渚橋は、逗子市の中心市街地を東西に流れる田越川の河口に架かる橋です。逗子海岸の東端に位置していて、橋の上は国道134号が走っています。
渚橋のすぐ南側には「渚橋」交差点があって、国道134号を鎌倉・逗子海岸方面から走ってきた場合、長柄隧道に向かってそのまま国道を直進すると逗葉新道や葉山町役場、横須賀方面に、右折すると葉山マリーナや森戸海岸、一色海岸方面に向かう葉山の海岸通りに、左折すると田越川に沿って京急線の逗子・葉山駅方面に向かうという、交通の要衝でもあります。
ラジオの交通情報からは、よく「渚橋を先頭に渋滞○km」と聞こえてくる、渋滞の名所としても知られています。
渚橋は、1964年(昭和39年)の東京オリンピック開催にともない、現在の国道134号が整備された際に建設されました。1964年の東京オリンピックでは、渚橋からもほど近い葉山マリーナがセーリング競技のサブマリーナとして使用されました。(メイン会場は江の島の湘南港)
富士見の定番スポットであり、隠れた絶景スポットでもある
渚橋は、逗子湾越しに富士山や江の島を望むことができる、定番の富士見スポットでもあります。橋の上から見られるのはもちろんのこと、橋の下からも見られます。
渚橋の下には国道をくぐる地下通路(歩道)が通っていて、交通量が多い「渚橋」交差点の信号を待たずに国道を横断できるようになっていますが、この地下通路は隠れた富士山の絶景スポットでもあります。このようなトンネル越しに見る富士山のことを、「トンネル富士」と呼ぶそうです。
また、逗子湾を挟んだ対岸の葛ヶ浜ほどではないものの、大きく潮が引いた時は、渚橋の下の田越川河口付近も、磯遊びスポットになります。
渚橋という名前の由来の考察
渚橋の周辺には、渚橋の他にも、「なぎさ橋珈琲」(かつての「デニーズ逗子店」)や「渚マリーナ」など、「渚/なぎさ」と名前の付く施設が目につきます。もちろん一般名詞に過ぎませんが、これらの「渚/なぎさ」は、かつて渚橋近くの逗子海岸沿い(現在の「夢庵逗子店」の敷地)にあった「なぎさホテル」が源流にあると考えられます。
「なぎさホテル」は、1926年(大正15年)に開業して1988年(昭和63年)に営業を終了したリゾートホテル/クラシックホテルで、文化人や外国人観光客に愛されていました。
「なぎさホテル」は、桑田佳祐がこのホテルを題材にした同名の曲を2022年にリリースしたことで、近年また脚光を浴びることになり、2023年の逗子海岸花火大会では花火打ち上げの際のBGMの1曲としても使われました。
桑田佳祐は、1997年リリースの「SEA SIDE WOMAN BLUES」(サザンオールスターズ名義)でも渚橋を舞台の一つにしていて、渚橋周辺は逗子における桑田佳祐/サザンオールスターズの聖地でもあります。(国道134号沿いに「渚橋」という名前の橋は、逗子市の他に、藤沢市鵠沼海岸にもあり)