真名瀬エリアは、葉山の中でももっとも海と山が近づく場所の一つです。熊野神社と大漁稲荷社は、その海と山がもっとも狭まる、真名瀬山の山すそに隣り合って鎮座する小さな社です。
山岳信仰の趣が強い熊野信仰の社と、豊漁や海上安全を願う大漁稲荷社が並びあって祀られているのが、とても真名瀬らしくもあります。
INDEX
真名瀬熊野神社(真名瀬の権現様)
真名瀬の熊野神社の詳しい由緒は分かっていませんが、少なくとも江戸時代には旧一色村字真名瀬のこの地に鎮座していて、「真名瀬の権現様」として地域の人々から親しまれてきました。
真名瀬のまちは民家が密集している地域にも関わらず、一度も大火に見舞われた記録がないそうです。海に面していることに加えて、井戸が多かったことも影響していると考えられますが、これは権現様のご加護によるものであると言い伝えられていて、火防の神様として信仰されてきました。
毎年5月14日・15日に執り行われる例大祭には、雨が降ることが多いと言います。
主祭神 | 伊弉冊命、速玉男命、泉津事解男命 |
旧社格等 | ― |
創建 | 不詳(少なくとも明治維新以前) |
祭礼 | 例大祭 5月14日・15日【湯立神楽】 ※実際の日にちは年によって異なる場合があります |
大漁稲荷社(真名瀬の竜宮様)
真名瀬の熊野神社の向かって右手に鎮座しているのが大漁稲荷社です。江戸時代後期の文化年間(1804年~1818年)に、漁業に携わる人々の守護神として創建されたと伝えられています。もとは森戸大明神(森戸神社)の境内に祀られていましたが、1997年に熊野神社の隣りに遷宮されました。
稲荷社は農耕の神を祀っていることが多いですが、「大漁稲荷社」という名前のとおり、この稲荷社は海の神を祀っています。
毎年1月11日に執り行われる竜宮祭では、真名瀬漁港の漁師たちが大漁稲荷社と、真名瀬海岸の沖合に浮かぶ赤い鳥居の建つ名島(菜島)で、大漁祈願を行います。竜宮祭は真名瀬だけでなく葉山全体の漁師の祭礼で、名島には鐙摺漁港の漁師も集まります。
主祭神 | ― |
旧社格等 | ― |
創建 | 文化年間(1804年~1818年) |
祭礼 | 竜宮祭 1月11日 ※実際の日にちは年によって異なる場合があります |
はやま三ヶ岡山緑地「真名瀬コース」の登り口
真名瀬熊野神社と大漁稲荷社の脇には、西峰(真名瀬山)・三ヶ岡山(大峰山)・東峰(一色浅間山)という3つの峰から成る県立はやま三ヶ岡山緑地の「真名瀬コース」の登り口があります。
はじめは急な登りが続きますが、登りきると緩やかな尾根道のハイキングコースが続きます。この尾根道沿いからは、北側のあじさい公園に降りられる「あじさいコース」と、東側の森山神社・玉蔵院方面に降りられる「つつじコース」が続いています。
「真名瀬コース」を登りきった先にある展望デッキからは、龍宮様を祀る名島(菜島)や、気象条件が良ければ相模湾越しに富士山がよく見えます。