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光の丘水辺公園 | YRP開発で失われた自然を再生した人工池と湿地・緑地からなる継承の森

光の丘水辺公園・最奥の池(撮影日:2025.06.27) 横須賀
光の丘水辺公園・最奥の池(撮影日:2025.06.27)

光の丘水辺公園は、YRP(横須賀リサーチパーク)造成とともにつくられた緑地公園です。それぞれ自然度の異なる「四季の池」「野鳥の池」「聖なる池」「最奥の池」という4つの人工池と湿地・緑地からなります。

YRPは、電波・情報通信技術を中心とするICT技術の研究開発拠点として、1997年に開設されました。YRPの開発では、武山丘陵から連なる丘陵地が大規模に造成され、多くの自然が失われました。光の丘水辺公園は、この開発によって失われたものを含む、三浦半島の小動物や植物の保存と復元、湿地の回復を目指し、1999年にオープンしました。

光の丘水辺公園では、これまでに、430以上の昆虫、420以上の植物、12種の爬虫類、8種の両生類、60種以上の鳥類が確認されていると言います。

光の丘水辺公園は、2013年には横須賀市によって「継承の森」に指定され、自然と触れ合うことのできるイベントや保全に関する活動などを通じて、自然の大切さを将来に継承していく活動実践の場となっています。
ボランティア団体「水辺公園友の会」と公園の指定管理者による協働で、キッズ自然教室自然観察会早朝探鳥会、期間限定のニリンソウやハンゲショウ群落の特別公開など、年間を通じてさまざまなイベントも開催されています。
光の丘水辺公園はゾーンによってかなり雰囲気が違いますので、イベント開催時等の、すべてのエリアに入れるときに訪れてみるのがおすすめです。

光の丘水辺公園・ハンゲショウ(半夏生)の群落と聖なる池(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・ハンゲショウ(半夏生)の群落と聖なる池(撮影日:2025.06.27)
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自然度の異なる3つのゾーン

光の丘水辺公園・四季の池の展望デッキ(撮影日:2015.04.26)
光の丘水辺公園・四季の池の展望デッキ(撮影日:2015.04.26)

現在の光の丘水辺公園は、公園名の一部にもなっているとおり、横須賀市光の丘にあります。「光の丘」という地名は、YRP(横須賀リサーチパーク)の開発時に、「電波・情報通信技術を中心とするICT技術の研究開発拠点」をイメージする地名として名づけられたものです。

YRPの開発に際しては、環境アセスメントが実施され、自然に対するさまざまな配慮や対策が行われました。光の丘水辺公園は、この環境アセスメントを受けて、地主である京急が建設したもので、完成後、横須賀市に移管され、都市公園として開園しました。

光の丘水辺公園は、もっとも自然度の高い「聖なる池ゾーン」(最奥の池を含む)、人工的な「四季の池ゾーン」、これらの緩衝地帯の役割を持つ「野鳥の池ゾーン」の3つのゾーンに分けられています。
このうち、「四季の池ゾーン」は光の丘水辺公園の開園時間内であれば誰でも自由に入ることができるエリアです。
野鳥の池ゾーン」は、4~10月は9:00~16:00に入園できますが、冬鳥が渡って来る11~3月はイベント開催時や利用申込みがあった場合のみ入園することができます。
もっとも自然度の高い「聖なる池ゾーン」は原則立ち入りが制限されていて、観察会などのイベント開催時や利用申込みがあった場合のみ、案内人の案内で利用することができます。

光の丘水辺公園・野鳥の池外周の園路(撮影日:2015.04.26)
光の丘水辺公園・野鳥の池ゾーン外周の園路(撮影日:2015.04.26)
光の丘水辺公園・最奥の池を谷戸の最奥より望む(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・聖なる池ゾーンの最奥の池を谷戸の最奥より望む(撮影日:2025.06.27)
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自然環境の再生や保全の場である「聖なる池ゾーン」

光の丘水辺公園・聖なる池のゲート(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・聖なる池のゲート(撮影日:2025.06.27)

さまざまな植物や昆虫などが見られる湿地帯

光の丘水辺公園・聖なる池(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・聖なる池(撮影日:2025.06.27)

深い緑に囲まれた聖なる池ゾーンでは、ハンゲショウガマアシなどが群生する湿地に、カエル水生昆虫トンボサンショウウオなどの動植物が暮らしています。

通年で原則立ち入り禁止となっている聖なる池ゾーンへは、キッズ自然教室自然観察会早朝探鳥会、期間限定のニリンソウ群落の特別公開(例年3月下旬)やハンゲショウ群落の特別公開(例年6月下旬)などのイベント開催時にのみ入ることができます。

光の丘水辺公園・聖なる池の水田(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・キッズ自然教室でも利用される聖なる池の水田(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・最奥の池のトンボ(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・最奥の池で見かけたトンボ(撮影日:2025.06.27)

