佐助稲荷神社には、伊豆に流されていた源頼朝の夢枕に老翁の姿で現われて、平家討伐の挙兵を促した神様「かくれ里の稲荷」が祀られています。
参道に並ぶ無数の朱色の鳥居と、境内のいたるところに奉納されている白狐はとても神秘的で、鎌倉を代表する映えスポットでもあります。
佐助稲荷神社は「かくれ里」というだけあって、鎌倉の谷戸の奥深くにありますが、今では源頼朝の出世パワーにあやかろうと、多くの人たちが訪れます。
主祭神 | 宇迦御魂命 大己貴命 佐田彦命 大宮女命 事代主命 |
旧社格等 | ― |
創建 | 1190~1199年(建久元年~10年) |
佐助稲荷神社があるあたりの地名は今でも「鎌倉市佐助」と言います。「佐助」という名前は、若い時に佐殿と呼ばれていた源頼朝を助けた神様が祀られていたからという説や、頼朝の御家人であった上総介・千葉介・常陸介の三介の屋敷がこの辺りにあり「三介ヶ谷」と呼ばれていたことに由来する説などがあります。
INDEX
源頼朝の夢に現われた「かくれ里の稲荷」
平安時代末期、伊豆に流されて平家討伐を日夜念じていた源頼朝の夢枕に、「かくれ里の稲荷」と名乗る老翁の姿をした神様が現われて、挙兵を促しました。この夢のお告げにより頼朝は、1180年(治承4年)ついに、縁者である北条氏や東国の武士らとともに兵を挙げます。
その後、念願が叶い、平家を討伐して鎌倉に幕府を開いた源頼朝は、御家人の畠山重忠に命じて、挙兵を促してくれた「かくれ里の稲荷」を探し出させました。頼朝がその場所に稲荷神社を再建したことが、佐助稲荷神社のはじまりと伝えられています。
以下のリンク先からその他の【畠山重忠ゆかりの地】もご覧ください
無数の朱色の鳥居が続く神秘的な参道
「隠れ里の稲荷」というだけあって、佐助稲荷神社は谷戸の奥深くに位置しています。境内の入口から、佐助稲荷神社のアイデンティティでもある無数の朱色の鳥居をくぐって参道の階段を登っていくと、拝殿にたどり着きます。距離にして100mほど、曲がりくねりながら、紅く神秘的な参道は続きます。
参道は徐々に傾斜が増していき、最後に急な階段もあるため、拝殿まで登ることが困難な参拝者のために、一の鳥居の横に小さな下拝所が設けられています。
出世稲荷とも呼ばれる出世や開運のパワースポット
拝殿の裏からさらに階段で裏山へ登っていくと本殿があります。
佐助稲荷神社では、御祭神として、穀物を司る神様である「宇迦御魂命」、国造りの神様である「大己貴命」、先導の神様である「佐田彦命」、きれいな言葉で他人との間を仲良く保つ神様「大宮女命」、大国主命の子神「事代主命」が祀られています。
また、佐助稲荷神社は、源頼朝を挙兵へと導いて征夷大将軍にまで登りつめるきっかけをつくった神様を祀ることから、「出世稲荷」としても信仰をあつめています。
佐助稲荷神社にも近い銭洗弁財天は金運のパワースポットとして有名ですが、ここは出世や開運のパワースポットとして親しまれています。
以下のリンク先からその他の【源頼朝ゆかりの地】もご覧ください
無数の白狐が安置されている境内
佐助稲荷神社の参道の無数に続く紅い鳥居は、神秘的でフォトジェニックな、鎌倉を代表する映えスポットです。「無数」とは言え、鳥居の数は49基とされています。正確に数えたわけではありませんが、実際にはそれ以上あるように見えます。
無数の紅い鳥居や奉納された赤いのぼりと並んで佐助稲荷神社を象徴するものとして、境内に祀られている無数の白狐があります。この白狐は参拝者が奉納したもので、それぞれ思い思いの場所に置かれています。鳥居の参道沿いや本殿、裏山の崖沿いなど、境内のあらゆるところに白狐が奉納されています。
鎌倉時代の寛元年間に鎌倉で悪病が流行った際に、佐介ヶ谷に住む僧・良忠上人が、子どもにいじめられていた子狐を助けました。すると、良忠の夢に親狐が現われて、子狐を助けたお礼にと枕元に薬種を残していったと言います。この薬種を育てた薬草によって多くの人の病を治したということから、佐助稲荷神社では一対の白狐を供えるとご利益があるとされるようになりました。
また、佐助稲荷神社では、ペットの飼い主に寄り添う神社として、宮司がお祓いしたペットのお守りや絵馬なども用意されています。
鳥居沿いに咲き乱れる隠れ里のあじさい
佐助稲荷神社の無数の鳥居が建ち並ぶ参道沿いにはあじさいが植栽されています。鳥居や赤いのぼりに隠れて気づきにくいですが、拝殿の前まで登って振り返ると、そのあじさいの多さに驚くかもしれません。
「かくれ里」に咲く佐助稲荷神社のあじさいは、鎌倉屈指のあじさいの穴場スポットでもあります。
朱色の鳥居やのぼりと、あじさいの青や紫色のコントラストも美しく、初夏の佐助稲荷神社でしか見られない光景です。
▼その他の鎌倉のあじさいの名所はこちら▼
佐助稲荷神社のその他の見どころ
霊狐泉
佐助稲荷神社の裏山から湧く水は、昔から近くの田畑で利用されてきました。生命の源であったこの水源は、現在も境内の片隅から絶えず湧き出ていて、霊狐泉として讃えられています。
十一面観世音菩薩
拝殿の横に祀られている十一面観世音菩薩は、江戸時代に足柄の尼寺からうつされた観音様です。
良縁にめぐまれなかった美しい姫君、赤松幸運が出家して、若い男女のために良縁を祈願して掘られたものと伝えられています。そのため、縁結びの十一面観世音菩薩様として親しまれています。
十一面観世音菩薩は通常は非公開で、毎年5月18日に御開帳されています。
佐助稲荷神社周辺の見どころ
佐助稲荷神社は出世や開運のパワースポットですが、近くには、金運のパワースポットとして知られる銭洗弁財天宇賀福神社(銭洗弁天)や恋愛成就のパワースポットとして知られる葛原岡神社があります。葛原岡神社のある源氏ゆかりの源氏山公園には、源頼朝像が建っています。
▼その他の鎌倉のパワースポットはこちら▼