夫婦池公園は、桜並木で有名な鎌倉山の山あいに、森や草地、湿地、池などが保全されている、緑豊かな公園です。「夫婦池」の名前は、江戸時代より農業用のため池として利用されてきた上池と下池という、1対の池に由来します。
夫婦池公園は、この夫婦池を中心に、池の周辺や鎌倉山の傾斜地に沿って散策路が設けられていて、多種多様な植物や野鳥などを観察することができます。
夫婦池公園は傾斜地にあって、その上部と下部それぞれに、鎌倉山口と笛田口の、2つの入口があります。鎌倉山口は「見晴」が、笛田口は「若松」が最寄りのバス停で、ともに、鎌倉駅・長谷方面と鎌倉山ロータリーの間を結ぶ路線バスが通っています。公園の駐車場は、笛田口にあるパークセンターの隣りにあります。「夫婦池」の上池と下池も、笛田口のすぐ近くにあります。
桜並木が有名な鎌倉山ですが、夫婦池公園でもソメイヨシノやヤマザクラをゆっくりとたのしめます。桜の季節が終わると、今度は公園の周囲の山々をフジの花が、文字通り藤色に染めます。
夫婦池公園は、桜やフジ以外にも、森から湿地帯、池がつづく小さな流域で貴重な自然環境をたのしめる、鎌倉の穴場的な公園です。
INDEX
座って楽しめる鎌倉山の貴重なお花見スポット
夫婦池公園の上側に位置する鎌倉山口は、目の前が鎌倉山の桜並木「鎌倉山さくら道」に面しています。公園の鎌倉山口周辺もソメイヨシノが多く見られます。
曲がりくねった坂道が続く鎌倉山の桜並木ですが、夫婦池公園の鎌倉山口にはベンチなどもあって、ゆっくり座って桜をたのしめる貴重なお花見スポットになっています。
貴重な自然環境が残る森やハンノキ林の湿地
夫婦池公園の鎌倉山口から公園に入ると、夫婦池やパークセンター方面へ下っていく、森のさんぽみちが続きます。50mほど階段を下ると、すぐにハンノキ林が見られる湿地帯が現われます。湿地帯には、湿地の観察テラスと名付けられた木道が設けられています。
鎌倉には谷戸が多く見られますが、このような湿地や、湿地帯などで多く見られるハンノキ林が残る場所は数えるほどしかなく、貴重な自然環境です。
森のさんぽみちから湿地の観察テラスにかけては、この他に、鳥のさえずりが響き渡るなか、ハンゲショウやナズナ、ヤマユリ、ガマ、ヒメガマなどの植物を観察できます。
春は水辺のさんぽみちから見るヤマザクラが美しい夫婦池
湿地の観察テラスのハンノキ林を抜けると、湿地帯がそのまま夫婦池の上池につながっていきます。夫婦池の周囲も木道の散策路が設けられています。
対岸の森にはヤマザクラが多く見られます。春には、夫婦池の水面すれすれまで枝を長く伸ばした美しい姿を見ることができます。
カワセミなどの野鳥の観察ができる水辺の観察テラス
夫婦池公園は、2009年4月にオープンした、まだ比較的新しい公園です。
しかし、1932年(昭和7年)発行の「鎌倉山住宅地株式会社分譲地略図」には夫婦池周辺を指して「東公園」と記載があり、夫婦池が古くから公園として利用されてきたことを物語っています。
夫婦池を上池と下池に隔てている堤は、近年、公園として整備される以前より設けられていたものです。現在はこの堤の上に、木道が整備されています。
下池付近は、カワセミがよく訪れる場所でもあります。上池と下池に隔てている堤を渡った先にある、下池から続く湿地帯には、野鳥の観察に最適な水辺の観察テラスも設けられています。
休憩やピクニックに最適な のんびり草地
下池から続く湿地帯を谷戸の奥に向かうと、ピクニックにも最適な草地になっています(トビには要注意)。
また、のんびり草地の片隅には、斜面から水が湧き出る水源や、第二次世界大戦のときのものと伝わる防空壕の跡が見られます。
夫婦池公園の園芸としてのフジと野趣あふれるフジ
夫婦池公園は、園芸としてのフジと、山中に咲く野趣あふれるフジの、両方をたのしむことができる、鎌倉でも有数のフジの名所です。
のんびり草地の芝生広場の奥や森の休憩所には藤棚があって、例年4月下旬から5月初旬ごろにフジの花が見ごろを迎えます。
また、上池や下池の対岸の山中で見られるフジは、藤棚などの園芸として植栽されたものと違って、ダイナミックに咲きほこる姿を見られます。
のんびり草地の藤棚のすぐ裏には大きなフジの房が茂っていて、園芸としてのフジと野趣あふれるフジの両方を、同時に鑑賞できます。
夫婦池公園に関する展示などがあるパークセンター
夫婦池の上池のほとりに建つ山小屋風の建物が、夫婦池公園のパークセンターになっています。パークセンターでは夫婦池公園に関する展示などがあり、公園の自然環境を知ることができます。公衆トイレも、パークセンター内にあります。パークセンターの前の桜も、見ごたえがあります。
パークセンターのある笛田口から、少し急な坂道を10分ほど登って行くと桜並木が続く鎌倉山のバス通りに出ます。