いつ誰がそう名付けたのかは分かりませんが、紅葉ヶ淵は、「鎌倉最後の秘境」などとも称される番場ヶ谷の隠れた紅葉スポットです。番場ヶ谷は、滑川の支流・吉沢川の流れに沿って、十二所から天園方面に深くのびる谷戸です。
鎌倉の山中の紅葉スポットとして有名な獅子舞谷にスケールこそ及びませんが、渓谷の中でたのしめる紅葉スポットとしては、鎌倉で唯一無二の存在です。
紅葉ヶ淵のおすすめの季節は、もちろん晩秋です。山深い場所にある紅葉ヶ淵は、鎌倉の紅葉スポットのなかでも、終盤に色づきます。
渓流沿いをトレッキングするという目的では夏も良いですが、藪や虫よけ・虫刺されなどの対策は万全にしましょう。
INDEX
番場ヶ谷を流れる吉沢川渓流トレッキングの交差点
天園付近を源流として、番場ヶ谷を流れ落ちてきた吉沢川は、紅葉ヶ淵付近で瑞泉寺裏山方面からの小川と合流して、十二所神社の前で滑川に合流します。
このあたりにはハイキングコースとしては整備されていない山道が数多く存在しますが、それらの多くは小さな沢沿いにあります。紅葉ヶ淵のあたりは、そんな名もなきトレッキングルートの交差点のような場所でもあります。
鎌倉の隠れ紅葉スポット・紅葉ヶ淵への行き方
紅葉ヶ淵は、次の4つの道が合流するポイントです。
- 金沢街道沿いの十二所から天園ハイキングコースに登る道
- 天園ハイキングコースの天園~瑞泉寺間から十二所方面に下る道
- 天園近くから吉沢川沿いに十二所方面に下る道
- 鎌倉霊園内の西端から天園ハイキングコースに入る道
つまり、紅葉ヶ淵へ行く場合、このれらのいずれかのルートで向かうことになります。
このうち、「3. 天園近くから吉沢川沿いに十二所方面に下る道」は、小さな渓流沿いの悪路のため上級者コースとされています。そのため、手軽にハイキングやトレッキングをたのしみたいという方にはおすすめしません。
ここでは、1と2を紅葉ヶ淵へのメインルートとして紹介します。
1. 金沢街道沿いの十二所から天園ハイキングコースに登るルート
金沢街道(県道204号金沢鎌倉線)沿いの十二所から天園ハイキングコースに登るルートは、十二所神社バス停を起点にすると良いでしょう。
十二所神社バス停から金沢街道を少し鎌倉駅寄りに行った場所に、滑川と吉沢川の合流地点があります。金沢街道からそれて、この吉沢川沿いに続く道に入ります。すぐに、左側に吉沢川を渡る御坊橋が見えてきますので、これを渡ります。
道なりに進むと、左側に瑞泉寺近くで天園ハイキングコースに合流するルートの入口がありますが、ここには入らず、さらに直進します。
しばらく歩くと人家が途絶え、舗装路の終端に着きます。ここから吉沢川の渓流沿いの道に入ります。(上の写真の中央奥に進む)
吉沢川の左側に沿って、深い藪道や足元がぬかるんだ道が続きます。ところどころ吉沢川の川底に降りられる脇道もあります。川の流量が少ないときは、川底を行ったほうが歩きやすい場合もあるでしょう。
吉沢川の渓流沿いの道に入って、10分ほど歩けば、紅葉ヶ淵に到着します。
2. 天園ハイキングコースの天園~瑞泉寺間から十二所方面に下るルート
天園ハイキングコースの天園~瑞泉寺間から十二所方面に下るルートは、分岐点に目立った目印のような場所がありません。しかし、分岐点の場所さえ分かれば、十二所方面から紅葉ヶ淵へ向かう道より迷うポイントはほとんどありませんので、とくにはじめての方は、こちらから向かう方がおすすめです。
天園~瑞泉寺間の目印になるポイントとして、貝吹地蔵(コース脇の山すそに安置)と北条首やぐらの道標(コース上の道の真ん中に置かれた低い石造の道標)があります。紅葉ヶ淵方面への分岐は、おおよそ、この中間地点にあります。瑞泉寺入口方面から天園方面に登ってきた場合、ハイキングコース本道から右下にそれる道がありますので、ここに入ります。(上の写真を右前方に入る)
すぐに吉沢川の支流沿いを下る道になりますので、川沿いに進んでいきます。途中、左側に、お塔の窪やぐら群が口を開けていて、このあたりでも紅葉をたのしめます。
吉沢川を渡る、崩れかけた道や丸太の一本橋があったりしますが、川の流量に問題がなければ、できるだけ危険なポイントは川底に降りて乗り越えたほうが良いでしょう。天園ハイキングコース本道よりアドベンチャー気分を味わえる一方、とくに足元は、一般的なハイキング以上の装備が求められます。
晩秋の紅葉ヶ淵の楽しみ方
紅葉ヶ淵は、紅葉スポットとしてはスケールが大きいわけではありません。渓流沿いにあって、その中から静かに紅葉をたのしめるというのが最大の特徴です。それでも、紅葉の最盛期に、吉沢川を覆うようにできるモミジの真っ赤な屋根は、控えめに言って圧巻です。
紅葉の季節の終盤に、吉沢川のゆるやかな流れに落ちた、モミジの落葉を愛でるのも良いでしょう。