塔が並んでいることを確認できます。
報国寺や旧華頂宮邸がある谷戸は、古くから宅間ヶ谷と呼ばれてきました。
報国寺の創設に関わった上杉重兼は、室町時代に鎌倉府の鎌倉公方を支える関東管領を世襲した諸上杉家の一つ・宅間上杉家の祖とされています。宅間上杉家の「宅間」とは宅間ヶ谷に屋敷を構えたことに由来しています。(宅間の他は、犬懸・扇谷・山内の4家で、いずれも鎌倉の地名。犬懸上杉家の家名の由来となった犬懸ヶ谷は、宅間ヶ谷の一つ西側の谷戸です)
報国寺は、宅間上杉家が仕えた第4代鎌倉公方・足利持氏の嫡男・足利義久が、永享の乱に敗れて自害した地とされていて、鎌倉公方が断絶して、室町時代中期以降、鎌倉が関東の中心ではなくなっていくはじまりの地となった場所でもあります。
本堂裏には枯山水庭園
報国寺の本堂の裏は枯山水庭園になっていて、こちらも見事です。
枯山水庭園の周辺では、春には東国花の寺百ヶ寺に選ばれている山茱萸 (サンシュユ)、初夏には半夏生(ハンゲショウ)などの花もたのしめます。
初夏の報国寺のあじさい
それほど株数が多いわけではありませんが、報国寺ではあじさいもたのしめます。山門の前や竹の庭のまわりなどで見られます。
晩秋の報国寺の紅葉
竹林のイメージが強い報国寺ですが、晩秋にはモミジやイチョウが鮮やかに境内を彩り、こちらも見事です。鎌倉の紅葉の穴場スポットの一つと言えます。