人為的に造られた三浦半島の動植物にとっての聖地

光の丘水辺公園・最奥の池全景(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・最奥の池全景(撮影日:2025.06.27)

自然環境の再生や保全の場として、光の丘水辺公園の中核をなす聖なる池ゾーンは、一見すると「原生林」からなる「自然(wilderness)」のように見えますが、人為的に造られた「自然(nature)」です。少々乱暴な言い方をすれば、人工的な巨大ビオトープのようなものです。

YRP開発前の光の丘水辺公園は、杉釜すがまと呼ばれていた場所にあり、この谷戸を切り崩して造成されました。
光の丘水辺公園聖なる池は、この杉釜にあった湿地の土をそのままの状態でブロック状に切り取って保存し、杉釜の谷戸の動植物を丸ごと移植するという試みがなされました。

また、水源を確保するために、杉釜の谷戸にあった池をもとに地下ダムを造り、そこに溜まった地下水をポンプで汲み上げて最奥の池から供給するという、新たな水系も設けられました。

このように、聖なる池ゾーンは、かなり大がかりな創意工夫によって造成され、三浦半島の動植物にとって聖地となるべく場所として再生や保全がなされています。

光の丘水辺公園・最奥の池最奥の地下ダムによる地下水系の出口(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・最奥の池最奥の地下ダムによる地下水系の出口(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・最奥の池横のイノデの小池(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・最奥の池横のイノデの小池(撮影日:2025.06.27)

初夏に一般公開されるハンゲショウ(半夏生)群生地

光の丘水辺公園聖なる池のゲート近くは、ハンゲショウ(半夏生)の群生地になっています。例年、6月下旬には一般公開されています。梅雨時の蒸し暑い時期ですが、雪が積もったように薄化粧したハンゲショウは、どこか涼しげです。

光の丘水辺公園・聖なる池のハンゲショウ(半夏生)(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・聖なる池のハンゲショウ(半夏生)(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・聖なる池のハンゲショウ(半夏生)(アップ)(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・聖なる池のハンゲショウ(半夏生)(アップ)(撮影日:2025.06.27)
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野鳥が安心して生活できる環境を目指した「野鳥の池ゾーン」

光の丘水辺公園・野鳥の池のゲート(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・野鳥の池のゲート(撮影日:2025.06.27)

野鳥と人との接触を抑えるため冬季は立ち入り制限

光の丘水辺公園・野鳥の池の観察用の目隠し(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・野鳥の池の観察用の目隠し(撮影日:2025.06.27)

自然度の高い聖なる池ゾーンと人工的な四季の池ゾーンの緩衝地帯になっている野鳥の池ゾーンは、その名前のとおり、野鳥が安心して生活できる環境を目指して造られています。そのため、渡り鳥が飛来してくる冬季は立ち入りが制限されています。

野鳥の池ゾーンに入れない時期も、池の外側に設置してある目隠しから、野鳥などを観察することができるようになっています。

野鳥の池ではアシなどの植物が育ってきていて、造成当初と比較して、より野鳥が生活しやすい環境になってきているようです。
※以下の2枚の写真は、季節は異なるものの、ほぼ同じ場所から撮影した、野鳥の池の10年間の変化です。

光の丘水辺公園・野鳥の池をゲート付近より望む(撮影日:2015.04.26)
【旧】光の丘水辺公園・野鳥の池をゲート付近より望む(撮影日:2015.04.26)
光の丘水辺公園・野鳥の池をゲート付近より望む(撮影日:2025.06.27)
【新】光の丘水辺公園・野鳥の池をゲート付近より望む(撮影日:2025.06.27)

野鳥も人も自然を満喫できる環境が整えられた野鳥の池

光の丘水辺公園・野鳥の池外周の園路(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・野鳥の池外周の園路(撮影日:2025.06.27)

聖なる池ゾーンと同様に、野鳥の池ゾーンでも極力人工的なものは排除されていて、自然の環境を造りだしています。池のほとりの植物が野鳥の目隠しになることを想定してか、全体的に池の眺望はそれほど良くありません。園路沿いでは、ニリンソウなどの植物も見られます。

冬季を除いて、通常立ち入ることができるのはこの野鳥の池ゾーンまでですが、じゅうぶん自然を満喫できる環境が整えられています。

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自然と気軽に触れ合える「四季の池ゾーン」

散策するのに気持ちが良い池のまわりの回遊園路

光の丘水辺公園・四季の池を南側より望む(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池を南側より望む(撮影日:2025.06.27)

四季の池ゾーンは、市民が気軽に自然と触れ合うことができるエリアになっています。四季の池を一周する園路展望デッキ親水護岸などが設けられていて、散策するのに気持ちの良い環境が整っています。光の丘水辺公園の開園時間内であれば自由に利用することができます。

光の丘水辺公園・四季の池の親水護岸(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池の親水護岸(撮影日:2025.06.27)

四季の池ではポピュラーな動植物に出会える

光の丘水辺公園・四季の池で休むカルガモ(アップ)(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池で休むカルガモ(アップ)(撮影日:2025.06.27)

光の丘水辺公園四季の池ゾーンでは、他のゾーンと一転して、比較的ポピュラーな動植物を見ることができます。春から初夏にかけては、ツツジあじさいネムノキなどが四季の池周辺の園路を彩ります。

光の丘水辺公園・四季の池のほとりのあじさい(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりのあじさい(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりのガクアジサイ(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりのガクアジサイ(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりのアガパンサス(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりのアガパンサス(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりのネムノキ(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりのネムノキ(撮影日:2025.06.27)

利用申請受付やイベント展示などのある管理棟

光の丘水辺公園・四季の池のほとりに建つ管理棟(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・四季の池のほとりに建つ管理棟(撮影日:2025.06.27)

四季の池のほとりには管理棟が建っています。管理棟では、野鳥の池ゾーン(冬季)と聖なる池ゾーンの利用申請の受付や草木染作品の展示などが行われています。光の丘水辺公園唯一のトイレがあるのも、この管理棟です。

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「継承の森」の理念にぴったりな光の丘水辺公園

光の丘水辺公園・最奥の池の谷戸の最奥(撮影日:2025.06.27)
光の丘水辺公園・最奥の池の谷戸の最奥(撮影日:2025.06.27)

光の丘水辺公園は、2013年に、横須賀市によって「継承の森」に指定されました。
継承の森」とは、「みどり」や「自然」を大切に思う意識を将来へ引き継ぎ、それらを守り・育て・生かすための活動のモデル事業を実践する場、と定義されています。

一度開発によって失われた自然環境を再生・保全し、ボランティア団体「水辺公園友の会」と公園の指定管理者による協働でキッズ自然教室自然観察会などのイベントが年間を通して数多く開催されている光の丘水辺公園は、この理念にぴったりと言えます。

この「継承の森」は、光の丘水辺公園の他に、田浦梅の里衣笠山公園の一部エリアが対象となっています。

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光の丘水辺公園周辺の見どころ

光の丘(YRP)桜並木&岩戸中学校前桜並木
YRP(横須賀リサーチパーク)と岩戸の住宅地を結ぶ通り沿い約500mに、新旧の桜並木があります。光の丘桜並木はYRPのメインストリート(県道27号横須賀葉山線横須賀リサーチパーク入口交差点~...
通研通り桜並木
通研通りつうけんどおりは、国道134号の大作交差点(横須賀市野比)と県道26号横須賀三崎線の通研入口交差点(横須賀市武)を結ぶ、約4kmの通りです。ちょうどこの通りの中間にあたる約1.5kmが、桜並...
三浦富士(浅間神社奥宮)
三浦富士はかつて「浅間山」と呼ばれていた山で、山頂には浅間神社せんげんじんじゃの奥宮が鎮座しています。三浦富士と呼ばれることが多いですが、単に「富士山(ふじやま)」と呼ばれることもあります。その名前...
砲台山(武山防空砲台跡)
砲台山は武山と三浦富士の間にある標高204mの武山ハイキングコース最高峰の山で、本来の名称は「大塚山」と言います。「砲台山」と呼ばれるようになった由来は、かつてこの山の山頂に旧日本海軍の武山防空砲台...
武山&武山不動院
武山たけやまは標高200mの、三浦半島南部の中心的な山です。山頂には武山不動院(龍塚山持経寺りゅうちょうざんじきょうじ 武山不動院)があり、古くから地元の人たちの信仰を集めてきました。毎年1月28日...

DATA

住所 横須賀市光の丘4-1
アクセス
行き方

●バス利用の場合
京急久里浜線「YRP野比駅」から、京急バス「YRP(光の丘2番)」行き、「YRP経由通信研究所(野4)」行きで『光の丘5番』または『YRPセンター』下車、徒歩約5分 ※行きは『光の丘5番』で下車、帰りは『YRPセンター』からの乗車が便利です。
あるいは、京急バス「5番館前・ニフコ」行きで終点『ニフコ』下車、徒歩約3分 ※「5番館前・ニフコ」行きは平日の通勤時間帯のみの運行です。

●徒歩の場合
京急久里浜線「YRP野比駅」より徒歩約40分

駐車場 なし ※近隣のコインパーキングや光の丘公園駐車場(有料)を利用可能(以前は無料駐車場がありましたが、現在は廃止されています)
営業時間

<光の丘水辺公園の開園時間・四季の池エリア>
5~8月 8:30~19:00
9月 8:30~18:00
10~4月 8:30~17:00
※12月29日~1月3日は休園

<野鳥の池エリア>
4~10月 9:00~16:00
11~3月 イベント時や利用申込みがあった場合のみ利用可能

<聖なる池エリア・最奥の池エリア>
観察会などのイベント時や利用申込みがあった場合のみ案内人が案内

料金

入園無料

電話番号 046-849-7650
ウェブサイト https://www.ryokukazouen.jp/mizube/
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